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テーマ:ヨーロッパ旅行(4254)
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~1987年パリ ポーランドの亡命者~
昔、1987年頃だったか、パリにいた時、配管工事に来た ポーランドの人がいた。彼は、ポーランドなまりの激しい 片言のフランス語で自国にいた時は、法学者だったと 話した。ポーランドの経済はひどい。みんな仕事がない。 あっても、午前中で終わるような仕事で、午後は家に 戻って、家の修理工事か野良仕事みたいなことを しているような国だ。経済的な発展がまるで望めない 貧しい国だと話した。彼は、もの静かににこやかに、 話した。ある日、雑誌にポーランドの政治を批判する 内容の記事を載せたとの事で警察が来て、 亡命するか、ポーランドに残って投獄されるか どちらかを選択するように言われた。彼には妻と 二人の子供がいたが、投獄されれば、何が 待っているかわからない。亡命を決めた。 フランスに来て、法学者として生活はできず、 なんとかして、配管工事の仕事につき、その報酬を ポーランドの家族に送った。妻と子供たちの写真を私に 見せながら、クリスマスにスペインで家族との再会を 夢見て貯金したお金を送ったが、妻から、ポーランドを 出たくない、という返事をもらったと相当がっかりしていた。 あの人はその後どうなったのだろう。 1988年、パリ大のクラスに、ポーランド人のクラスメート がいた。彼女が家族から受け取る手紙はどれもすでに 封を切られていたと言う。ポーランドで、海外に出ていく 手紙は全部検閲されていたらしい。 私には20世紀でまだそんなことが世の中に起こって いるのか、と当時は驚くことばかりだった。 インターネットで在日ポーランド大使館発行の資料を 読むと、第二次世界大戦後のポーランドは、ソヴィエト・ ロシアの共産主義国家の意のままにされ、不正政治、 検閲、文化・芸術の政治的監視・教会組織を含む その他の反体制運動の弾圧が繰り返され、1968年には 学生や知識人が抗議運動を起こしていた、と書かれて いる。が、1978年にクラクフ枢機卿カロル・ヴォイティワ (当時58歳)がローマ教皇(亡きローマ法王パウロ2世) に選出された。 これが、ソヴィエト・ロシアの国とは宗教も政治も違う ポーランド独自の自由と経済の発展を求める 反体制運動を元気づけることになったらしい。 こうした運動は深刻化する経済危機の中、1980年代 を通じて続くことになる。 少し、亡きローマ法王パウロ2世、(別名:空飛ぶ教皇) についてもウィキペディアでの情報をここで加えたい。 彼は1920年生まれ、神秘神学・哲学博士、史上最初の スラブ系教皇。彼が、19歳のとき、ナチス・ドイツが ポーランドを占領。学んでいた大学が閉鎖されたため、 鉱山や工場で働きながら勉学を続け、同時に 地下演劇の舞台俳優、脚本家としても活躍した、とある。 ポーランドの自由を求める反体制運動は、ポーランド 出身のローマ教皇パウロ2世の出現で大きく励まされる。 ポーランドの反体制派の勝利を象徴する連帯内閣の 発生から続く変化の流れの中で、ドイツを西と東に分けて いたベルリンの壁が崩壊し、ソヴィエト連邦の分裂や冷戦の 終止符がうたれていく。 ベルリンの壁の崩壊には、実はローマ・バチカンの影の 力、各国のカトリック教徒の情報が大きく役立たれて いたらしい。 こういう流れの中で、ポーランドは民主主義グループに復帰。 実は私は、ベルリン生まれの友人からもらった、あの ベルリンの壁の小さな破片を持っている。 彼女はベルリンからスペインに向けて、車を走らせ、パリの 私のアパートで一泊していくような行動的な女の子だった。 さて、ポーランドの1980年代からの年表を作って見ると、 こんな感じになる。 1980年9月 ワレサ率いる「連帯」発足 (最初の労働組合運動としての自主的社会運動) 1981年12月 戒厳令発令 反体制運動の指導者ワレサなど拘留 1988年 無血革命とされる、政府と 民主主義的反体制の代表者間で 「円卓会議」 1989年 反体制の代表者 タデゥシェ・ マゾヴィエツキを首班とする 「連帯内閣」誕生 1990年12月 大統領普通選挙でワレサ就任 そう言えば、ポーランド映画、アンジェイ・ワイダ監督の 「灰とダイヤモンド」に感動したものだった。 製作の年が1957年だか1959年だか情報がまちまち。 アンジェイ・ワイダ自作を語る 著者:アンジェイ・ワイダ /ヴァンダ・ヴェルテンシュタイン 出版社:平凡社 サイズ:単行本/492p 発行年月:2000年08月 灰とダイヤモンド(上) 灰とダイヤモンド(下) 壁のむこうから来た男 著者:ウリ・オルレブ /母袋夏生 出版社:岩波書店 サイズ:単行本/265p 発行年月:1995年07月 ポーランド語 「灰とダイヤモンド」の国ポーランド 著者:稲村卓 出版社:文芸社 サイズ:単行本/268p 発行年月:2002年05月 パリの亡命者たち 著者:山本耕二 出版社:草の根出版会 サイズ:全集・双書/135p 発行年月:1998年04月 歴史教科書をめぐる日韓対話 戦場のピアニスト 著者:ウワディスワフ・シュピルマン /佐藤泰一 出版社:春秋社 サイズ:単行本/273p 発行年月:2003年02月 奪われた祖国ポーランド 著者:スタニスワフ・ミコワイチク /広瀬佳一 出版社:中央公論新社 サイズ:単行本/397p 発行年月:2001年04月 ナチスに蹂躙されたポーランドに侵攻したのは連合国側のソ連だった。亡命政府を率いて、チャーチル、ローズヴェルト、スターリンと渡り合い、共産主義者のテロに抗して、国家の自立を希求したミコワイチクの苦闘。 貧困の終焉 (2025年までに世界を変える) ジェフリー・D.サックス/鈴木主税|早川書房|2006年 04月発売 現在、全人類のうち10億人が飢餓・疫病・地理的な孤立のために「貧困の罠」から抜け出せず、1日1ドル未満で生活することを強いられている。そのうち、生きる闘いに破れ、死に追いやられる人は毎日二万人もいる。しかし、人的資源の確保とインフラの整備さえ行なわれれば、自然と促される経済活動によって貧困を過去のものとすることができるのだ。そして、そのために必要な援助額は先進各国のGNPのたかだが1パーセントに満たない。私たちは、人類史上初めて「貧困問題を解決できる可能性を手にした世代」なのである。東欧革命中のポーランド、解体直後のロシアなど、世界各国の歴史的局面で経済政策の顧問を務め、トップの政治家たちに助言を与えてきた国際開発の第一人者が、その豊かな経験を振り返りながら、貧困をなくすための方策を明らかにする力強い希望の書。 今日もあなたにとって素敵な一日でありますように。lots of love 人気blogランキングへ ありがとう!Have a nice day ! A+ ! Vineusement vôtre. よろしければ、ぽちっとプレスを。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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April 3, 2017 03:12:55 AM
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