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Professor Rokku のワインの日々

Professor Rokku のワインの日々

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Mar 15, 2008
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 今日はRokkuの勤める大学の卒業式。彼ら彼女らにとってもRokkuにとっても記念すべき「いい日」でした。節目としての感慨と共に、再会を約しました(食事会に来られなかった二人とは4月に改めて食事会をすることになりました)しね。楽しいひとときでしたので、「今日の出来事」的にはそのことをこそ書くべきですが、卒業記念食事会で卒業生のことは書きましたからねえ、話がダブっちゃう。

そこで、思うところあって、今日はアメリカ民主党大統領候補予備選のことを書きたいと思います。ちょっと固いけど……。
ご存知と思いますが、大変な盛り上がりかたです。無理もないかあ。アメリカ初の女性大統領か黒人大統領ですからね、盛り上がらないわけがない。
特に、オバマ候補のキャンペーンがすごい。よく草の根選挙という言い方がされますが、投票率が大体群を抜いて高いのでしょ、今年の場合。過去40年間で最高ですって! しかも、民主党の大躍進だそうで、なんと支持率は50%にもなるそうではないですか。ということは、もちろん比喩的な言い方でしかありませんが、リベラルなアメリカ人は(つまり、民主党支持者は、というつもり)、本気で今度こそ変革の旗印の下にすっくと立った「いかにも21世紀的なリーダー」を望んでいる、その実現を本当に選挙で模索している、ということになります。
ちょっと前までは、オバマ/ヒラリーのどちらがなってもいいという民主党支持の有権者が多かったそうですね。そりゃ、そうです。大体、アイデンティティ(ここでは出自ぐらいの意味で使っています)などとわざわざ言い出すまでもなく、この二人の予備選挙戦とは、国内的にはアメリカの戦後史の総括とでも呼ぶべき重みがある、そう言っていいぐらいの象徴性を持っているのですから。

言うまでもなく、Rokkuは黒人問題(公民権運動)とフェミニズムのことを言っています。そして、この二つは切っても切り離せないほど密接に絡み合った、同時的な政治・社会現象でもあったのです。カバーする領域・範囲は、もちろん、微妙に違いますし、明確な共闘を組んだ、ということでもありません。しかし、政治的・社会的に自己主張の機会を奪われている、いわゆる社会的弱者の異議申し立てという意味では、この二つの運動が相関関係にあると考えるのはむしろ自然です。ですから、手を携えることの重要性を訴える運動家ももちろんあったのですが、外では公民権を叫びながらも、家に帰ればセクシスト(性差別に鈍感な人)なんてことは、アメリカ黒人の男性にあって、そう珍しい存在ではなかったはずです。これ一事をもってしても、論理的必然としての共闘の可能性がありながら、別々の道を歩まざるを得なかった悲哀というものを、この二つの同時的政治・社会現象は持っていたという言い方はできるでしょう。なんとも悲しい歴史ではありませんか。
だからこそ、リベラルなアメリカ人たちは今度こそ変革を、という強い意志を持ってこの予備選に臨んでいるはずです。その意気込みを、よそ事ながらRokkuは、感じないではいられない。

