カテゴリ:ワイン日記
先日のワイン会の終盤は、薬学関係者が多かったこともあって、薬やサプリの話になってしまった。
薬学→生物学から思い出したのは、福岡伸一氏の「生物と無生物のあいだ」。この分野では異例の40万部の大ベストセラー。生物と無生物の違いは何かという切り口から、DNAの発見に関する生物学の歴史、最先端の分子生物学まで、難解な内容でありながら著者の卓越した文章力で読みやすく仕上がっている。 生物と無生物のあいだ この本を読むきっかけは、NHKで放映されている「爆笑問題のニッポンの教養」で福岡氏の話に衝撃を受けたこと。とくにシェーンハイマーが解き明かした動的平衡という仕組みには驚いた。 簡単に説明すると、識別可能な分子(重窒素)を含むエサを大人のネズミに与えて、これがどのように移動するかを調べてみた。シェーンハイマー自身、エサの多くはエネルギーとして燃やされるだろうと考えていた。 ところが調べてみると、識別可能な分子はネズミの体中に広がっていて、頭のてっぺんからしっぽの先までまんべんなく行き渡っていた。実験を数日間続けても、体重は1グラムも増えていない。食べたものが全身に広がっているにもかかわらずである。 つまり、もともとあった分子は分解されて、新しい分子につねに置き換わっているということが、この実験によってわかったのだ。 人は生きていると排泄物や垢が出るように、細胞単位での生死はつねに起きていると理解していた。ところが生きた細胞のままでも、分子レベルでの入れ替わりが絶えず起きているのは驚きだった。 福岡氏は番組のなかで、動的平衡について次のように言っていた。 「去年の私と今年の私は、同じ私のように見えても、分子のレベルではすっかりおかわりありまくりなわけですよね」 うーむ。深い。 それと並んで驚いたのはコラーゲンのうそ。 コラーゲンを含むものを食べると肌がきれいになると思われているけれど、科学的に証明されているとは言い難いらしい。 なぜならばタンパク質の一種であるコラーゲンは、アミノ酸レベルまで分解されて吸収されるので、それが人のなかでコラーゲンになる保証もないし、全身に行き渡るので、目的の部位に届く保証もない。コラーゲンを含む化粧品もあるけれど、多くは保湿剤としての目的で利用している。 結局、タンパク質を含む食品をバランスよく取ればいいらしい。 ひー! 美容・健康に関しては、エセ科学もしくはエセ科学扱いされているものが少なくない。興味のある方は検索してみてね。 マイナスイオン、デトックス、ゲルマニウムの効用、セルライト、etc マイナスイオンは認知度の高い言葉であるけれども、現在の景品表示法では商品の効能の説明に使うことは禁止されている。以前、大手電機メーカーでマイナスイオンを名乗る製品がいくつかあったけれど、現在は完全に廃止されている。弱小メーカーでは現在でもたびたび使っているけれど、ときおり公正取引委員会に摘発されている。 NHK「爆笑問題のニッポンの教養」はおすすめ。「ハゲタカ」などの土曜ドラマ、NHKスペシャルなど、NHKには大人の鑑賞に堪えうる良質な番組が多い。 こちらも福岡伸一氏の本。「生物と無生物のあいだ」を読んだ勢いで、こちらも読んでしまいました。BSE騒ぎは一段落したけれど、なかなか興味深い本でした 「もやしもん」を読んだときも思ったけれど、化学的素養の決定的な欠如を感じるなあ。高校生の化学を、もう一度勉強したい。このあたりの本に興味あり。 高校で教わりたかった化学 気が向いたら投票お願いします→ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ワイン日記] カテゴリの最新記事
|
|