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テーマ:今日聴いた音楽(75648)
カテゴリ:クラシック;クラシカル・クロスオーバー
☆カラヤン指揮;ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏による名盤『ビゼー《カルメン》組曲、《アルルの女》組曲、他』が、ESOTERIC SACDハイブリッド限定盤として明日9月14日にESOTERIC製品取り扱い店などでリリースされる。 ■イエス・キリスト教会に響きわたる絶頂期のカラヤン&ベルリン・フィルの超絶サウンドを余すところなく捉えた1970年代初頭の名録音。世界初のSuper Audio CDハイブリッド化。 【収録曲】 ●ジョルジュ・ビゼー Georges Bizet 《アルルの女》 第1 組曲 L'Arlésienne Suite No. 1 [1] 第1 曲:前奏曲 Prélude: Allegro deciso - Andantino - Andante molto [2] 第2 曲:メヌエット Minuetto: Allegro giocoso [3] 第3 曲:アダージェット Adagietto: Adagio [4] 第4 曲:カリヨン(鐘) Carillon: Allegretto moderato - Andantino - Tempo I 《アルルの女》第2 組曲 L'Arlésienne Suite No. 2 [5] 第1 曲:パストラール Pastorale: Andante sostenuto assai - Andantino - Tempo I [6] 第2 曲:間奏曲 Intermezzo: Andante moderato, ma con moto - Allegro moderato [7] 第3 曲:メヌエット Minuetto: Andantino quasi Allegretto [8] 第4 曲:ファランドール Farandole: Allegro deciso - Allegro vivo e deciso 《カルメン》第1 組曲 Carmen Suite No. 1 [9] 第1 曲:第1 幕への前奏曲 Prélude: Allegro giocoso [10] 第2 曲:第2 幕への間奏曲(アルカラの龍騎兵) Entr'acte II: Allegro moderato [11] 第3 曲:第3 幕への間奏曲 Entr'acte III: Andantino quasi Allegretto [12] 第4 曲:第4 幕への間奏曲 Entr'acte IV: Allegro vivo ●シャルル・グノー Charles Gounod 歌劇《ファウスト》から Faust バレエ音楽 Ballet Music [13] 第1 曲:ヌビアの踊り 1. Les Nubiennes, valse (Allegretto) [14] 第2 曲:クレオパトラと黄金の杯 2. Cléopâtre et coupe d'or (Adagio) [15] 第3 曲:ヌビア奴隷の踊り 3. Danse antique (Allegretto) [16] 第4 曲:クレオパトラとその奴隷たちの踊り 4. Variations de Cléopâtre (Moderato maestoso) [17] 第5 曲:トロイの娘の踊り 5. Les Troyennes (Moderato con moto) [18] 第6 曲:鏡の踊り 6. Variations du miroir (Allegretto) [19] 第7 曲:フリネの踊り 7. Danse de Phryné (Allegro vivo) [20] ファウストのワルツ Faust-Walzer ダニエル・デファイエ(サクソフォーン)[L'Arlésienne Suites] Daniel Deffayet, Saxophone ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 Berliner Philharmoniker 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン Conducted by Herbert von Karajan [録音] 1970 年12 月28 日~29 日(1-12)、1971 年1 月(13-20)、ベルリン、イエス・キリスト教会 [初出] 1-12: Deutsche Grammophon 2530 128 (1971 年) / 13-20: Deutsche Grammophon 2530 199 (1972 年) [日本盤初出] 1-12: グラモフォンレコード MG2294 (1971 年10 月) / 13-20: グラモフォンレコード MG2340(1972 年6 月) [オリジナル・レコーディング] [プロダクション]Dr.ハンス・ヒリシュ [レコーディング・スーパーヴィジョン]ハンス・ウェーバー [トンマイスター(バランス・エンジニア)]ギュンター・ヘルマンス [Super Audio CD プロデューサー] 大間知基彰(エソテリック・マスタリング・センター) [Super Audio CD アソシエイト・プロデューサー] 吉田穣(エソテリック・マスタリング・センター) [Super Audio CD リマスタリング・エンジニア] 東野真哉(エソテリック・マスタリング・センター) [Super Audio CD リマスター] 2024 年5 月 エソテリック・マスタリング・センター、「Esoteric Mastering」システム [解説] 浅里公三 西村 祐 [企画・販売] ティアック株式会社 [企画・協力] 東京電化株式会社 ■20世紀における録音メディアの開拓者・カラヤン ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908~1989)は、レコード録音に対して終生変わらぬ情熱を持って取り組んだパイオニア的存在であり、残された録音もSP時代からデジタル録音まで、膨大な量にのぼります。 当シリーズでもこれまでにさまざまなレーベル、さまざまな時期にカラヤンが録音したこだわりの名盤を数多く復刻して参りました。 