|
カテゴリ:視・紙・誌面から
わたしが生まれたのは朝鮮戦争の時だ。もちろん何も覚えてはいないけれど、「三権分立」とか、「平和憲法」とか言う文字が子供の本にも載っていたのを覚えている。「虎つば」は、戦後の社会を描いて、理不尽な差別や偏見をあぶり出している。
私の父は大正生まれだから、平気な顔で「三国人」などという言葉を使っていた。もう亡くなってから20年もたつので、今更責められることもないだろうが、性差別も「女はあかんな〜」と露骨だった。ドラマでは原爆裁判や公害裁判で、行政の責任を指摘する強い立場にあったが、大学紛争あたりからだろうか、三権分立から「三権総なめ」みたいな状態になって今日まで続いている部分があるのではないかと思う。 お互いに罷免とか不信任とかで牽制しあい、より良い方向に持っていくのが理想と思うが、例えば行政が司法の人事にかかわるようなことがあれば事実上思い通りのことが出来てしまう。集団的自衛権も「解釈の変更」でいつの間にか既定路線になっているし、その上で防衛費増額を財源の裏付けもなく進めようとしている。アベ内閣以後がとくにひどい。 戦争を知らない世代が政権を担った時が怖い、と言ったのが誰だったか忘れたが、ドンバチの好きなミサイルだ、戦闘機だと隣国の脅威(もちろん侵略は犯罪だが)を戦う方にばかり考えて、「どうしたら仲よくできるか」を横に置いてしまっている気がする。暴力団が隣にあるからこちらも力ずくで、では現在の北朝鮮の発想と変わらないではないか。 あまりにも兵力増強に傾きすぎている気がする。もともと自衛隊はGHQが憲法を無視して強行した「保安隊」が始まりだ。ウクライナや中東の紛争もアメリカとロシアの代理戦争といえる。同じような状況に日本を持っていくのか?改憲論者は「現実を見ろ」と言う。今回の自民党総裁候補の中にもそういう人がいる。それはあるべき姿だろうか? 私の世代は戦後の高度成長から、バブルから色々あったけれども、殺し合いだけは避けてきた幸運な世代だ。なぜ80年もケンカをせずにこれたのかをもう一度考えさせるドラマになったように思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[視・紙・誌面から] カテゴリの最新記事
|
|