|
カテゴリ:素晴らしい絵画
南仏エクサンプロヴォンス Aix-en-Provence の、とある小学校や幼稚園に使われている建物の一角にアトリエを構える画家ジャッキーさんのアトリエ公開ということで主人と二人で日曜日の午後、歩いて見にいこうと外に出た。
中心街を歩いていると、通りの向うでラフなスタイルのカップルが主人に向かって手を振りながらにこやかに叫んだ。サングラスをかけた細身の背の高い飄々とした雰囲気の中年の男性とその横にやはり細身の活発そうな顔立ちの女性。主人の知り合いらしい。夫によるとフランス人のその男性はパプア・ニューギニアの研究者たちや民族学者の間ではかなり有名な人らしい。奥さんも研究者らしい。 その二人がすぐそこに住んでいるからちょっとアパートを見せるよ、と私たちを招いてくれた。南仏エクサンの中心街に立ち並ぶ古いアパートの一枚のドアを開けて階段を上がった。ドアを開けると中は改築工事中。壁を一枚取り払い台所と書斎兼居間を広々とワンルームにするプランらしい。 大きな高い窓の向うに豊かな緑。中庭をのぞむバルコニーかな、と思っていたら、なんと、台所からこじんまりした中庭へ続くドアが開いており、小さな階段を少し下りて中庭へ下りてゆく。その木々や芝生で青々とした中庭の向うにガラス張りの大きな書斎が見えた。まるで、映画のワンシーンに出てきそうな風景。 なんと、中庭を占有するアパートだったのだ。主人と二人で驚いていたら、男性は相変わらず陽気な様子で、「そうそうエクサンの中心にもこんな所があるんですよねえ。みんな、街を離れてマルセイユの海の近くにいったり、隣の県の田舎に引越ししたりするけど。」と、言われて、私は内心、がーん、私たちがまさにそう、と思わず笑ってしまう。夫はにこにこしながら、「エクサンの街は高すぎてお宅のような物件はもう買えない。」と。 アパートをさっと見せてもらい、フランス人のジャッキーさんのアトリエ目指してまた再び暑い街の中に出た。夫も私もジャッキーさんに出会うのはこれで二度目である。アトリエに行くと、何人かの人がいて、ヴェトナム人の非常に優しい笑顔の若い奥さんがペリエをついでくださった。 で、ジャッキーさんの裸婦の絵に私はえらく感動してしまった。とても美しい線で大胆なポーズにも拘らず嫌らしさなどまるでないのだ。ジャッキーさんはモデルを実際に描いていると、もうそういうレベルは超えるんだよね、と。 そう言えばエゴン・シーレという20世紀初めのオーストリアの画家の裸婦の絵にも私はいやらしさは感じなかった。それよりも人の存在の重みを感じた。 ある一枚の裸婦スケッチを見ているとジャッキーさんはそのモデルは黒人の女性で体重が120kgあったんだよ、と教えてくれた。 「モデルに頼んだ時ね、その女性はすごく驚いて、こんなに太っていてみっともない私なんかをどうして描きたい、と思うのかわからない。私なんて誰も振り向いてもくれないし、絵のモデルなんて絶対無理だから、と断ってきた。 でも、私は、『何がみっともないの?今のままの貴女でじゅうぶん綺麗だよ』とお願いした。 で、あれから、なんと40kg痩せて、恋人ができて今その彼と一緒だよ。 モデルをしている内に自分に自信がもてるようになったんだね。 その彼女が僕のお陰だ、と言ってくれるんだよ。嬉しいね。」 私はその話を聞いた時、実際鳥肌が立つほど感動した。 ちなみにジャッキーさんは自らの愛称をジャコブというユダヤ人の名前をあえて使っている。 理由は昔ユダヤ人の友人がいて、その友人がユダヤ人であるが故差別されたから悔しくて自分のニックネームにしたそうだ。 フランスの現代作家ジャッキーさんの絵は残念ながら、インターネットでは見ることができません。そんな風にインターネットで見ることのできない素晴らしい作家たちはまだまだたくさんいるのでしょう。それにインターネットに載せたからといって必ずしも売れるものではないし、やはり実際に個展を開いて売れるものみたいです。いつか私もジャッキーさんの絵が欲しい、と思いました。 マンチェスター出身のバンド ベガジョーBeggar Joe ベガジョーと知られる前のマンチェスターの 時の姿はこちらです。 街角で歌っていた時のベガジョーBeggar Joe 2007年 川下 笑里歌さんの心洗われる美しいハープ演奏♪ ごっちゃ箱 現代詩人 日本から南フランスに来られる方へ。 小さなメモ。 ちなみに プロヴァンス Province は フランス語で「田舎」の意味です。 南仏のワインもプロヴォンスワインです。 南仏の人は、AIX-EN-PROVENCE を プロヴァンスと呼ばれると バカにされたような気がするのだそうです。 ウィキペディアでも堂々のプロヴァンスになっていましたね。涙。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 9, 2017 06:16:31 PM
コメント(0) | コメントを書く
[素晴らしい絵画] カテゴリの最新記事
|