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カテゴリ:France
金曜日の夜はある版画家のご婦人のエクサンプロヴォンスの古くて素敵なアパートを何日か預かっている友人夫妻に招かれて、そのご婦人宅で夕食をご馳走になった。 画家Jが昔の裏話を披露。昔、彼はマルセイユの市役所から依頼されて若者向けの映画関連の研修を担当していた。で、ある日、自分の仕事場の改修工事の担当をし、マルセイユ市の援助を得て資材を調達。が、届けられた資材がどんどん盗まれる事件があいついで起こった。そこで頭にきた彼は夜を徹して現場に張り込む。なんと、トラックに乗ってやってきた盗人達の中に紛れ込んでいたのは、市役所資金援助の書類にサインをした担当役人。盗みがばれて役人は若い当時の彼に賄賂を提供すると言うが、彼は頑固に拒否。次の日から、彼への脅迫が始まり、アパートの窓が壊されたり、車が壊されたりしたらしい。が、彼は市役所にありのままを伝え、役人は辞職。 画家Jは話が面白い。これは彼の友人で小説家との裏話。友人の小説にJの比較的色っぽいイラストを載せた小説を出版。のち、同本をガリマール社から出版の話になった。ガリマール社の小説はイラストを一切載せないことで有名。が、当時の編集者がJのイラストを気に入ったため、例外的にイラスト入りで小説が出版される。もしかすると、それが最初で最後のイラスト入りの小説かも知れない。話はそこで終わらない。作家紹介蘭で二人は実名を隠しペンネームを使っている。それはよく話し。が、二人の紹介では、実際は背の低い画家が身長185cmはある大男として紹介されていたり、二人の人相はまったく実像とは異なるものにしたそうだ。思わず気になってそれは問題にはならないの?と聞いたら、いやあ、たいして売れた本じゃないし、おふざけです、と楽しそうに画家Jは笑う。こっちまで可笑しくて笑ってしまう。 彼はいつも楽しい事を多くの人と分かち合う、共有することを念頭に置いて仕事をしてきた、という。若者対象の研修を担当した時もそのために市役所から与えられた任務と少しずれることがあったためかよく解雇されるんだけど、また何故か任命されてしまい、現場に戻ると周囲が、あ、何故またあいつが戻ってきたんだ、と不思議に思われる。自分も不思議なんだけれど、だからといって自分の信念を曲げるつもりはないし、そんな感じで仕事をしてきた。でも、当時の研修生から今僕はとても愛されているんだよ。久しぶりに会うとあの時が人生で一番楽しかった、あの時があったから今の自分がある、って言われてすごく嬉しい。なんでも、僕なんかのファンクラブをおふざけで作ったらしい。と。 彼はユーモアたっぷりで知性に満ち溢れている。奥さんもよく笑い知的な人だ。 どうしたら彼のように生きられるのだろうか。彼の生き方には何か見習うものがあるような気がしてならない。義務や野心から勉強したり仕事をするんじゃなくて楽しみながら一生懸命になるそういう生き方。 実際、画家として彼はアカデミックな勉強はしていない、という。細密画のように描く、とか静物画なんてイライラしちゃって僕にはできない、なんていう。が、彼の描く裸婦はほんとうに美しい。僕は与えられて学ぶ、なんて全然ダメ。つまり、自発的でないとのめり込めない。 昔、フランスの有名男性デザイナーもドキュメントインタビューで、「僕は仕事するって大嫌いなの。」「ずっと今まで自分は仕事してきたなんて感じたことはない。ずっと遊んできたのよ。」って。 そういうけどねえ。 でも、画家Jは前回会った時は、絵でも何でも集中して必死になる時間が必要だ、それなしで自分のほんとうにやりたいことはできない、とも話し、その後で、ある有名なピアニストの話をした。そのピアニストがインタビューで、幼少の頃から音楽お好きでしたか、とか聞かれて、「いやあ、好きも嫌いもないよ。親が僕を無理矢理ピアノの前に座らせて弾かせたんだ。僕は嫌だったけれど、親に強制されたんだよ。だから、もし親がピアノの代わりにドラムを置いていたら僕はドラマーになっていたと思うよ。はっきり言って何でも良かったんだ。」そこまでいうか、って感じ。要は鉄は熱いうちに打て、という諺どおりの生き方をしたのか。 たぶん、そういうことをいう人たちは小さい頃に一人で何かに夢中になって遊ぶ時間があった人たちじゃないかな。ピアニストの場合はなんだかんだいってもそれなりに弾けてしまう自分にそれなりの達成感に似た喜びもあっただろうし。ま、次に自分のここがだめだから、ここをクリアしたい、というものと入り混じってバランスがとれていたんじゃないかな。しかも、そこで親が協力的だった。何しろピアニストにしたいわけだから。 自分がクリアしたい、と前向きでいる時に周囲の反対を受けると辛いですよね。挫折寸前ですからね。 ピアニストの話は一見がんじがらめの人生に思えるが。 子供が無心に遊んでいる時は集中しているから、その空間に親や周囲が割り込むと教育上よくない、と読んだことがある。集中力のない子供、自発的に物事ができない子供に育ってしまうリスクがある、という。 話は全然変るけれど、どうして世の中には大型画廊スーパーマーケットがないのかな。服や靴を見るのも楽しいけれど、2,3万円で買えるオリジナルの水彩画や10万円以下で買えるオリジナルの油絵も世の中にはあるし、そういう価格の絵もそれは無名作家の作品だから、という理由だけで素晴らしい魅力あふれる作品が世の中にはたくさんあって、多くの作品は世の中に埋もれたままだ。そしていつまでもピカソやルノワールがどうのこうの、というレベルで終わっている。嫌いじゃないけれど、現在作家で無名作家にも彼らのレベルを超える作品は世の中にたくさんある。なんて思うことが多い今日この頃。 大型画廊スーパーにおいしいカフェやレストランがあったら、さらに最高。そういう場所から一旦外にでたら、風景や人やオブジェを見る感覚が磨かれてしまう。いつも、絵を見たあとで自分は体験してしまうんだけど。 ああ、また徒然なるままに。 緊急時のプチ英仏会話! 英会話あきらめる前に。 ロズモンドのフランス学習法 CHIC PURE16 フランスの貴公子ルイ・アレクサンダーくんのボーイソプラノを聴いてみよう。 マンチェスター出身のバンド ベガジョーBeggar Joe ベガジョーと知られる前のマンチェスターの 時の姿はこちらです。 街角で歌っていた時のベガジョーBeggar Joe 2007年 川下 笑里歌さんの心洗われる美しいハープ演奏♪ ごっちゃ箱 現代詩人 ロズモンドのフランス CHIC PURE16 パリ一人旅プチガイド Bon voyage! パリの一人旅、スリにご注意。Bon voyage! 日本から南フランスに来られる方へ。 小さなメモ。 ちなみに プロヴァンス Province は フランス語で「田舎」の意味です。 南仏のワインもプロヴォンスワインです。 南仏の人は、AIX-EN-PROVENCE を プロヴァンスと呼ばれると バカにされたような気がするのだそうです。 ウィキペディアでも堂々のプロヴァンスになっていましたね。涙。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 11, 2010 03:29:03 AM
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