久しぶりに読みました。新井素子さんの本を。
タイトルは『ハッピー・バースディ』
主人公のひとり・あきらは、フリーライターをしていたが、編集者の夫の勧めで
書いた小説がとある賞の新人賞を受賞。この上ない幸せの中にいた。
主人公のもうひとり・裕司は、高校受験に失敗し、現在予備校に通う浪人生活を
している。過干渉な母に、無意識に苛立っている少年。
この二人が、偶然同じ喫茶店に居合わせたことから、事態は大きく変わっていく…。
冒頭部を簡単に言うと、まぁ、こんな話でした。
新井素子さんと言えば、中学生の頃によく読みました。
よく…と言うか、当時発表されていた本は全て読んだと思います。
言うまでも無く、彼女と言えば、なんと言ってもその文体に大きな特徴があって、それはそれは衝撃的でした。
こっそり言うと、実はちょっと小説家になりたかった私も、当時彼女の影響をモロに受けた一人です。
あの、一人称が『あたし』だとか、口語体の文章とか、話の流れであるとか。
そんな彼女の本を、久しぶりに読んでみたわけですよ。
そしたら…なんとも読みにくくて…!
最初の方は、結構イライラしてしまいました。
年を取った分、彼女の文体が苦手になってしまったのかな?と思ったんですけど、気付きました。
私は、この話の主人公(あきら)が苦手なんです。多分。
だから、あきらの一人称での部分(特に、夫に対する『依存』を存分に語っている部分)を
読んでいると、「カーッ!ウザー!」となっちゃう。
こういう人が身近に居たら、私はいやだなぁ…。
そう思うと、“主人公”って大事ですね。
この話に限らず、小説でも漫画でもドラマでもなんでもそうですけど、主人公が苦手なタイプだと、どんなに上手く出来た話でも微妙に受け入れられない気がする。