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以前、好きな京都和菓子専門のお店がありました。
間口は一見ほどでしょうか… 入るとすぐ左手に季節のお花が大きくいけてあり、その脇にショーウィンドウが続きます。 その中に工夫を凝らした和菓子が、素敵に並んでいました。 和菓子はちょっと高級品でしたが、手土産に持っていくと誰にでも喜ばれる 素敵でかわいくておいしいものでした。 さらに、箱の上に掛けてくれるのしは、季節や用途に合わせた落ち着いた和風の絵柄で 当時としては珍しい巾着のように絞れる袋に入れて下さいました。 お店に入ったときから、 千葉にいながらにして京都の雰囲気を味わえ、 このお土産をあの方に差し上げたら…と、そのきっと喜ばれると思うと、選ぶのも楽しみでした。 そのお店で和菓子を作っていたご主人がお亡くなりになって6年。 お店だった場所を通り過ぎるたび、お土産を買う必要があるたび、 あの心地よい雰囲気のお店を思い出すのです。 今日ははじめての飛び込み営業で回っていたら、偶然にそのお店の奥様のお宅だったのです。 こちらはすっかり緊張していたので、 玄関の網戸越しの奥様が 「どうぞ(中にお入りください)」といわれた言葉に、ちょっと戸惑いました。 それまで出てこられなかったり、 すぐにウチでは要らないよと言われ続けていたのですから。 「どうぞ上がりませんか。」 その声で所長がそのお店の奥様宅だと気づきました。 そうなのです。奥様は私たちだともう気づいていらっしゃったのです。 その時は、もううれしさとほっとした気持ちとなつかしさで一杯でした。 ご主人が亡くなられてから始めたという日本画を見せていただいてから お茶をごちそうになりました。 闘病生活のお話で、 ご主人がなくなる1週間前に、お医者様から無理やり許可をいただいてご帰宅されたときの言葉。 「あぁ、家はきれいにしているね。もう大丈夫だね。」と安心されたようです。 歩くこともできないのに、それでもお医者様にうそまでついて自宅へ帰ってきたかった。 それはご自分が入院されてから、家(家庭)がどんな風になっているのか、 心配だったのだと思います。 最後までご家族を想っておられたご様子を思うと、涙が止まりませんでした。 奥様は、私にこう助言をしてくれました。 「ライセンスがないとダメですよ。」 「こうして(所属長に)教えてもらえることはありがたいことなんですよ。」 まさに、お店に入ってからお土産を手渡すまでの 幅広く深い配慮をされていたお店のご主人を陰で支え続けた方の言葉だと感謝いたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 20, 2006 10:47:16 PM
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