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テーマ:心の病(7246)
カテゴリ:昔話
私は心理学の勉強がてらAAの自助グループの傍で傾聴ボランティアとして一定の時間座ることを1年ばかりしました。
自助グループの集いがお開きになったあと、所長と副所長と3人で、一人一人の悩み事を聞いていました。 堂々巡りの人もいましたが、話してすっきりしたという人もいました。 所長さんとはたびたび、そうした悩み事を話した人たちが帰った後、アルコール症の恐ろしさやAC(アダルトチャイルド:もとはアルコール依存症の家庭に育った子供たちに共通する性格や人格の総称)のことについて語り合いました。 私自身がACでもあったのでよく泣いて助けていただきました。 それから結婚してすぐ子供に恵まれ、所長さんや仲間達とのおつきあいも疎遠になりました。 しかし、何かしら思い出して時間をみつけてはその会合の場所にでかけたのですが、都合があわず全く会えませんでした。 そんなようなある日、でかけたところ、副所長さんに会いました。そこで衝撃的なことをお伺いしました。 Aさん、なくなったよ。レインボーブリッジから身を投げてね。だいぶ断酒生活に慣れて家族とも復縁しようとした矢先だったんだ。きっとその復縁でのいろんなことでストレスを感じて酒に手を出してしまったんだろうね。その勢いで飛び込んだらしいよ。少なくとも、家族で 葬式出してもらえただけよかったかもしれないね・・・。 Aさんはいつも低姿勢で自分は家族に悪いことをしてきた、体もがたがたで自分がいかに酒で自分をむしばんできたかよくわかったよ。そのつぐないとして生きなきゃね、と自助グループの話で語っていました。 片足をいつもひきずっていたAさんとは花見にもいっしょに行った仲でした。 いつも会うたんびに「元気にやってる??」と声をかけていました。 自宅に帰ってから空しさが心に広がって何ともいえない気持ちになりました。 私の父もあと一滴飲んだら死にますよと医師に言われていたにもかかわらず、私に「俺になにかあったらあとのことよろしくな、頼れるのはお前だけだから」と子供の自分には酷な言葉をのこして単身赴任し、その赴任先で倒れて入院2週間目になくなりました。 一種の自殺としか思えません。 それから更に2年たちました。 ある日突然、所長さんからお電話を頂戴しました。 これまた衝撃的な話。 腰痛がひどくなっていたことは知っていたが・・・・。 俺、所長やめたんだよ。スリップしてしまってね。もう誰も俺のことを信じてくれはしないだろうな。あんなにえらそうなことを沢山言ってきたけれど、いざ自分のことだとこの有様だもんな。みんなに見放されているよな? 少し、ショックで黙っていた私ですが、口を開いてほとばしるようにいいました。 「そんなことはないよ。みんなBさんのこと心配してるよ。仲間でしょ。えらくもない仲間なんだから、仲間が苦しんでいたら見放すわけないでしょう。えらそうなことを言ったからと言ってそれはそのときにはその人には必要な言葉だったのだからべつに公開する必要はない。」 そしたら、電話の向こうのBさんはすすりないていた。 見放されていないか?本当か?一人ぼっちじゃないか?もしそうだったらうれしいねえ。 信じていいのかな? 「信じていい。私も含めてみんなどうしているかなと思っているよ。なんで私が毎年かかさず 年始の挨拶をしていると思っているの?忘れていないよといいたいからよ。他の人たちはどうしたらいいのかわからないだけ。思っていることは私と変わらない。」 うれしいこといってくれるじゃないかい。俺、今、腰痛がひどくって介護を受けながら生活しているんだよ。身動きできなくってさ。寂しいもんだね。でも俺が招いたことだからしかたないんだけどさ。 すすり泣きながらずっと「見放されていないんだね」という言葉をくりかえしていました。 電話を切った後、また少し空しさを感じましたが、その所長さんが元気な頃にしていただいたことに対する恩は変わりません。これからも支えになりたいと思いました。といってもできることは毎年かかさず年始の挨拶を写真つきですることぐらいですが。 ただお願いだからもう死なないでと思います。 アルコール依存症で死ぬ人の最期は本当に本当に悲しいものですから。 話ちがいますが、人ってまちがえることあたりまえですよね。 まちがえたらやりなおせばいい。 何度でも何度でも何度でも。 どん底に突き落とされるまでまちがえてもやりなおせばいい。 もっともアルコール依存症の場合は家族に与える影響が多大なので離別という悲しさがつきまといますが、それもまた一人でやりなおすということです。 馬場俊英の「スタートライン~新しい風」の詩にあるようにチャンスは何度でもくるから。 それまでは死なないで、自分をあきらめないで。少し休んで遠くを見ようよ。きっと小さいかもしれないけれども幸せが毎日あなたの足元にくるから。 人間にはだるまさんのような生き延びる力があると信じています。 いや信じたい。。かな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 23, 2008 04:46:01 PM
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