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テーマ:東北関東大震災(31)
カテゴリ:ビジネス・経済・政治
東京電力のトップが『一億総つるし上げ』の憂き目に遭っている、
というニュースが先週まで盛んに報じられていました。 同じ企業人の禄をはむ僕としては、「この人だけの責任じゃないのに…」 と、多少同情してしまうところが正直あります。 ただし福島第一原発の地元に住む人からしてみれば、 やり場のない怒りの矛先が、 主たる原因を作った企業のトップに向かうのは、 これは至極当然のこと。 で、僕も冒頭の同情の域を超えて、 ちょっと「何だかなー」と違和感を感じるところもある。 被災した原発の対応状況をプレス発表する東電職員も、 どことなく自分事のようなニュアンスが感じられない。 この違和感は何だろう?……、と思っていたところ、 たまたま久米宏さんがTBSラジオの番組で 「東電の社長や社員が、まるで他人事のように振る舞っている、 と感じるのは僕だけでしょうかね?」 というコメントから始まって彼の持論を聞くに及び、 「それそれ! それが違和感の原因!」と得心したことです。 以下、久米宏さんの持論を借りれば……。 「本来ならばね、外野から何も言われないうちから、 東京電力自身が、加害者としてすべての賠償金を払うために、 身銭を切る宣言をして努力をすべきなんです。 それで、 『こういう努力をした。ここまで徹底的に身を削った。 そしてスッカラカンになった……』 という段になって国に対して助けを求める。 これが正常な話だと思うんですよ。」 「でも実際は、地元で土下座しておきながら、東京に戻ると 『今回の事故は想定外であるから東電としては免責がある』 なんていうセリフを同じ口から発して平然としているわけでしょう。」 「これは僕(久米宏)の本当に個人的な見解、 として聞いていただきたいんですけれども、 あの社長ね、過去、福島に原発を作るために東京電力は 『地元にこれだけの補助金を出した』『これだけの施しをした』 という感覚が少なからずあって、 だから、今回の事故で『地元はまだカネが欲しいのか?』 というホンネがひょっとしてあるんだったとしたら、 あの他人事のような振る舞いが説明できるんですよね」 と。 --ふーむ、なるほど、なるほど。 ……と感心している場合ではありませんね。 東電のトップが何をどう考えているのか。 本当のところはよく分かりませんが、 少なくとも一般市民が「不誠実だ」と感じているのは事実です。 そして一連の言動で違和感を醸す根源は、日本の電力会社が 「民間会社の衣をまとった『国策会社』である」 ということに尽きると思います。 そもそも今の日本の9つの電力会社は、 太平洋戦争前夜に国の「配電統制令」に基づいて、 それまで数多あった電力会社を強制的に合併させ巨大組織にしたのがルーツ。 そういう意味で、電力会社の経営システムは未だ戦時体制なんですね。 多分に国がその運営に関与している歴史があるから、 『電力会社=お上と同等』という概念があっても不思議ではない。 ということは官僚以上に官僚の感覚に陥るわけです。 加えて電気というのは、現代人の衣食住においてなくてはならないエネルギー。 となると、ただでさえ需用側が弱い立場になり、 供給側が上から目線になるのは自明の理なわけですから、 なにをかいわんや、というところ。 もはや日本の国の電力会社の、「欠陥」ともいうべき経営システムが、 今回の東電トップの不誠実な対応を現出させている、 と言っても過言ではないと思うのです。 たまたま今回は、罹災したのが東京電力管内の施設だったから、 東電だけがクローズアップされていますけど、 どこの電力会社の原発が被災しても、状況は多分同じでしょう。 東電トップの謝罪が他人事のように感じる、という話から、 電力会社の経営システムの欠陥、 という大層な話まで膨らませてしまいましたが、 それを踏まえた上で、ここで私たち一般市民としては、 電力会社の経営システムを矯正するために何かできることはないのか? ということを考える必要があると感じます。 ということで、明日につづく。
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