こんぱすコーチの全方位日記

仕事柄、企業の株主総会にまつわる書類に関心が行きます。
今の時節は３月決算会社から株主総会招集通知が
株主宛にひと渡り郵送されたところ。

最近は、企業のホームページでも招集通知が
PDFで掲載される事例が増えつつあり、
株主でなくても通知の中身を知ることができます。

そして今月の下旬あたりは株主総会の。
以前は『シャンシャン総会』と揶揄されるように、
できるだけ短時間で終わらせることが美徳とされていました。
長くても30分。
１時間もかかろうものなら「あの会社はやばいんじゃないのか？」
とレッテルを貼られるほどだったのです。

それというのも、昔は建て前はともかく
上場企業であっても会社は役職員のものであり、
株主は極力経営主体に入り込ませない不文律がありました。

経営のイロハも事業内容も満足に知らない株主に、
蹂躙されたくなかったからです。

しかし法的には会社は株主のものであり、
役員は株主から経営を付託されているに過ぎない。
株主からしてみれば、経営主体に入り込ませない役員どもは、
株主の権利を蹂躙していることになるわけです。

法的にはおかしいはずで、だから会社経営側はこれが弱みになります。
その弱みにつけ込んで脅し、すかし、金品を巻き上げていたのが、
いわゆる『総会屋』というゴロツキ。

そういうヤカラに株主総会を荒されたくないがゆえに、
どの会社もまったく同じ日時に開催して、総会屋を牽制し、
しかも超短時間で終わらせることで切り抜けてきました。

しかしバブルがはじけて、低成長の時代に入り、
株主の意見を真摯に聞いて経営に活かす、という本来のあり方が
認知されだしてきました。

いわゆる『開かれた株主総会』です。

中には総会で諮られる議案も、株主から提案されるケースがあり、
それをきちんと取り上げる会社も出てきました。

ところがです。

中には目を覆いたくなるような株主提案もあるんです。
今、関係者でホットになっているのは野村證券の持株会社である
『野村ホールディングス』の招集通知。

http://www.nomuraholdings.com/jp/investor/shm/2012/data/report108.pdf

上のアドレスからPDFをダウンロードし閲覧すると、
P.12～P.19に株主から提示された議案が縷々と綴られています。
その数なんと18個。
説明書きの中ではなんと100個もあったらしく、
要件を満たすものだけ取捨選択すると、それでも18個になったとか。

で、その内容がおよそ常識では考えられないものばかり。

“会社名を『野村ホールディングス』から
『野菜ホールディングス』に変更せよ”

“日本国内における略称は『YHD』と表記し、
営業マンは自己紹介する際に必ず
「野菜、ヘルシー、ダイエットと覚えてください」
と前置きすることを定款に定めよ”

“株主総会での万歳三唱は止めろ。
会場は狭くてワキガの株主も多いから。”

“東電・関電への投資は止めろ。
このようにハシズムに同調している分には
世間にまじめな会社を印象づけ、たんまりと儲けることができるだろう。”

“株価上昇をめざして、役職員が日々踏ん張るために、
オフィス内の便器はすべて和式とせよ。”

等々……。
まるで『２ちゃんねる』のタイムラインを追っているようで、
読んでいるだけで気分が悪くなります。

確かに野村證券は、リーマン・ブラザーズの日本法人を吸収したものの、
うまくシナジー効果につなげることができなくて業績がイマイチなうえ、
インサイダー情報の漏洩等による不祥事も重なって
株価が低迷しています。

株主にしてみれば文句の一つも言いたくなる気持ちはわかります。

でも僕は、株主たるもの、その会社を所有している立場として
株価の上下については自身も責任を負う気高さを
持ち合わせるべきだと考えています。

その株を買ったのも何かの縁だし、
買った株が下がるのは、誰のせいでもなく、
下がる株を購入した本人の責任です。

その上で、株価が持ち直すようにあるいは今よりも向上するように、
株主として協力できるところは惜しまない。
役職員とともに、末永く会社の発展に寄与したい。
そもそも株主というのはそうあるべきだと思うのです。

それを忘れて、義務は果たさずに権利ばかりを主張し、
責任を他者に転嫁する。

これってまるでモンスターじゃないですか。

いやしくも大会社の運営を取り決める厳粛な場で、
こんな小学校の学級会にもとるような議論をふっかけるのが
許されて良いのでしょうか？

この国の行く末を案じます。

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