あるフランスの映画 oui, mais...
夕べは2000年に制作されたフランス映画を観た。タイトルは oui, mais...「ええ、でも」17歳の高校生が自分のお小遣いでわざわざ心理カウンセラーに通い、そのためにハンバーガーの店でバイトすらする。彼女は親からの目に見えない圧力や恋の悩みをカウンセラーに語ることで現実のさまざまなジレンマを乗り越えていく爽やかなタッチの映画。カメラワークも素晴らしく、主人公の高校生の素直な美しさがうまく浮き彫りにされていた。カメラワークはすでにいろんな映画を撮ってきたパスカル・コベール Pascal Caub?re。Yves Lavandier イヴ・ラヴォンディエが監督。シナリオも彼が手がけている。女優の ?milie Dequenne エミリー・ドゥケンヌが主人公の17歳の高校生を演じている。この女優さんはベルギー出身。俳優で心理カウンセラーを演じるのは、ジェラール・ユグノー G?rard Jugnot。このフランス映画にはかかせない丸顔のベテラン俳優はよくぶち切れてしまうコミックな役柄が多いので最初はそれをちょっぴり期待して観た部分もある。が、この映画の中では常にクールな心理カウンセラーでなんとなく安心感が持て信頼できる学校の先生みたいでかなりのはまり役だった。日本にはこの映画、紹介されていないのかなあ。さて、今日は郵便局の間違いで一枚の手紙がうちの郵便受けに入っていた。住所はこの界隈のみ書いてあったので、散歩がてらに外に出てあて先の主を探した。しかし、結局どこにも名前を見つけられず持って帰ることに。月曜日に郵便局員の人に渡すしかない。南仏の田舎の外はいいお天気で静か。自分が砂利道の上を歩く音、小鳥のさえずり、そよ風の音くらいしか聞こえてこない。途中、この界隈に住んでいるおまわりさんにも聞いたり。おまわりさんは非番で庭に出ていた。彼の大きな犬は前を通るといつも吼えるが今日は静かだった。また散歩中のご老人にも聞いた。遠くからいつも見るだけのご老人だった人は、近くで見ると血色のいい人。その人もこの界隈に長いはずだがあて先の名前は聞いたことがないという。「そういえば、マルセイユの市長と同じ名前だなあ」今日の南仏の田舎、まるで夏のように暑い。散歩ついでに村の中心部まで歩いて行った。村の中心部には中世に建てられた石壁の塔の廃墟があり、その廃墟の周囲を村人が長年、ラベンダーやローズマリーやタイムといった南仏特有の植物を植え、そしてほかにも花を植えたりして村人たちの公園のようにしている。村は小山の高台にあるので、そこまで行くとちょっとしたパノラマを眺めることができる。一応、観光名所といってもいい場所なのに、村人の洗濯物がそんな貴重な塔のすぐ近くに広がっていたり。太陽の下は暑いが、石のアパートが建ち並ぶ日陰の部分は涼しいので、くねくねと続く細い路地を通って、パン屋さんと村の郵便局を兼ねているお店に行ったが、そこも昼のせいか閉まっていた。いつもは水が噴出している1789年造の石のフォンテーヌも今日は水が切れていた。村を離れて再び家に戻る途中、うちの近くの界隈の緑の垣根の向こうから初老男性の会話が聞こえていた。Ah;c'est la vie, qu'est-ce que tu veux, c'est comme ?a...自分もよく口にするセリフ。人生とはそういうものよ、みたいな意味であきらめきった表情で「ねえねえ、あなたもそう思うでしょう」と誘わんばかりにフランス人はよく口にする。いつのまにかそう言って甘んじてしまうほうが楽なこともあるので自分もこれは身についてしまった。彼らはどうもこの冬の南仏の雪で犠牲になった庭の木々の話をしているようだった。初老の男性は「杏の木は大丈夫そうだ」と語っているのが聞こえてきた。そう言った後で嬉しそうに笑っていた。イタリア出身テノール歌手ボッチェリの歌声を聴いて勇気をだしてください。 Canto Della Terra ボッチェリの歌声を聴いてください。 彼女のために生きる マンチェスター出身のバンド ベガジョーBeggar Joeベガジョーと知られる前のマンチェスターの時の姿はこちらです。街角で歌っていた時のベガジョーBeggar Joe 2007年 川下 笑里歌さんの心洗われるハープ演奏