|
カテゴリ:報道記事を読んで
いろいろ、脱線しながら書いていきます。
日本国内で1年3カ月以来拘束されていたゴーン容疑者 (2020年3月9日で66歳になる)がレバノンに逃亡したのが2019年12月30日。 保釈料の15億円を没収されることになった。 15億円を没収されても平気だったのだろうか。 しかも逃亡にかけた金額は50億円?16億円?とも推定される。 2020年1月4日付けのフランスの番組 C dans l'Air と言う番組で pôle Asie à la Fondation pour la recherche stratégique というアジア戦略調査団体の責任者で、 日本や中国の経済に関する本の著者でもあるフランスのヴァレリー・ニケ女史は、 フランスの番組で、日本と言う国についてこう語った。 「日本は約束を守る国なので、日本側としては、今回の逃亡に非常に驚き、また屈辱すら覚えているだろう。約束したら守る、ということを当然のこととしているのが日本人だ」 約束を破るなんてありえない、 まさに、フランス語で ça ne se fait pas. そんなことしないよ、と。 Le Japon est un pays où on ne se méfie pas. 「日本は、(相手を)疑わない国です」 他人を疑ってかかる、という感覚が薄い、ということだろうか。 自分がやはり日本人だからかも知れないけれど、数年前に日本に行った時、 都内でも田舎でも、不思議な安心感、もうほぼ恍惚とするような安心感を 感じたものだった。あれは何だったんだろう、と今でも思う。 都内の電車の中で、一人の青年がほかの青年に「俺、先月の収入300万だった」 みたいな内容の会話をしていて、うわあ、フランスでこんな会話を大風呂敷 ひろげるみたいに話したら、悪い人に後をつけられるか、違う人から そんな話しをしてはいけないよ、と注意されるかも知れない、と思った。 ニケ氏は、 「何故なら、日本は決まり事を守る国だから。 日本は地球上でおそらく最も治安がいい国だと言える」と言った。 Le Japon, c'est un pays le plus sûr de la planet. 「多分、そのために逆に日本では監視するということがフランスに較べて未発達である」 と説明していた。 技術の先進国のはずの日本の意外な盲点だと思う。 ニケ氏もこのままの日本でオリンピックに対処できるのか、と。 ただ、日本にも監視カメラは結構あるのではないの? 治安の良さ世界一。 日本のニュースを読むと、そうとも思えない事件も起こっているが、 確かに犯罪率はなんだかんだ言ってもかなり低いようだ。 フランスではみんなが気をつけている限りにおいて安全だが、 電車に乗って爆睡なんて絶対無理。寝たふりすら止めたほうがいい。 あれはオリンピックの時期は絶対やらない方がいい。 とは言え、全指定席のマルセイユ-パリ間の列車に乗ったりすると、 疲れ果てて寝込むことはあるし、他の人も爆睡はしている。 長距離列車だから、スリなんかは逆に逃げ場がないためもあるかも。 うちのフランス人の夫も昔、最終列車で寝込んで二つ先の駅で気づいて 深夜、車で迎えに行くはめになったこともある。 診療室の待合室にバッグを置いてゆく人は2020年でもいるのだろうか。 あれは、1990年代にパリに数年住んだ後、東京の歯医者さんで、目撃して、え?うっそ。 あり得ない。フランスでこれやったら、お財布盗めって言ってるのと同じ、と驚いたものだった。 が、確かに日本での若い時を思い出せば、自分も確実にしていたことだった。 住む国でそういう感覚が変わるというのは面白いと我ながら思う。 また、日本では、誰かが玄関ドアをノックすれば、 何のためらいもなく「はあい」と開けてしまう。 これもオリンピックの時期は避けたほうがいい。 フランスでは、何者が来るかわからないから、パッとは開けない。 どなたですか、Qui est ce ? キエース と、必ず確認する。 ま、そのくらい懐疑的であったほうがいい。 ニケ女史は、ほかの番組でも、 「自白するまでは拘束する」という世界的には日本のイメージダウンにつながるため、 ゴーン氏にたいして緩和した方法を日本がとったが、 日本国内でも自白強要のやり方を批判的な人たちはいる、と話していた。 司会者の男性は、まあ、中国もそうだし、 フランスだって昔はねえ、と、やんわりと言っていた。 とにもかくも、ゴーン氏はその隙をついて大晦日に逃亡をした。 フランスの専門家が、こういう逃亡は半年前か数カ月前に用意しないとまず無理だろう、 とも語っていた。 そのゴーン容疑者は基本的にレバノンの人。レバノンではブドウ園に出資している。 1920年にシリアと共にフランスの委任統治下に入り、 1943年にフランスから独立したレバノンは 15年に及ぶ内戦などのために経済的には発展を阻まれた。 ローマ遺跡も残されているというレバノンは 岐阜県くらいの面積があり、天然資源は乏しく、人口も610万人程度だそうだ。 ドイツ、米国、英国、欧州諸国、ノルウエィ、フランス、カナダはレバノンの援助国だそうだ。 ゴーン氏は奨学金をフランスから得て勉強した。 義務教育は小学校のみだそうだ。 2017年末までに日本からは有償資金協力として130,22億円がレバノンに送られてきたそうである。 さて、ゴーン氏の話しに戻る。 2005年からルノーの代表取締役社長だったゴーン氏は 2009年からルノー日産の代表取締役社長として、年間最低11億円以上は報酬を得ていた。 フランスのキャピタル誌によると、 2016年は15,6millions euros 日本円で約18億8千7百万円の収入額がわかっている。 ほかの自動車会社の社長もそれくらいか、それ以上の給与を手にしているので、 日産を救ったゴーン氏にしてみれば、まだ少ない方だ、という思いもあったかも知れない。 