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カテゴリ:France
フランスはそろそろ大統領選挙の投票が行われる。
テレビで大統領候補が多数出演する番組を見ていたら、 男性陣候補はほぼ全員ネクタイにスーツ姿、 「私は羊飼いでした」という長身のラサール氏だって スーツ姿だった。 その中に一人ラフなスタイルで登場したのが、 フィリップ・プトゥ氏50歳。 反資本主義政党。Anticapitaliste 「この中で政治家業じゃなくて労働者って僕ぐらいですよね。 あ、アリトさんも労働者ですね」 学校の先生をしてる女性のアリト氏も政治家業ではない。 このプトゥ氏が番組中に話したいくつかのことに心が温まる気がした。 正直言って、プトゥ氏あまりにいい人すぎる感じで、絶対 大統領にはなれないだろうなあ、と皮肉的な見方をしてしまう自分。 本人も「大統領になっても、すぐにこういう制度を排除して もっとみんなで政治を一緒に動かす方法にします。 だから、僕は大統領にはなりません」 大統領官邸となっているエリゼ宮はどうしますか、と 聞かれて、プトゥ氏、 「これまで裏で陰謀が練られてきた博物館にでもして、 一般公開すればいいんですよ」と冗談も飛ばす。 フランス語で「まぐーいゆ」という言葉を使っていました。 うそをつく、というより、いろいろ隠しごとをして裏で こそこそ陰謀を練る、とかそんな意味です。 面白いけれど、ちょっと不安もある。 それにしても、反資本主義政党。Anticapitaliste 反資本主義という名前がコミュニストと結びついてしまい、 結局はコミュニストが独裁者になってしまった感じの国と イメージが重なってしまうので、この名前はどうなんだろう。 (極左翼の党は別にあるし。 左翼党のメロンション氏もどんな皮肉にも耐えて返す強さがある) プトゥ氏、 「フランスには来たい人が自由に来れるような国にすればいいんですよ」 つまり、来て住みたい人は誰でもどうぞ。 この意見はマリーン・ルペン氏の極右翼の「移民排除」とは真っ向から対立する。 もっともルペン氏の意見には別の大統領候補のアモン氏が茶化して 「また、それですか」 社会党のアモン氏もポーランド人などのフランスの外国人労働者を保護する政策を とろうと思っているようだ。 フランスに在住する労働者はフランスに税金を納める義務がある。選挙権はない。 無所属の39歳のマクロン氏も「そうやってフランス人を二つに分けようとするんですね」 と、ルペン氏に意見。 マクロン氏はフランスは移民もいて生きている国。外国から学生も来ている、 才能ある外国人も受け入れている。フランスは法律的に正しい手続きをとった 移民を受け入れている。これが民主主義が生きている証拠。といったような内容の ことを話している。 フィリップ・プトゥ氏は 「難民とか、シリア難民とか、フランスは豊かな国だから、ほんとうは いくらでも受け入れることができますよ」 こんな言葉は社会の底辺を見た人でなければ、言い切ることなど できないだろう。 彼は工場閉鎖などで明日からどう食いつないでいけばよいのか わからない人々とともにいたから、そう言い切ることもできるのだろう。 極右翼の党のルペン氏は、そこを別の観点から切る。 そういうフランス人を出さないためにフランス国籍の 人間を制限し、国境を閉鎖し、ヨーロッパ共同体から抜け、 通貨も昔のフランに変えようと演説する。 シリア難民にテロリストが紛れ込んだ事件が確かあったので、 極右翼はとりわけ反対のはず。 難民というカテゴリーにいる人の精神的な苦悩は計り知れない。 転勤族の妻が言葉の通じない国にいきなり夫と飛ばされたら、 それも精神的には大変なことだと思う。 日本と慣習も文化も違い、まして自分で志望していくわけでもない。 根無し草である。経済的には恵まれたとしても大変は大変だ。 難民となると、経済的にはゼロ、自分の国に頼れるわけでもなく、 亡命を認めてくれる国がなければ、生きてはいけない。 反資本主義党のプトゥ氏は警察も武装しなければいいんです、と 言う。そして、「解雇はしない法律にしましょう」 昔の日本もよく会社に勤務したら、結婚と同じで一生会社員という仕組み だったような気がする。こんなことを言うフランス人もいたんだ、と ちょっと驚いてしまったのが本音。 最近、解雇が当たり前になっているけれど、解雇する側は ほんとうに明日から生活費が入ってこなくなる人の状況を 理解しているんだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 21, 2017 02:17:30 AM
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