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カテゴリ:南仏
公園のベンチに座っていたら、目の前を小さな可愛いリスが
ささっと驚いた様子で走って過ぎた。 今日は青空、でも寒い。 かなりお年を召した婦人が話しかけてきて、お年なんだけれども とても流暢に比較的はっきりしたお声だったので、良かったら お隣に座ってお話を続けてください、と話したら、ご婦人の 口から驚く話がたくさん出てきた。 はっきりいって、うそだよねえ、と思いつつも話としては 結構面白いかも、と思いつつ聞いた。 ご婦人はクロードさん。はっきり言って名前も嘘っぽい。 1917年生まれ。これはほんとうらしい。 自称もと女優。元フランス大統領のド・ゴールに頼まれて コルシカ島を守るために働いたりした、と。 それから、イタリアのムッソリーニにイタリアに来ないかと言われ たけれど、ムッソリーニが嫌いだったから、飛行機の切符とか 全部返した。 ジャック・シラクや当時22歳のサルコジーなどの政治家の教育を したり、外国人の特に女性の教育とフランス語取得促進に従事したり。 南仏エックスの昔の市長は意地悪で特に彼の奥さんに意地悪だった ので、奥さんを助けたり。 レイプされて出来た子供達の教育やレイプされた女性達を助けたり もした。ある一人の女性は親戚に誰か助けてくれそうな人はいない と聞いたら、女性がアメリカでホテルを経営しているおじがいると クロードさんは政府に頼んで彼女にアメリカ行きの切符を買って 若い女性をおじのもとにやり、後に彼女はたくさんのホテルを経営 して、億万長者になった。クロードさんが助けた女性達はみんな お金持ちになった、と。 上の話が仮に嘘でもなかなかいい物語だと思う。いや、これに関し てはほんとうかも、と思ったり。 クロードさんの亡きご主人は貴族で、手の甲にキスをする人で彼女 は左翼だったから、それが嫌だった。亡きご主人の家系はフランス のあちこちにお城を持っていて、あのシャンボールの城も持ってい たが人に騙されて全部の城を手放して、主人はそれをすごくくやし がっていた。 え、あのダ・ヴィンチが建築デザインに加わったあのお城を? クロードさんはフランスで一番最初にコンピューターを持った人。 ふと気になるのが、コンピューターが世の中に出たのが一体いつ だったかな、と。 クロードさんの亡きご主人のおじいさまはヒットラーがフランスに 落とそうとした原爆を阻止した人。 え?原爆はナチを恐れたアインシュタインがアメリカに原爆の 作り方を教えて出来たものだったのじゃ? クロードさん曰く、ナチはオーストリアから原爆の作り方をスパイ して盗んでいて、すでに原爆は持っていたのよ、と。ええ?! 元フランス大統領ジャック・シラクが公金横罪などで起訴されてい るけれど、クロードさんはシラクさんにコルシカの事務所のやって いることをきちんと把握しないととんでもないことになると注意し ていたのに、ほらね、この通り。シラクさんはコルシカ島の人には 愛されているから大丈夫なんて言っていたけど。 え、じゃ、それはコルシカの人のせい? そう、あれはコルシカ人が捏造した請求書よ。 話の途中で南仏大学の教授らしきこともされたような話が。 家に帰って主人にその話をしたら、鼻先で笑い飛ばされた。 嘘を並べて人の注意を引きたがるご老人の話だよ、と。 まあ、うそかも知れないけれど、うそでも聞いていて 面白かった。 そう言えば、お年を召していらっしゃるのに、いわゆる 南仏訛りもなくて、お年なのに、耳に心地良いはっきりした 発音で。 たとえば、1934年生まれの大家さんはメチャ南仏訛り。 いつかあのご婦人とカフェに誘って、お話聞くのも面白い かも。 メモとって、ご婦人のお話の信憑性の確認も取って見たい。 なんて、そんな時間があったら。 でも、確かに世の中には嘘八百並べるのが異常に上手な人も いるし。 そういう才能を小説家として発揮すればいいのになあ、と。 実際、もとベルギー人で今はカナダかアメリカに住んでいる 女性で、ユダヤ人に生まれたために戦中親はアウシュヴィッツ に送られ、少女だった彼女は森に逃げ、狼に一時期育てられた 話を実話として書いて、好きな人は私のように好きなわけで、 私も実話として信じていたけれど、去年か一昨年か作者の 笑顔の写真と一緒にあれは作り話でした、と。 でも、辛い戦中を過ごさねばならなかった子供の唯一の逃げ場 はそういう空想の世界だったの、と。 ユダヤ人名と戦後のユダヤ人被害者を研究していた人からも 彼女のユダヤ人名は嘘ではないかと指摘を受けていた事があった。 でも、彼女の本はほんとうによく書かれている。とても感動的。 ミーシャ 【内容情報】(「BOOK」データベースより) ナチスに占領された戦渦のヨーロッパ、一人のユダヤ人少女が両親を探し求め3000マイルに及ぶ過酷な旅に出る。生き残るために狼の群れに入り、彼らの一員となって。ホロコーストを生き延びた少女の驚くべき物語。 【著者情報】(「BOOK」データベースより) デフォンスカ,ミーシャ(Defonseca,Misha) 1937年、ベルギー、ブリュッセル郊外に生まれる。第二次世界大戦中、レジスタンス活動家の両親のもとで幼少期を過ごす。現在、夫とともに米国マサチューセッツ州在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 8, 2017 08:20:20 PM
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