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2011年03月09日
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カテゴリ:カテゴリ未分類


具体的なことは何にも書けないことも、
ホントはこんな時間に日記を書いたりするべきじゃないのも、
そもそもすっごい久しぶりの日記だったりすることも、
ぜんぶぜんぶ承知で断って、書きます。
いや、書かせてください、かな。


今日、僕の働き場でとてもとても悲しい出来事がありました。
それは電話で知らされ、その場にいた誰ものからだを駆け巡り、
答えのないずっと続く問いかけを残して、去りました。


だれかが、僕らの生きてる世界の一員ではなくなってしまったのです。
それは、とてもとても突然で、理不尽で、絶対的な出来事でした。
それを聞いた誰もが受け止められず、やり過ごせず、立ち尽くしました。
そうするしかなかった、とも言えます。


僕の働き場は、大学受験の予備校です。
そこにいるのは、みんな「途上のひと」たちです。
何者でもない自分を何者かにするために、「今より先」を目指すひとたちの集まる場です。
今日のその瞬間まで、僕はそう思っていました。


彼にその「先」はありません。
少なくとも僕らが思うような「先」は、ですが。
ともかく、僕の考えは、間違っていた。


彼は、いや、みんな「途上のひと」でありながら、たどり着いているのです。
「どこかを目指す道の上の、スタート地点より進んだどこか」に。
瞬間瞬間、通過しながら、到達しているのです。
「昨日のじぶん」にとっての「進んだ先」から、「今日のじぶん」が出発して、
ちょっとだけ進んだその場所にたどり着いて、そこからは「明日のじぶん」にバトンを渡す。
「明日のじぶん」はひょっとしたら気まぐれで、戻ったり、曲がったり、するかもしれない。
でも、「昨日のじぶん」にも「今日のじぶん」にも、それを怒ったり、とがめたり、
直したりする権利は、ない。

「それはなぜだ」と問うならば、雲を眺めたり、川を見つめたりすれば、きっとわかる。
「それはおかしい」と思うならば、永遠に潜水しようとしてみれば、きっとわかる。
抗うとか、従うっていう価値観が通用しない、世界の「へそ」みたいな場所が、きっとある。
そこに神様がいても仏様がいても、誰もいなくてもいい。
聖書があってもコーランがあっても、何にもなくたっていい。


ただそういう場所があるってことをわかることが、生きるってことだと思うんです。


その場所は暖かくも寒くもちょうど良くもなく、優しくも冷酷でもない。
手は届くけど触れない、目には映るけど見えない、そういう場所が、ある。
ただ、ある。何も指図せず、すべてを支配する。何もせず、すべてをする。
そういう場所に出会ったとき、僕らにできることはきっと、立ち尽くすことなんだと思う。



僕らが「途中だ」と思ってなめてたり、バカにしていることが、「最後のこと」になる。
「これから」があると思って油断していたことで、「これまで」になる。


それは、しみじみとした教訓でもなんでもなく、
「今夜のごはんはカレーライス」ということと同じ、ただの可能性なのです。
僕は今日、その可能性ってやつに出会って、立ち尽くしました。


まだ、立ち尽くしています。きっと、これからも。






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最終更新日  2011年03月10日 01時36分51秒
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