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テーマ:徒然日記(23310)
カテゴリ:猫の華麗な生活
pet hotel
☆ ちょっぴり英仏語 (車を)発車させる démarrer を 英語では to start, to move off, to drive away など。 démarrer には、始動する、(事業などを)始める、うまくいきだす、などの 意味もある。 フランス語のアクソン・テギュをつけた é は ひらったい感じの「え」の音。 ☆ 北フランスから。 パリ郊外、といっても、列車で北へ30分行った 「ら まぉんトゥ ら じょり」での話。 木曜日の夜遅く、パリに仕事に行っていた主人から電話がかかった。最終列車に乗り遅れたから、バスで 「ら まぉんトゥ ら じょり」まで行くから、車でそこへ迎えに来て、とのお達しだった。またか~。 車で行くと、30分くらいはかかる場所にある。 そこで、夜中、車に乗りかけると、猫のクリントが、じっとこちらを眺めているのに気づいた。お前も来る?と、いうわけで、猫を車に乗せて、「ら まぉんトゥ ら じょり」へ向かった。 真夜中の道路は、もう砂漠地帯のように、ほとんど車が走っていない。途中、ある町に入る前の道路で、いきなり、一匹の猫が車の前に飛び出し、時速70kmで走っていた私は慌てて急ブレーキを踏みながら、軽く右側にカーブを描いて避けようとした。ちなみにフランスは右側走行。 昼間、こんなことがあれば、当然、私は後ろの車から追突されても不思議ではない。幸い、後ろには車はいなかった。その猫はバックミラーから、こちらを眺めると道路を渡って行ったのが見えた。ともかく怪我もせず、生きているのを確認したので、私はそのまま車を走らせた。 真夜中の静かな駅に着いてからで15分くらい待った。猫は時々、車のウインドウの外を興味深そうに眺めたり、私の腕の中でじっとしたり。夜中は結構冷えたので、猫は暖房猫に変身。 やがて、駅の中から、アフリカ系のミニスカートの若い女の子たちや若者たちが6.7人くらい出てきた。主人もその後から、寒そうな様子で現れた。彼が車に乗り、私は猫を彼の膝にのせたが、主人は猫をうしろの座席に置いた。 私が、車を発車させて少し進んだところで、駅前に現れた若いアルジェリア系の青年が、私たちの車のライト部分を指して何やら合図した。主人が、それで、私に車を止めるようにいい、私は車を止め、主人がドアを開けて、外へ出た。開けたままのドアから、猫のクリントが、道路に飛び出した。「あ、猫が!」 主人が猫のあとをそっと追いかけていくのが見えた。私は、あ、また猫が迷子になる、と、車のドアをロックし、主人と猫のあとを追いかけた。ついこの間、猫探しで10日間を費やした私は、あ、もう駄目だ、また、大捜査線かあ、とすでにあきらめの気持ち。 アパルトマンを両方にはさんで路上駐車の車が並ぶ通りに主人のシルエットが見えた。主人は、そこで、 このアパートの鉄柵の向こう側の茂みの中に猫が消えたんだよ、と言った。それを聞きながら、通りを突き抜けたような場所に、猫のシルエットが見えたので、私はそこへと必死になって走った。それは、違う黒猫だった。また別の猫が塀の上の向こう側に逃げていくのが見えた。 主人が道路の向こうから、私に向かいながら、やってくる。どうやら、違反駐車に気づいて警官たちがやってきたらしい。私は、あわてて、また警官たちの方向に走っていった。「今晩はあ!すみませ~ん。車ですよね、すみません!!」ユニフォームの若い警官たちは、「ボンソワ-、マダム。」と言ったところで、私は、口早に説明する。 「猫が車から飛び出してしまって、あ、車、どかしますから。」と、言いながら、後ろを振り返ると、また猫のシルエットが通りの向こうに見え、私は気が気ではない。「すみませ~ん。あそこにいるのが、うちの猫かも知れないので、見てきてもいいでしょうかあ。」 警官たちは、意外にも親切に 「ああ、いいですよ。見てきてください。」と言ってくれた。普通なら、ここで、身分証明書を見せなさい、とか違反駐車代金を命じられるものであるが、それを一応覚悟して、主人に車の鍵を渡して、車は主人が駐車場に移動し、その後、彼もまた猫探し。 私は、猫のシルエットを追いかけて、また走り、あるアパートの庭先にやってきた。猫は鉄柵の向こうの石段の上にじっとしている。町の電灯では、はっきりと猫の顔が見えない。クリントなのか違う猫なのか、わからない。私が名前を呼んでしばらく、頑張っていると、アパートの一部屋の明かりがついた。あ、怒られるぞ~、と思い、アパートの前から消える。 半分、あきらめて、主人のいる場所へ戻る。警官の人たちは?と聞いたら、もうどこかへ行ってしまった。自分たちが猫を探しているのをどうして知っていたのかなあ、と言うので、それは私が説明したから、と言った。 主人は、「なんで猫を連れてきたの。」と言う。喧嘩をしたくない私は、ふ~、と返事にならないため息をつく。主人は、「このアパートの鉄柵の向こうに消えたんだよ、なんで別の場所を探しに行くの?僕のこと、信じていないでしょ?」「そんなことはない。」 それで、私もしばらく主人の言う鉄柵の向こうの暗闇の向こうを眺めて、猫の名前を呼んでみたが、あたりは静まり返っている。来る途中で、命を助けた猫を思い出しながら、かみさま、あの時、一匹の猫、たすけましたよね、今晩、私たちにクリントを返してください、などと本気で思っていた。 私は、通りの向こうをまた眺め、再び猫のシルエットを追いかけて行く。そしてまたがっかりして主人のいた場所へと向かう。すると、町の薄暗い電灯に照らされた主人がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。寒いのか、腕を抱えるように歩いて来る。 いや、腕の中にクリントがいる。私には、その姿が奇跡に思えた。主人は、じっと鉄柵の向こうを眺めていたそうだ。すると、猫の二つの目が茂みの中に現れて動いて消えて、また現れたので、主人は猫がずっとそこにいるのがわかった、という。しばらく名前を呼んだら、やっと出てきた、という。主人が呼んだら、出てきた猫。そのことに、何やら密かに喜んでいるようだった。 「どうして、お前が呼んでも出てこなかったんだろうねえ。あ、どうして、僕たちの車に合図をしたか知ってる?お前ねえ、ライトつけてなかったんだよ」 にゃんと。 ロマンティック・ケネディ 今日もあなたにとって 素敵な一日でありますように。 lots of love 人気blogランキングへ ありがとう!Have a nice day ! A+ ! Vineusement vôtre. よろしければ、ぽちっとプレスを。 ○ 劇団 無=魂の 「桜」 公演 2007年5月17日~20日 東京 六本木アトリエ・フォンテーヌにて! Bon Voyage ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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April 16, 2017 07:42:25 PM
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