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テーマ:コーラス(2701)
カテゴリ:コーラス
突然メールが入ってきて、Finale(楽譜作成ソフト)が開発終了、すなわち廃業するという。音楽業界以外ではほとんど無名と言っていいと思うが、まあ譜面を書くものにとってはエクセルがなくなるようなものだ。
Finaleはこのたぐいの老舗で、40年前にはもう存在していた。初めてMacを買った時に、デモ版がくっついていて、「世の中にこんなソフトがあるなんて!」と思ったものである。 楽譜と言うのは手書きが基本で、これを写譜屋が清書し、更に印刷屋が版を起こして校正を繰り返し、量産すると言うのが普通だった時代にいきなり作曲者が版下を作ると言うのである。写譜屋は大量失業したに違いない。そして、更に模範演奏をコンピュータがやると言うのである。 一アマチュアでコーラスしか知らない私が着目したのはその演奏機能だった。当時の電子楽器は音階と長さ、強さの情報を受け取って演奏するので、五線の譜面をコンピュータの情報にするのは人間だった。作業は単調そのもの。しかも間違える。 コーラスを作るのに時間が一番かかるのは「音取り」である。譜面を覚えるのだが、アマチュアがアマチュア相手に音をそろえるのは個人の素質と、繰り返し回数に依存する。誰もがピアノを持ち、弾ける訳ではない。コンピュータの出力を録音し、個人に繰り返し聞いてもらえるようにするのに最適のツールだった。他のパートも混ぜて録音すればハーモニーのイメージ作りも出来る。 こうしてコーラス作りに使っていたが、横着になるのは世の常、「楽譜をスキャナで読めないか?」と言う要求が出てくる。Finaleはこの要求に熱心でなかった。そこにつけ込んできた?のがkawaiだった。非常に精度の高い読み取り精度で、「スコアメーカー」と言うのを作った。カワイは楽譜屋としても歴史を持つ。 読み取り能力だけが効いたかどうかはともかく、Finaleは販売代理店が変わったり、身売りが何度かあって結局ここ5年くらいはマイナーバージョンアップにとどまっていたが、ついに廃業になったようだ。何か日本の家電製品を思ってしまう。 しかしFinaleの資源は膨大なはず。20年も独占が続けば相当の楽譜が書かれているはずだ。このデータを読み取って使えるようにつなぎの仕事を含む楽譜ソフトを、なんとヤマハの子会社がやるらしい。何ともすさまじい業界の競争である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年08月29日 17時51分05秒
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