こんぱすコーチの全方位日記

日々、生活していると、
家でも会社でもそうですが、

耳に心地よい話題は素直に聞けるものの、
自分にとってネガティブでストレスに感じる話は
聞き終わらないうちから、
「それは嘘であって欲しい」
「どうか円満に解決して欲しい」
という反応の方が先走り、
その話の内容をキチンと聞き取ることができなくなります。

たぶんこれは僕だけでなく、
誰しもが持っている感覚だと思っています。

震災による福島第一原発の事故。

東京電力・原子力保安院・首相官邸の３者が
事故発生当初から情報共有がまったくなっておらず、
事態をどんどん深刻な状況に追いやってしまった、
という情報を報道で知ったとき、「なるほどな」と思いました。

大の大人が角突き合わせている環境下にあるのに、
どうして情報共有ができないのか。

史上最悪の事態を目前にして、
「嘘であって欲しい」
「こんなことが起きるはずがない」
「国民がパニックになる。何とか水面下で抑えられないか」
等々。

おそらくこんな反応が、
関係者の胸の内を去来していたんだろうと思います。
だから現実を直視することができなかった。

人間、こういうときに胆力のあるなしが試されます。

不測の事態、
しかもそれがとんでもない厄災を招く事態であればあるほど、
人は心が大きく乱れ、その場から逃げ出したい衝動に駆られます。

そんな中でガッチリと根を下ろし、
刻一刻と移り変わる事態を真正面から受け止めて、
次の駒をどう繰り出すか考える。

仮に心の内がざわめいたとしても、決して表面には出さない。

これは相当な鍛錬が必要でしょう。
ひょっとしたら先天的な能力も必要なのかもしれませんが、
一つ、後天的に解決する方法があるとすれば、それは
『原点に戻る』
ということかな、と。

原点に戻ることで、
霞がかかって判断にまごついていた状況が、
クリアに俯瞰できるようになって次の一手を繰り出せる。

原発事故で言うならば、
まずもってあますところなく情報を開示することに
誠心誠意尽くす。
そういう方針がコンセンサスを得ていれば、
もっとキチンと情報共有ができていたんじゃないでしょうか。

すべての情報を開示して、
それで地元や世界中がパニックになったとしても、
後から「あの時、本当の情報を隠していた」と揶揄され、
オオカミ少年になるよりは、はるかにマシなような気がします。

僕の職業は、
人命に関わるようなセンシティブなものではないのですが、
やっぱりグーの音も出ない場面に直面することが
しばしばあります。

そして「嘘であって欲しい」「何とか旨く解決して欲しい」
と他責にしてその場を逃げようとする自分に気づくことがあります。

そのたびに
「あ、また逃げている」と気づくのですが、
そういうときこそ、原点に戻るべきなんでしょうね。

今回の原発事故、収束にはまだまだ長い時間がかかりそうですが、
自分の生き方、考え方にも大きく影響を与えた事故です。

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