レパートリーの選定、それぞれの録音会場における理想的なマイクの設定と作品に最適のミキシング、ジャケット・イメージのわかりやすさなど、ディスクというパッケージ・メディアを音楽家にとっての真の芸術作品へと昇華させた功績は実に大きなものがあります。今回私どものシリーズで取り上げるのは1970年代初頭に収録された、フランスの2人の作曲家によるポピュラーなオーケストラ曲のアルバムです。 ■レコードというメディアを意識した選曲とパッケージ化 カラヤンのディスコグラフィで特徴的なのは、自分が演奏会で何度も取り上げた馴染みのレパートリーだから録音する、というのではなく、実際の演奏会とは関係なくディスクとして人気がある演目だから取り上げる、という姿勢が色濃く出ていることでしょう。 ビゼーの歌劇《カルメン》はカラヤンが好んで歌劇場や音楽祭で取り上げたオペラでしたが、このオペラから編まれた組曲や、同じビゼーが作曲した《アルルの女》からの2つの組曲は、LPレコードというメディアのためにフィットするように選ばれたレパートリーでした。 カラヤンがこれら3曲を初めて録音したのはEMI時代の1958年のことで、アルルの風景を描いたゴッホの油彩画をジャケットに使ったそのLPレコードは高く評価され、一瞬にしてベストセラーとなったのでした。 その成功を繰り返すべく、カラヤンとドイツ・グラモフォンは1970年12月も押し迫った時期に、ジルヴェスター・コンサートでのベートーヴェン「第9」のリハーサルの合間をぬってこの3曲を録音し、有名なアヴィニョンのサン・ベネゼ橋の遺構の写真をジャケットに誂えたこのアルバムも、忽ちのうちにアナログ時代の定番となったのでした。色彩感のある、コントラストの強い4曲を選んで一つの組曲に誂えたこの3曲は、いわばオーケストラのショーケースのようなもので、カラヤンはベルリン・フィルというオーケストラの持つ音色とダイナミズムのパレットを最大限に開示しています。 《カルメン》の第3幕への間奏曲や《アルルの女》第1組曲のアダージェット、第2組曲メヌエットでのしっとりとした情感、同じく《アルルの女》第2組曲のパストラールや間奏曲での恰幅のある威厳、ファランドールでの実に緻密に計算された曲の運びとドラマティックなクレッシェンドの妙など、聴き所はいくらでも出てくるほど。極めつけは《アルルの女》第1組曲の前奏曲と第2組曲の間奏曲に出るサクソフォーンのソロを、ベルリン・フィルの団員ではなくフランスの名手ダニエル・デファイエ(1922-2002)に担わせていることでしょう。 ■ベルリン・フィルが精密に再現するオーケストレーションの妙 グノーの《ファウスト》のバレエ音楽とワルツは、ビゼーのセッションの翌月に収録され、オッフェンバックの《パリの喜び》抜粋とカップリングされ、やはりロートレックの有名な版画をジャケットにして発売されました。 このグノーとオッフェンバックというカップリングも、実は1958年にEMIで録音したベストセラー・レコードの再録音に当たります。踊るためのバレエ音楽ではなく、色彩とリズムが千変万化するオーケストレーションの面白さに焦点を当て、名技を誇るベルリン・フィルがそれを真剣に、しかも苦も無く鮮やかに実現していくさまは実に痛快なほどです。グノーの平明・明解なオーケストラ書法をこれ以上ないほどの精度で音化していくカラヤンですが、彼が録音したグノーの作品は、この《ファウスト》のバレエ音楽とワルツを除くと、《ファウスト》のメフィストフェレスのアリア1曲とアヴェ・マリアのみで、オペラや他のオーケストラ曲の録音が実現しなかったのは惜しまれましょう。 ■名だたる名録音を生んだイエス・キリスト教会で収録 セッションはステレオ時代のベルリン・フィル録音の定番だったベルリン郊外ダーレム地区にあるイエス・キリスト教会で行われました。 1933年に完成したこの教会は、第2次大戦中の爆撃でフィルハーモニーをはじめとするオーケストラの演奏会を開催できる主要なコンサートホールが灰塵に帰し、やむなくベルリン・フィルなどの演奏会が行われていたティタニア・パラストも稼働率が高いうえに音響的にも録音には適さなかったため、1940年代後半にドイツ・グラモフォンによって見いだされレコード録音の会場として使われ始めました。 それ以後、現在に至るまでベルリンにおけるソロからオペラに至るさまざまな録音に使われています。遮蔽性にやや難があるものの、天井が高く、響きも豊かで、実に奥深く艶のあるサウンドで収録することができるのがこの教会の大きな利点です。 カラヤンとベルリン・フィルもドイツ・グラモフォンへの契約第1弾となった1959年の《英雄の生涯》以後、1970年代初頭までこのコンビのベルリンでのDG録音のほとんどはこの教会で実現しており、このビゼーとグノーでも、アナログ時代のドイツ・グラモフォンの顔ともいうべき大ヴェテランのギュンター・ヘルマンスの手腕によって、全体を大きく俯瞰するパースペクティヴでベルリン・フィルの濃密なサウンドが余すところなく捉えられています(フィルハーモニーに録音会場を完全に移した1970年代後半から顕著となる弦楽パート偏重を志向したやや極端なミキシングもまだ採用されていません)。 このディスクの4曲がCD化されたのは1989年のことで―――カラヤンは1983年に同じビゼーの3曲(しかもソロもデファイエ)をデジタル録音し、そちらが先にCDになったためこのアナログ録音のCD化は少し遅くなったのでした―――、それ以来カタログの定番となっていますがSuper Audio CD ハイブリッド化は今回が初めて。 これまで同様、使用するマスターの選定から、最終的な DSD マスタリングの行程に至るまで、妥協を排した作業をおこないました。特にDSDマスタリングにあたっては、「Esoteric Mastering」を使用。 入念に調整されたESOTERICの最高級機材Master Sound Discrete DACとMaster Sound Discrete Clockを投入。またMEXCELケーブルを惜しげもなく使用することで、オリジナル・マスターの持つ情報を伸びやかなサウンドでディスク化することができました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 13, 2024 07:01:47 AM
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