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2005年11月11日
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ジャパンファッションウィークイン東京(Japan Fashion Week in Tokyo)が9日に終了した。業界紙各紙も、早速総括の記事を掲載し始めている。

日本の繊維ファッション史上初めて、官によりデザイナーのコレクションの海外発信が支援されたという歴史の転換点に立ち会ったという高揚感からか、各紙ともいささかボルテージが上がり気味の論調が目立っている。

私自身も、何回も神宮外苑に足を運び、非常に素晴らしい事業だと思ったし、単なる願望ではなく現実に2005年が日本のファッション史のエポックになるよう、頑張っていかなければ、ということを強く感じている。

これからの数日間、どのような記事が掲載されるか、あるいは、経済産業省や東京ファッションデザイナー協議会(CFD)さんなどから、どのようなコメントが出てくるか注視したいと思うが、その前に少し考えを整理しておくべきではないか、と思っていることがある。

それは、経済産業省の石毛博行・製造産業局長の発言の中に度々登場している「ブランドコンテンツ」という言葉の意味するところについてである。(ご参考までに10月31日付けの「繊維ニュース」さんの記事をご覧頂きたい)。

私の記憶する限りにおいて、この言葉の意味について説明してある記事、もしくは深く掘り下げてある記事を見た記憶がないのだが?もしどなたかご存知なら、是非教えて頂きたいのだが、ならば、という訳で、ちょっと自分で考えてみることにした。

「ブランドコンテンツ」--この語をそのまま素直に訳すと、「ブランドの中身、内容」ということになる。わがファッション業界の場合で言うと、まずは商品そのもの、プラス、ショップのサービス、ショップスタッフのファッションセンス、VMD、広告宣伝等々、ということになるのだろうか。

それが広義のブランドコンテンツビジネスの意味するところだとすると、それは最近一般的に良く使用されている「コンテンツビジネス」の意味とはかなり異なるのではないか。

今、ネットで検索してみて、わかりやすいページに行き当たった。あずさ監査法人著『コンテンツビジネスの会計』(税務経理協会著、定価2,800円)をPRしておられるページだが、その中に、「コンテンツビジネスとは、情報の内容を活用したビジネスである」云々のくだりがある。

具体的に言うと、映画、音楽、出版、ゲームなど、ネット上で流通可能なコンテンツを指す。これらのコンテンツは、2次利用、3次利用、4次利用が可能で(映画はその典型である)、更にそのコンテンツに登場するキャラクターがらみの物販、そして、日本独特のオタクやアニメカルチャーとして、輸出競争力も高い商材である。

ネット時代にふさわしい将来性の高いこれらのコンテンツ産業の振興に、国は今、非常に注力している。先般このブログでご紹介した「東京コンテンツマーケット」などのイベントも、その一環だ。

今、「コンテンツ」という言葉を使えば、世論を見方につけ予算を獲得しやすい、イメージも非常に良い、という判断があって、石毛局長は「ブランドコンテンツ」という言葉を連発しておられるのだろう、ということは、容易に推察できる。

しかし、残念ながら、ファッションブランドと、上記のコンテンツ産業には、決定的な違いがある。それは、洋服や服飾雑貨そのものは、ネット上で信号化して流通することは不可能な、実体的な“物質”で、必ず物流を伴う、ということである。

そうなると、2次利用、3次利用、などということは無理に決まっているから、それに代わる経済的な波及効果をどうやって上げていくか、という戦略が必要となってくる。

とりあえず、コレクションに登場した商品そのものが売れる、という1次効果を着実に上げた上で、更に狙うべきなのは、次のような市場ではなかろうか。

1.輸出(これは、国も、業界関係者も度々口にしておられることである。輸出振興については、また日を改めて考察したい)。

2.国内市場における、他産業への波及効果

a.ライフスタイルビジネスへの拡張

国際的に見ても、ブランドビジネスの成功事例の王道は、ここにあると言えよう。以前、日本繊維新聞紙上で、三井物産と三菱商事のトップが対談しておられた際に、この話題が俎上に上っていたことを記憶しているが、ラルフ・ローレンとかジョルジョ・アルマーニ型のデザイナーが、衣料品及び服飾雑貨のみならず、香水や、インテリアビジネス、あるいはホテルのプロデュース、といった分野くらいまでを手掛けているのが好例だろう。

