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テーマ:楽器修理専門(66)
カテゴリ:コーラス
合唱団で所有している電子ピアノが、突然一部のキイで音が出なくなったので、しまりのない練習になったが、ヤマハの相談センターに連絡をとったら「地元の会社に問い合わせてみてください」と言う。地元では最大手の販売店、B社に問い合わせて事情を話すと、「キイの接触不良でしょうから、出張修理します」ということになった。もう10年から使っているものだが、とにかく重い。12kgある。
修理に来てくれて、開口一番「これはネジの数がものすごく多いんです」ひっくり返してみると確かに!30本ぐらいありそうだが、すべて同じネジで、近ごろよくあるタッピングビスではなく、雌ねじも金属らしい。良心的な構造とは言える。 ばらして行くと、底板にはスピーカーとコントロールボード、外部との接続ボードとがくっついている。鍵盤のところには、1オクターブ分の接点が2つあるラバースイッチがシート状で取り付けてあり、これの交換になる。なぜ接点が2つもあるのか?これが接触を検知する時間差を検出して、キーが押された速度=キーの圧を検知して、音の大きさを制御すると言うことだ。新しいものだと3点のスイッチになるらしい。更に高精度でキーの圧を検出するのだろう。 交換したスイッチを見てみると、音が出ないキーのスイッチは確かに摩耗している。0.1mmくらいではないかと思うが、確実に短くなっていた。かといって、今回はC#とGの、ともに高い方から2オクターブのところだったがこのキーばかりをたたいた訳でもないので、あまり出来のよくない部分だったのだろう。と言うことは今後もこういう現象が出てくると言うことだ。「全部交換したらどのくらいかかりますか?」と聞くと、「部品代と工賃の組み合わせになるのではっきりは言えませんが、3万円くらいではないですかね」と言う答え。新品に買い替えるのよりは安そうだが、まあ音を出す機構(CPU・ペリフェラル)が完動したとしての話だ。 「ついでにハンダを少し盛っておきます」何のことかと思ったら、熱に弱い半導体を扱う為に融点の低いハンダを使うようになり、これが通電の度に少しずつ融けて痩せて行くのだと言う。そして、電子楽器を扱える技術者がいなくなっているのだそうだ。「B社でも私一人なんです。後継者がいないんです」「調律はもうかるから10人以上いますがね」いやはや、どこの業界も大変なようだ。 昔は音叉で音を聞き、それに合わせてピアノの弦を調整していたが、今はクロマチックチューナー。キーをたたけばどの音か判断して表示してくれる。ユニゾンの調整も鳴らない弦を作って、合わせて行けばいい訳で、「腕の見せ所」場面は減っているに違いない。(実際はそんなもんじゃねえぞ!かもしれないが) ハンダの件は昔ディスクリートで回路を作っていたものとしては「じゃあスイッチのとこは高融点のを使えば良いんでは?と思うのだが、多分工数の増加でコストアップがあるんだろう。「商売は儲けてナンボ」なのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年06月22日 19時38分43秒
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