あのね・・・
朝起きて、まだ自分の一日も把握していないのに「笑って朝を迎えていると良いな」ってあの人の事を想う。自由気ままなようで、少しも自由じゃなかったあの人が無邪気に笑って、ふざけて、甘える姿に一緒の明日が見えるような気がした。あの人の笑顔を曇らせる材料は全部、取り除いてあげたい。例えそれが私自身でもね。今日、駅の改札のそばを通る時何度も通った場所なのに知らない場所みたいな気がした。切符を通す機械は私を通してはくれないような気がした。相変わらず私は朝になると、「今日は沢山笑ってるといいな」って思いながらあの人の切れ長の瞳を思い出す。いつかあの人が、好きじゃなかったあの街を離れる時その先が居心地のいい場所だといい。そして、そこで悪戯っぽく笑って誰かに「ねえ、ねえ、」なんていうのかもしれない。それでも、たぶん私は相変わらず「今日は沢山笑ってるといいな」なんてあの人を思い出すんでしょうけど・・・。