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テーマ:原子力発電について(173)
カテゴリ:ビジネス・経済・政治
福島の事故を受け、今、国内では原発の是非が問われています。
心情的には「これほどの事故を起こした原発は、もういらない」 という向きが多いように思います。ムリもありません。 しかしワールドワイドに見ると、 日本の判断は「アンビリーバボー」なんだとか。 経済誌にこんなことが書かれていました。 日本の外交官がアジア新興国の外交官とのやりとりで 最近、必ず彼らから持ち出される言葉は 「ところで日本はいつになったら原発を再開するんだ?」 というものなんだそうです。 原子力発電に頼らないで電気を起こすには、 火力発電が現実的な最適解。 でもそれには化石燃料が必要。 ところが石油はイラン問題でもともと高騰していますから、 他の燃料に目が移ります。 そうしたところ、天然ガスの利用が伸びているんだそうですが、 結局、まとまった量の天然ガスは自給できませんから、 輸入に頼ることになる。 日本の商社などが需要を当て込んで かなり大量に調達しているようなのですが、 その行動が顕著になってきて、 世界的に天然ガスも高騰してきているそうなのです。 そうすると同じように輸入に頼っている他国にしてみれば 日本の買い付けは迷惑千万な話。 「原子力発電していれば、天然ガスがここまで急騰しなかったのに」 という恨み言になるんです。 僕はこの話を聞いて 「原発は要らない」という理屈は、 ある意味エゴだなぁ、と思いました。 確かに心情的には僕も原発はない方が良いと思います。 しかし、原発に変わるエネルギー源を追いかけても、 現状は他国から総スカンを食らうきっかけになっています。 本当は太陽発電や風力発電などの再生可能エネルギーを 利用することが望ましいとは思いますが、 まだまだ発電コストが高く、しかも供給が不安定であるため、 一般家庭用ならともかく、産業用としては使いづらい。 企業が安心して利用できなきゃ、 再生可能エネルギーの可能性はありません。 僕はその条件として、 「蓄電技術の深耕」と「送電線の無減衰」が2大絶対条件だと思います。 残念ながら、どちらの技術もめちゃくちゃハードルが高い。 だから今すぐ再生可能エネルギーにシフトはできません。 ということは「つなぎ」という意味での原発稼働は致し方ないと思います。 でなければ、日本の企業は、特にメーカーは日本を脱出します。 そうするとGDPはますます落ち込み、国力はますます低下。 足下の生活基盤がどんどん毀損されていくように思うのです。 単なる情緒的判断で「原発ノー」とは言えないような気がします。
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