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カテゴリ:クライミング・ダンス・スポーツクラブ
昨日から仕事を再開しています。休み明けは調子がいい!やはり休養は必要だ。西荻窪―横浜を往復してセッションをしていた2年前の方が、はるかに運動量は多いはずなのに、恵比寿―横浜の移動で疲れてしまう今日この頃。 体力も落ちたけれど、基礎代謝も落ちた。スポーツクラブで基礎代謝を計ると、1200カロリーを切ってしまっている。代謝をあげるために、お風呂に単行本を持ち込んでなるべく長くお湯につかるようにしている。もう何度となく繰り返し読んでいる愛読書が『クライミング・フリー』。著者はアメリカ人の女性クライマー、リン・ヒル。天井から落ちてくるしずくで、水を吸った本のところどころが膨れている。 この本は、リン・ヒルがクライミングを始めた14歳から2002年7月までの日々を、一人のクライマー(本の表表紙には"アスリート"と書かれているが)の視点から書いた本だ。この本を読むと、彼女のクライミング人生は、彼女の生活と共にあったことがよく分かる。クライミングを中心として彼女の人生が次々と回転していく様子がつづられていて、一人の女性のノンフィクション小説としても楽しめる。 ヨセミテでの仲間と過ごした、クライミング三昧の奔放な日々。その間に成し遂げた、数々の初見登攀(それも非常に難易度の高いものばかりだった)。クライミングを続けるためにした、数々の賞金稼ぎ(主なものはTVショーだったが、ラスベガスではボクシングの試合にまで出ている)。スポーツクライミングと呼ばれる、インドアで順位を競う大会への参加(ここでも多くの優勝を遂げている)。結婚、離婚を経験し、また幾人かの友人を失いつつも、クライミングへの情熱を捨てずに自分の道を岩壁へと戻していく。 クライミング創始の時代は、男女の差別があからさまにあり、スポーツクライミングの世界では、ワールドカップの舞台となった国の選手を勝たせようと裏工作が行なわれた。だが、彼女は全てを「自分に与えられた学びのチャンス」と捉え、冷静に問題と向き合おうとする。野生の勘とも思える勘を働かせて、行くべき方向へと歩みを出す。 高さ何千メートルという岩壁を何日もかけてフリークライミングで登るスタイルで、「伝説」を作ってきたリン・ヒル。本書の中で、彼女は一度として他者を攻めることはなかった。数々の腹立たしいエピソードが出てくるが、そんな中でも、ニュートラルな立場で、出来事を淡々とつづっている。そうした彼女の姿勢は読んでいて清清しい。彼女が立ち向かうのは、あくまで壁である。
外岩クライミングの帰り、バスに乗り合わせた地元のオバチャンから「岩にかじりついて、なーにが面白いの?」と聞かれた。素朴な疑問だと思う。クライミングには、経験した人した分からない面白さがある。この本を読むたびに「ああ、いつかは聖地ヨセミテへ」と思うのだが、私には夢の夢だ。一生行けないだろうが、『クライミング・フリー』を読むたびに私はリン・ヒルとなってトップ(頂上)から眼下を見下ろすのだ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.05.09 23:03:53
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