話はそれにとどまりません。実を言うと、19世紀後半にイギリスで起きた第一次フェミニズムも、労働運動と微妙な形でリンクしていました。第一次フェミニズムとは、平たく言えば婦人参政権運動のことです。
19世紀前半の労働者の政治的権利を求める運動であったチャーティスト運動には、女性の参加者もかなりいたようです。しかし、それは自分の夫の権利を主張し、それを獲得することで夫がよりよい家庭環境を整えることができるようになるための運動参加であって、自らの参政権を得るとか、自らの社会的な労働環境を整えるというような、後のフェミニズムに通じるような運動ではなかったようです。しかし、面白いことに、そこにおける彼女らの運動ぶりは、穏健派で知られたチャーティスト運動にあって特異なほど過激だったようで、それは後のパンクハーストらの過激な婦人参政権運動家を髣髴とさせるものがあります。
で、この穏健派の運動は、実は簡単に失敗に終わったのだそうです(1848年)。なぜか? 我慢して待てば、いずれ権利は得られると踏んでいたからです。事実、第一次選挙法改正(Reform Act)が1832年にはおこなわれていて、10ポンド相当の家財産を所有するあらゆる男性に選挙権が与えられるようには既になっていました。これって、5人の男性のうちほぼ1人に権利ということです。そりゃ確かに、待てば海路の日和ありですわ。もうひといきで労働者階級のかなりのところまで権利がやってくるんですもん。
というわけで、果たせるかな、鴨はねぎ背負ってやってきました。1867年の第二次選挙法改正で労働者階級の多くが選挙権を得、1884年の第三次改正で農業労働従事者にまでその権利が到達したのです。
たまらんのは、女性のチャーティスト運動参加者です。そりゃ、確かに、初期の目的は達成されたと言えるかもしれませんが、さっきも言ったように、すでに結構過激な運動家となっているのですよ。そういう社会的向上の欲望を植えつけられた人が、夫の権利の次に何を要求すると思いますか? 言うまでもないですよね。自分の権利です。そして、1860年代には実際に職業選択の自由を要求するようになるのです。

ここ、めちゃくちゃ重要です。だって、女性が選挙権(以前か)に関してその気になったときには、男性はもう既にそれを手に入れつつある、ということを、この話は示しているからです。だから、当然のこと、労働運動家は女性の権利主張に対して冷淡でした。
だから、女性の権利の主張に対して、それなりの利益(選挙権)が果実として与えられたのは、それからほぼ60年後の1918年、第一次世界大戦後のことです。パンクハーストら、婦人参政権運動家の行動が過激になったのは20世紀に入ってからのことですが、それもむべなるかな。世間(要するに男たちです)が応えようとしないからなのですね。

長くなったので、そろそろやめます。で、Rokkuの結論です。一言で言えば、それは、できる(強い)女は嫌われる、です。要するに。
Oという有名な女性の先生がいます。今はウィスコンシンにいらっしゃるんですねえ。その人が先般ヒラリーを批判して、彼女が最近用いているアイデンティティ・ポリティックス(出自を基盤に自らの政治的主張をする態度)に基づいた政治手法は古い、今はジェンダー(という知的に構築された社会的性差)に基づく議論をしないとフェミニストだってそっぽ向くよ、実際にそういう目にあってるじゃない、フェミニストの批判が目に付くわよ、という趣旨のことを言ってらっしゃいました。
でも、Rokkuは、まったく反対のことを思います。ちょっと前まで、ヒラリー、初の女性大統領か?って言われていたのを覚えていらっしゃいますでしょうか。正直、オバマの人気はちょっと前までここまでではなかった。いったい何があったの? そうヒラリーが思っても仕方ないほどの大逆転です、最近の傾向は。こうなってしまった今、彼女に出自以外の何を訴えろと言うのですか? 世の中の半分は女性なんですよ! その女性に訴えないで、いったいヒラリーに何をしろと言うのですか? Rokkuはそう思います。

ヒラリーって、冷徹な女とか、知性が勝ちすぎとか、相手を容赦なく論駁してしまうとか、ま、簡単に言えば怜悧な女ですよね。そう言われています。ホントのところは知らないけど。で、ね。Rokkuは思い出すのですよ、ラカン(そういう名前の精神分析医がいたんです)の言葉を。「異性愛者とは、男女を問わず、女を愛するもののことである」。
この場合の「女」って怜悧な女では絶対ないとRokkuは思います。ミソジニー(女嫌い)なんじゃないですか、ヒラリーが嫌だってのは。





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Last updated  Mar 15, 2008 06:57:17 PM
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釈迦楽@ いやあ・・・ 十分運動していらっしゃると思いますよ…
Rokku@ Re:カメラ(03/06) Mike23さん >進化してますね ---…
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Rokku@ Re:ただいま修行中(02/27) Mike23さん ダンスといえば、学生…

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