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カテゴリ:教育
ハリウッド映画俳優のマット・ディモンが フランス、低地ノルマンディの騎士ジャン・ド・カルージュ4世を演じる映画を この間、観ました。「最後の決闘裁判」
リドリー・スコット監督のこの映画はあまりヒットしなかったそうですが、 内容はなかなか見ごたえのあるもので、 14世紀のフランスという時代背景にもこだわりがあったようです。
見ていて、黒澤明監督の「羅生門」を思い出しました。
映画は、14世紀のジャン・ド・カルージュ4世という騎士とその妻の実話に 基づくものだそうです。
決闘は、このジャン・ド・カルージュ4世と、 彼が信頼を寄せていた馬の世話をするル・グリとの対決だったそうです。
カルージュ4世が、100年戦争参加のため、妻を義理の母の城に置いて、遠征。
ある日、その城で義理の母が召使いを全員連れて外出中、一人残された妻が 城に侵入した二人の男の一人に辱めを受け、その犯人がル・グリだったと 妻が遠征から戻った夫のカルージュ4世に隠すことなく報告。
ル・グリはそんなことはない、と否定。
カルージュ4世は、パリ議会に訴え、パリ議会も第三者の存在がないため、 誰が犯人かわからないので、こういう時は、決闘で負けたら悪人、という 今では想像できない「決闘裁判」を認めた、というのが粗筋。
で、ジャン・ド・カルージュ4世は、高校世界史に登場するジャンヌダルクが出現した、 まさに100年戦争(1339-1453)の時代の人で、この人も当時の一人の騎士として、 フランドル地方、イングランド、スコットランドまで遠征したそうです。
ジャン・ド・カルージュ4世の生まれた年を1330年頃と書いている人や 1341年と書いている人がいて、どちらが本当なのかわからなくなりました。
何故、この騎士の話をするかというと、 ノルマンディ走行中に立ち寄った古い煉瓦を積み上げた重々しい城の最初の主が なんと、この騎士だったからです。
つまり、マット・ディモンが演じた騎士、 ジャン・ド・カルージュ4世が所有した城だった、と。
しかし、戦争で遠征ばかりしていたので、 ジャン・ド・カルージュ当人は留守がちだったそうです。
お城の管理をしている男性が夫にした話しでは、 ヘリコプターでこの城の敷地の一角にやってきて、ここで撮影できないか、 と見にきたそうです。
が、実はカルージュの城は、カルージュ生存中の14世紀の Donjon(天守) 庭園も18世紀の様式にしていたため、映画の時代背景にそぐわないと 撮影はドルドーニュ地方の城でされたそうです。
なので、映画の舞台にはなりませんでしたが。
また「最後の決闘裁判」そのものは、地図で見ると パリ市内のマレー地区の少し上の方の広場で行われたそうです。
当時のフランスの王やほかにも多くの人間がまるでショーを眺める如く 見物したそうです。あの闘牛を見物する感覚なのでしょう。
映画の内容そのものは、なかなか重くて、特に決闘の場面は目を閉じましたが、 俳優のベン・アフレックの演技を映画の質をちゃらいコミックに下げている、と 批判する人もいたようですが、個人的には、あの俳優が軽い性格を演じて 風通しを良くしていたような気がします。 やっぱり、どこかに笑いもないと。
この話は カルージュの村では、ずっと語り伝えられてきたようです。
この話には、後から、本当の犯人は、ル・グリではなく、カル-ジュ4世の妻に 恋慕を抱いていた部下の一人が僕がやりました、と後から告白している話も 残っているそうです。
また決闘に負けたル・グリの家族は罰金を払うため、土地も失い、完璧に 破産し、カルージュ4世は大金を取得し、十字軍遠征でアフリカに行った、とか。
このカルージュの城は、ジャン・ド・カルージュの家系が絶えたあと、 ル・ヴナーという家族が取得し、数世代に渡って城に住んでいました。 なので、14世紀から17世紀に建立された城ということになります。
庭園もいろいろ手を加えられ、モーリス・ガブリエルという人の1711年の 図案も残っているそうです。
今では、カルージュの村役場がこの城の管理をしています。 確かにベルサイユ宮殿のような華やかさはありませんが、 そこがまた良くて、控えめな美しさと、城を囲む緑豊かなノルマンディの 美しさの中にひっそり佇む城です。 ただ、最初に訪れた時は、悲し気な曇り空で、この時は、このお城が一層 重々しく見えまして、いやあ、ここには住めないでしょう、とつい思ってしまいました。 二度目、三度目に行った時はお天気も良くて、お城の中にはやっぱり住めなくても、 手入れの行き届いた庭園はさすがに気持ちよかったです。
何故、お城の中に住めないか、というと、大きな台所が半分地下にありまして、 暗いんです。当時の給仕人は大変だったでしょうね。 ごちそうをいちいち階段を上がり降りして運ばなくちゃいけなかったんですね。
と、いうわけで、 映画の舞台にはなりませんでしたが、 本物のジャン・ド・カルージュ4世が所有した城の庭園を歩いた時の6分半の動画です。 宜しかったら、ご覧ください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 23, 2024 08:09:55 AM
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