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今日は、愛知万博の話を。といっても、万博に行ってきたという話ではありません。
Rokku は50代ですが、ケイトによると、この年代で珍しいんですって、愛知万博にまったく興味を示さない人は。まあ、テニス仲間を中心にした話ですから、女性のことなのだと思いますが、万博の話で持ちきりだと言うんです。でも、男なんて、女性について動く生き物ですから、女性に流行っていることと言えば男性の口の端にも上りやすいということですよね。そのことからすると、きっと、多くの50代は男女を問わず、愛知万博で盛り上がっていると言っていいのかもしれません。 そういえば会場のごく近所に住む元同僚も、万博のパスポートを持っていて、散歩代わりに行くと言っていました。もちろん、50代です。 Rokku は、今日何人入場したかには興味がありますが、他には一切ありません。一時期、食べ物が美味しそうなので、食指が動きましたが、ものすごく高くつくと聞いて、その興味も失せました。 では、なぜそこまで興味がないのか? 理由はごく簡単です。あれがモダニズムの産物だからです。モダニズムって何?という質問はありそうですから、ごく簡単に言いますと、昭和初期の文化と思っていただけばいいでしょう。ほら、よく大正モダニズムとか昭和モダニズムと言うではありませんか。あれですよ、Rokku が言っているのは。 そんな昔のことを持ち出したりして、何を血迷いごとをと思われるかもしれませんが、でも、よく考えてみてください。名古屋のことを「大いなる田舎」と言いましたでしょ、昔? それに、結婚式に莫大なお金を使うので有名だったのも、裏を返せば、前近代と言われているようなものではありませんか? それがつい最近まで、まことしやかに語られていたところ、それこそが名古屋なんですから、Rokku が名古屋をモダニズムに関わらせて論じたところで、ちっともおかしくなんかありません。そうでしょ? というわけで、この話、続きますが、ところで、近代の都市って、みんなターミナル駅を中心に栄えてきたんですね。鉄道の終着駅があって、そこに映画館、デパート、飲み屋などの歓楽街ができていく都市。郊外にある住宅と鉄道で結ばれている、仕事場としての都市の隆盛です。ロンドンもパリも、ニューヨークも、東京も、みんなそうです。 大阪はとりわけ有名ですね。テーマパークまで作っちゃったものですから。阪急の小林一三が梅田に阪急の駅とデパートを、宝塚に歌劇団と遊園地を、箕面に住宅街を作って、全部鉄道で結びました。ターミナル駅はもちろん梅田です。南海電鉄は難波というターミナル、近鉄は天王寺というターミナル駅があります。 こうしてみると、大阪という都市が、いかにターミナル駅によって構成されてきたかが分かると思います。それからもうひとつ、近代的都市形成の重要な構成要素が環状線なのですが、この機能については省きます。そして、このターミナル駅を中心にしたモダニズムという(再)開発が、そんなに昔の話とばかりは言えなくて、つい最近まで十分その機能を果たしていること、ターミナル駅であることのてこ入れが都市自体を活性化する重要な要因になりうることを示しているのが、天王寺です。 天王寺といえば、その昔、はっきり言って、近鉄沿線の田舎から出てきたオッサン・オバハンの集まる、田舎臭い場所でした。というか、昭和モダニズムのまま、東京オリンピックとか大阪の万博とか、敗戦以後に起きた重要な変化から置き去りにされた場所、と言ったほうがいいかもしれません。通天閣はその象徴です。それが Rokku が暮らしていた頃の大阪の政治・経済・文化的な地勢図です。今から20年以上前のことですから、バブル前のことですね。 ところが、バブルが天王寺を一変させます。今、天王寺にある近鉄百貨店へ行ってごらんなさい。もう昔のイメージは跡形もなく消えうせ、実にきれいな現代的都市文化の香りをふんだんに発散させる所になっています。変われば変わるものです。 そして、20年後、その波が名古屋に押し寄せてきたのです。 昔、大学院の先輩が、「名古屋はターミナル駅がないから不便だ」とよくこぼしていました。電車の乗換えがあるから、みんな早く帰る。だから、栄の地下は終了が早いし、御園座だって、8時になったら帰りの電車の都合で、そそくさと席を立つ人がいる、と。大いなる田舎と言われた所以です。 バブルになっても事情は変わりませんでした。新幹線で東京から帰ってくると、新横浜駅や静岡駅、豊橋駅近辺の変貌ぶりに比べると、あまりに変わることのない名古屋駅近辺でした。あの駅前の「大名古屋ビルヂング」がいつまでたっても見通せる、昭和モダニズムのまま取り残されたような都市だったんです、名古屋は。 でも、JR高島屋に象徴されるツイン・タワーの建設が事情を変えてしまいました。とうとう、「昭和モダニズムその後」という「戦後モダニズム」がやっと名古屋に来たのです。これが来ないとポストモダニズムはありえませんからねえ。 長すぎるので、この話、明日に続きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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