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Professor Rokku のワインの日々

Professor Rokku のワインの日々

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Mar 1, 2008
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 日記をアップしなくなって長い月日が経ちましたが、その間にもっともドラスティックに変化したのは母のことです。盛んにアップしてた頃の母は、ボケたといってもまだ家にいましたが、その母も長い間自分の家には帰っていません。グループホームにいるんです。
 移った頃に感じた、いろいろな思いはもうかなり薄れてしまいました。自分の家が見られないなんてかわいそう!と思うこともないではありませんが、今ではホームのほうが母には快適なのではないか、そう思うことばかりです。家なんてただの郷愁ですし、今見ても誰の家か分からないかもしれませんしね。
 ケイトは一貫して、家を離れてから母は悪くなったと言います。でも、Rokkuにはどちらとも言えない気がします。ケイトにしてみれば、いろいろなことに気を遣いながらも、陰で文句を言いながらも、家にいるというただ一点でもって、母はしゃんとしていられる、そういう意味での気概というか、気の張りを持っていられるのに、ホームに入ってしまうと「アア私はもうダメなんだ、家にいられなくなってしまった」とレッテルを自らに貼ることになる。そのガッカリした気持ちがあって、状態は悪くなるんだと言います。
 そうかもしれません。自らの頭がうまく機能せず、悪くなったことを盛んに嘆いていた母ですが、そういうことをホームに入ってから言わなくなり、人の悪口ばかり言うようになりましたし、欝の症状がかなりはっきりと見られるようにもなったので、ひとり部屋でポツンとしていると碌なことを考えないんだろうなあと思います。
 しかし、Rokkuは悪くなってもいいんではないか、と思っています。だから、兄夫婦が母をホームに入れることにしたことはやはり、正しい判断だったと本当に思っています。家で面倒を見るのははっきり言って無理です。感情的軋轢が大きくなるばかりですしね。家にいたって没交渉なんだから、悪くなったのは、コミュニケーションがなくなったからではないと思うんです。どうせ次第に進んでいくんです、認知症は。それなら、せめて快適に進んでいったほうがいいのではないか、Rokkuはそう思うんです。

 母の部屋は殺風景でした。かわいそうなぐらいに。没交渉は明らかでした。話が普通にはできないのだから、そうなるのもある程度無理はないんです。100パーセント母に合わせないとコミュニケーションがとれているようにも見えないほどなんですから。それは家で1週間預かっていたときから、多かれ少なかれ見られる傾向でした。
 コミュニケーションなんて、いいかげんなものです。結構誤解の連続でも、それなりに通じ合っているようなのがコミュニケーションです。それがいかに誤解に基づいていようとも、互いに了承したという共同幻想さえ成立すれば、立派なコミュニケーションです。というか、幻想があるからこそ、コミュニケーションは成立するんですね。そう、コミュニケーションなんて、通じ合っているという思い込みで成り立っているんです。ヴィトゲンシュタインの言う「言語ゲーム」ですね。
 だから、ケイトの言うように、こちらがその言語ゲームであることを理解して、母に100パーセント合わせてしまえば、実は会話は成立するんです。少なくともそう母が思うことはできる。
 寛容さが何よりも大切なんです、認知症には。
 殺風景な部屋とは、それがないことのいい証拠です。だから、Rokkuは、母はホームに入ってよかったと思うんです。少なくとも、もうあんな寒い部屋にいる必要はないし、夏にあんなに暑い部屋になることもありません。
 いまどき、同居だからといって、どれほどの気配りを受けて、老人が生きているというのでしょう。みんな自分の大事な人のことで奔走しています。とりわけ、介護の中心にいる家庭の母(Rokkuの母ではありませんよ)は、場合によっては共稼ぎまでして、そのうえ老人の面倒も見ていたりする。そんな人がどうやって寛容になぞなれるのですか? 土台無理な話です。

 何をどう考えようとも、母(Rokkuの母ね、念のため)はホームにいたほうがいいに決まってます。そこにはビジネス・ライクの付き合いしかないかもしれないけど、少なくとも職業柄必要とされる「寛容」はあるに決まっている。そう思ったからです。
 で、実際は、もっといいところでした。だから、今のほうがいいとRokkuは言い切れるんです。

 ホームの母の部屋は、前と変わることなく、殺風景です。でも、それは母の性格なんですね。そういう人だと息子の私が思います。さっぱりというか、気にしないというか、細やかではないんです。
 ホームの方々は、そんな殺風景な部屋にたまに絵を飾ってくださって、すごく気を遣ってくださっています。そのことをRokkuは知っています。実によくやってくださっている。素晴らしい人たちです。実に親身な方々です。頭が下がります。





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Last updated  Mar 1, 2008 08:48:23 AM
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