2009年、前アメリカ大統領のオバマ氏が二度に渡ってゴーン氏に面会し、 ぜひジェネラル・モータースの社長になってくれ、と 当時のゴーン氏の倍の給料を提示した、という。 ゴーン氏は申し出を断り、ルノー日産に残った。 多分、そのあたりから、自分の資金をうまく残そうという方向に拍車がかかった。 それらしきことをゴーン氏自身も日本の裁判官の前で話したそうであることが フランスの経済紙レゼコーに書いてある。 彼はフランス政府がルノー株を買うことを阻止したかった。 それが原因で、故仏前大統領シラク氏を怒らせ、サルコジー氏とも決して良い関係ではなかった。 2014年夏から2016年夏まで、 オランダ政権下で経済相だったマクロン氏(現仏大統領)は すでにゴーン氏の独断とも思える収入額に怒りを隠せなかったそうである。 なにしろ、株主総会でゴーン氏の給与額に賛成できない、と 結論が出たにも係わらず、高額な収入額を認めてしまったのだ。 ゴーン氏の給与の半額以上は株として計上される。 フランス政府は株にかかる税金を軽くしている。 よって、マクロン経済相は給与額を低くするように頼んだ、 というフィガロ紙の記事がある。 当時、政府はすでに20パーセントのルノー日産株を持っていたので、 発言権があったようである。 最初、ゴーン氏に容疑がかけられ、日本で起訴された、と聞いた時は、 ゴーン氏を懲らしめるために、フランス政府が日本の日産か 日本政府に協力を頼んで逮捕したのか、と思ったくらいだった。 だから、すぐ釈放されると。 が、その世界一安全な国と定評があり、 アジアの中でも最も欧米化していると思われた日本が 自白強要で長引く拘束をする国だということがわかり、 ゴーン容疑者が人質司法だと叫び始めたため、 これでは日本のイメージダウンにつながり、日仏関係が悪化し、 ルノー日産も危うくなると、もう、ゴーン氏を逃がそう、 社長でもなくなったし、もうよい、 となったのでは、とちょっぴり想像してしまった。 実際はもっと深刻でそんなものなどではないだろう。 この事件を扱う当事者の困惑は想像もできない。 日産でも確かそうだった、と思うが、フランスのルノー社でも、 ゴーン氏のワンマンぶりと威圧感と彼に好かれたいと思わせる何かと、 同時にまともなミーティングができない極めて重い雰囲気はあったそうだ、 とフランスの番組で語られていた。 また彼に意見する者は解雇されていった、とも。 フランスのジャーナリストも彼のやや独裁者的な面は否めないでしょう、と語る。 コストキラーとして工場閉鎖を断行した人物でもあるし、明日は我が身と思う部下がいても不思議ではない。ま、それはしかし、現ルノー社社長のスナール氏も工場閉鎖をしたことはある人なので、それは、ゴーン氏に限ったことではない。 もう一つはルノー社内で社長に意見を仰ぎたい、相談をしたい、と思っても、 本人がなかなか捕まらない状況だった。 え?いま、どこの国にいるの?ニューヨーク?リオデジャネイロ?日本?オランダ?どこ? ゴーン氏の脳裏にはおじいちゃんかな、外国を駆け抜けて仕事をしている祖父の姿が焼き付いていたようで、成功するにはああでないとダメなんだ、と思っていた節もある。 子供時代のそのような思い込みと言うのは意外に根強く残ったりする。 フランスのSudOuest誌は、 2018年のルノーからの収入は1,000,000ユーロは確定している、と報じている。 100万ユーロは約1億2千93万円相当。 ゴーン氏は2012年からオランダに本籍を置いていた。 収入税はオランダに収めることになる。 一方で、ゴーン氏がオランダに183日以上滞在する証明が必要になる。 フランス側としては、この点を追及するとのことだった。 2019年6月24日のキャピタル誌の記事で、 La Direction National des Vérifications de situations fiscales (DNVSF) という政府機関が財政調査の一環として ゴーン氏の飛行機の使用頻度、電話の発信位置で場所を確認したり、 移動の内容などを細かく調査し、オランダでの滞在期間が183日に達しているかを 見ることになる、と。2012年から約8年分を調査することになる。 そのことはゴーン夫妻に前もってメールで知らされており、 調査期間は約一年かかる、と記載されていた。 フランスのル・クオティディング誌が伝えるところによると、 Mazars 会計事務所の監査報告で次のことがわかっている。 ルノー日産のオランダのホールディングBN社を通じて、 アリアンスの代表取締役社長の権限とは関係なく、 約13億3千75万円相当をゴーン元社長が個人的に使用した。 この内容はすでにルノーの取締役会で2019年6月4日に開示された。 この中には一部、ルノーからの費用として、 2016年10月のヴェルサイユ宮殿でのゴーン夫妻の結婚式費用が含まれていた。 この約13億3千75万円相当が、ルノー社からの現物支給もしくは benefits in kind あるいは les avantages en nature として 認められるものであるならば、 給料の一部として記載されるべきものであり、 40パーセントは税金として納めなくてはいけない。 ともかく収入額面でいろいろあったようだ。 21年来、ゴーン氏を知るというフランス語を話すレバノンのジャーナリストは ヨーロッパ1 のインタビューで、ゴーン氏の逮捕は確実に陰謀だと語っていた。 ゴーン氏は近日中に声明をあげるそうだ。 もしもゴーン氏が日本ではなく、ヨーロッパで逃亡していたら、 フランスに引き渡される可能性はあったそうだが、 日本に引き渡されることはないそうだ。 一体、この事件どこに向かうのだろう。まったく想像がつかない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
January 11, 2020 08:10:53 PM
コメント(0) | コメントを書く
[報道記事を読んで] カテゴリの最新記事
|