セルティック優勝
◆スコットランド・プレミアリーグ キルマーノック1-2セルティック(22日・キルマーノック) 俊輔が“サヨナラFK”で連覇を決めた。日本代表MF中村俊輔(28)が所属するセルティックが22日、アウェーのキルマーノック戦に2-1で勝ち、スコットランド・プレミアリーグで2年連続41回目の優勝を決めた。1-1で迎えた後半ロスタイム、俊輔は直接FKで決勝点を奪い取った。劇的な幕切れに、俊輔自身も、チームメートも、サポーターも泣いた。 ゴールやや右25メートルの直接FK。俊輔が慎重にボールをセットした時、すでにゴールのにおいが漂っていた。ひとつ前のプレーで完ぺきな“仕込み”があったからだ。中央でパスを受けた俊輔は、ドリブル突破を仕掛け、FKをもらいにいった。しかも、自らが最も得意とする地点で、だ。 優勝の瞬間を見るために敵地に乗り込んだセルティックのサポーターは、大歓声を上げる。一方、キルマーノックのサポーターは日本人MFに、ありったけの憎悪を込めてブーイングした。 熱狂するスタジアム。それでも、俊輔の左足キックは冷静、かつ正確だった。ボールは、5枚の壁を越えた後、急速に右にカーブ。ワンバウンドしたボールは、ゴール左隅に突き刺さった。今季9点目、劇的な勝ち越しゴールが生まれた。その瞬間、時計の針は、後半ロスタイムの3分を過ぎていた。事実上の“サヨナラFK”。直後、終了の笛が鳴り響いた。 クールな男が、感極まった。泣いた。「残り15分、自分でチャンスを作ろうと思っていた。難しい試合だった」ユニホームを脱いだ俊輔は、名門セルティックのエンブレムを握りしめながら、サポーター席に向かった。06-07年シーズンは、最高のシナリオでクライマックスを迎えた。 前半24分には右CKからFWフェネホールオフヘセリンクの先制点をアシスト。優勝を決める大一番で1得点、1アシスト。昨年10月14日のダンディーU戦ではハットトリックをマークするなど、1年を通して、完ぺきにプレー。改めてセルティックが俊輔中心のチームであることが証明された。 リーグ2連覇。セルティックの優勝は41回目を数えたが、今までのどの優勝よりも劇的だった。「彼は天才だ。薬物はやったことがないが、きっとこんな気分だろう」ストラカン監督は、興奮気味に俊輔を絶賛した。 「優勝は最高にうれしいけど、冷めるのも早いよ」天才はヒーローインタビューでは、いつも通りニヒルな笑いを見せた。が、周囲の狂騒がやむことはない。2007年4月22日。中村俊輔は、セルティックの生ける伝説となった。