お薦めのフランス料理映画
お薦めのフランス映画料理って、やっぱりこれよね、と考えさせる映画です。え、日本って今でもこんなイメージなの?と思えるシーンもあります。まあ、フランス人がみんなベレー帽にフランスパンを抱えている、くらいのカリカチュア的な見方の日本版なんでしょう。楽しく笑える映画です。主人公の彼とその彼女、最初は一緒に暮らしてはいるけど、結婚はしていません。フランスではよくあるカップルの姿です。ある知人のカップルも、大学中からずっと一緒に暮らし、その後二人とも職につき、赤ちゃんに恵まれ、その後2,3年後に結婚式の招待状を送ってきました。別のカップルは会社員とその彼女は大学生、もう2年以上は続いているカップルですが、彼女は卒業後の仕事次第で遠くに行く可能性もあるからか、結婚には至っていません。いつまでも美しいスタイルを保つ女優カトリーヌ・フロが演じます。大統領を演じるのは小説家のジャン・ドームッソンJean d'Ormesson。これもフランス料理の映画です。フランスの地方の料理も出てきて、興味深いものがあります。フランスの料理映画と言えば、2000年に公開された俳優ジェラール・ドパルデュ-出演の「宮廷料理人ヴァテーム」も機会があればおススメの映画です。1948年生まれのジェラール・ドパルデュ-は安定感のある声を持つ俳優です。ジェラール・ドパルデュ- Gérard Depardieu はフランスを代表する俳優ですが社会党のオランド氏が大統領に就任し、富裕層を対象にした税金逃れのために、なんと2013年からロシア国籍になります。フランスは、日本ももしかして同じかな、富裕層は収入の75%の納税義務があります。 フランス政府の過去の税金の無駄使いぶりが時々ニュースになりますから、わからないでもないのですが。ロシアに行ったら、財産はみんな分かち合うのではないか、と思っていたら、そうでもないらしく、富裕層でも納税金額が高くなることはないようです。ドパルデュ-は俳優のほかにも、不動産やレストラン経営などもしているようですし、あちこちにブドウ畑も所有しているらしいです。食材やワインに関してはかなりのこだわりがあり、うるさいようです。食材を巡る旅に出演していた彼のドキュメントはなかなか良かったです。たまたま見たフランスのキノコのドキュメントでは、なんと、ドパルデュー専属のトリュフ生産者も出てきたので驚きました。どのくらい前からか、大丈夫なのかな、と思うくらいかなり太ってしまわれました。さて、映画「大統領の料理人」で大統領を演じているのが、作家のジャン・ドームッソン Jean d'Ormesson です。ジャン・ドームッソン Jean d'Ormessonは2017年6月には92歳になります。かつてはフランスの主要新聞でやや右翼系とされるフィガロ紙でも活躍していました。フランス語を保護する団体アカデミー・フランセーズの会員でもあり、フランソワ・オランド大統領からはレジオンドヌールの勲章も授かっています。フランソワ・オランドは社会党出身の大統領です。故ミッテラン大統領も同じです。その少し前の大統領選ではサルコジー候補を指示していました。元大統領ニコラ・サルコジーは右翼系のUMP(民衆自由運動党、現在の共和党)出身でした。ジャン・ドームッソンは昔、故ミッテラン大統領とテレビで対面会話をしていました。ほかにもゲストはいたかも知れない。大勢の観衆が見守る中、二人の会話が一種の連想ゲームのような言葉遊びのようになり、切りがないので、最後にミッテランが「これはゲームじゃないんだよ」と言い、それまで好奇心に満ちた表情のドームッソンがすっと真顔に戻り、「そうは思っていませんよ」と言って会話は閉じました。その後、何年も経ってから、ほかに適役が見つからなかったのか、作家ドームッソンがミッテラン大統領の役を演じることがありました。アカデミー・フランセーズって何?アカデミー・フランセーズ l’Académie française は1635年にリシュリュー枢機卿 Richelieu がフランス文化を守るために創設されました。女性として初のアカデミー会員として選ばれたのは、マルグリット・ユルスナーです。Marguerite YOURCENAR 1903-1987ですが、選ばれたのは1981年です。ユルスナーは生まれはベルギー、後、国籍がアメリカのため、当初はフランス国籍じゃないからと問題にされたようです。アカデミー・フランセーズでユルスナーは長い演説をしていますが、その中でアカデミーはこれまで女嫌いで男性社会でしたから、と語り、これまでフランス文化に貢献してきた女性たち、スタール夫人やジョルジュ・サンド、コレット、さらにはかつて王妃のサロンやアンシャンレジーム時代の女性たちなどついても語っています。フランスは男女平等というイメージが日本より強いかも知れませんが、「かかあ天下」という言葉のある日本は意外とそうでもないかもしれません。フランスの1930年代生まれのご夫婦はどこから見ても、亭主関白と大和なでしこの夫婦にしか見えないこともあります。ユルスナーは古代ギリシャ語とラテン語を流暢にこなしたそうです。ジャン・ドームッソン Jean d'Ormessonも古典ギリシャ語を高校で教えたこともあるそうです。ギリシャ語とラテン語を勉強するとフランス語の不思議がわかるとはよく言われます。また脱線してしまいますが、1986年のフランス、パリのフランス語学校には古代ギリシャ語の長編の詩を朗読するジェラール先生という人がいました。古代ギリシャ語の長編詩を披露する先生。全然わからなかったけれど、ジェラール先生は水を得た魚のごとく朗読されて大迫力。意味はわからないので、私は先生の似顔絵描いていました。今、ふっと思い出しましたが、ある時、クラスで先生はにやにやしながら「サガンの小説はいつも同じような感じだねえ」とか「黒猫を朝から見かけると不吉だとか言うけれど、僕は黒猫を飼ってるから、朝から見るんですよ」なんて話されていました。ちなみに今まで出会った黒猫は人懐こい性格をしていました。フランスの猫マニアの本でも黒猫は人一倍人懐こいと書いてありました。さて2016年に日本人もこのアカデミーフランセーズから表彰されています。日本人で受賞したのはこの方が初めてではないそうですが。東大の松村剛教授の「中世のフランス語辞典」Dictionnaire du français médiévalがその受賞対象作品となりました。