いわゆる成熟した大人をターゲットとした、一過性のトレンドではなくスタイルを打ち出すタイプのデザイナーである。基本的には、衣料品とマテリアルが共通するインテリア、ホームファッションの分野が、最も実力を発揮しやすいジャンルになると思われる。

ライフスタイルビジネスへの波及を考える時、実は見過ごせないのが和装の分野である。今回の東コレにも、斉藤上太郎氏や、永澤陽一氏と小泉清子さんのコラボレーションが登場していたが、こういう動きは大切にすべきではないか。

日本のマーケットの中で、特にインテリアの分野で和が消滅することは現時点では考えにくい。むしろ、ストレスフルな社会の中で、和を懐かしむ意識というのは高まっているのではないかと思える部分もある。

輸出を考える際にも、日本独自で他国にはないものとして、売り方によっては可能性が大きい分野だ。私は、JFWに意欲を持って参加して下さる和装業界の方は大切にすべきではないかと考える。

b.ストリート発の若手デザイナーによる、カルチャーの創造及びメディアコンテンツの展開

今回のコレクションでも、「マスターマインドジャパン」「ドレスキャンプ」「タイシノブクニ」らに一般のヤングの関心と人気は集中していたが、これこそが、現時点では他国から一番注目されている日本独自の強みかもしれない。めまぐるしく変化する日本のヤングのストリートファッション、その中から登場してきた若手デザイナーのクリエーションである。

これらのデザイナーズブランドの特徴は、デザイナー自身に強いカリスマ性がある、という点にある。それは、プロダクトデザインと違い、より個人の趣味嗜好に負うところが強いファッションという分野ならではの現象かもしれない。

彼ら若手デザイナーの面白さは、前述のライフスタイル発信型のデザイナーと違って、非常に自由な発想で鋭く時代性を切り取るようなアクションを起こせるところにある。カフェ、美容室のプロデュース、ケータイ電話のデザイン等々、基本を知らなくてもその道のプロと組めば感覚だけでデザインのアウトラインはこさえてしまう、怖いものしらずの強さと勢いを持っている。

これらの若手カリスマが登場する雑誌は、少なからずその恩恵で部数を伸ばしているはずだ。私自身、例えば『Popeye』を買う理由の一つが信國太志氏の「“異形のススメ”Popeyeビザール研究所」を読みたいことにあったりする。その延長線上で、彼らが自分の好きなアートや音楽、食べ物、旅行の話等々をファンに向けて語る番組をネット配信したとしたら?あるいは、デザイナーがプロモートしたショートムービーは?それから、ファッションショーそのものも、ズバリコンテンツとして通用するものだ。有料でもコアなファンがそこそこは集まる可能性は大きいと思う。

ある意味では若手デザイナーの皆さんの存在は、ミッキーマウスとか、ミッフィーなどのキャラクタービジネスにおけるキャラクターの存在に近いようにも思える。その生き様自体が、一つのストーリー性を持って、消費を後押しするエンジンになっているのである。

今後、ITに強い次世代のデザイナーがデビューしてくれば、これまで考えられなかった斬新なビジネス手法で、新たな消費を生み出す可能性もあるだろう。

以上挙げたような経済的な波及効果を生み出すには、デザイナー個人の努力、国のバックアップだけではなく、大手アパレルによるデザイナー育成、デザイナーズブランド育成の努力が欠かせないと思う。

現在の日本に、ミラノ・サローネを席巻するような優秀なプロダクトデザイナーが続々と育っているのは、自動車、IT家電、広告代理店などの大手企業が優秀な人材との協業を進めてきたからである。

そして、短期的な人気商売としてデザイナーズブランドを捉えるのではなく、中長期的に通用するブランドコンテンツを、デザイナーと二人三脚で進めようという意欲とマーケティング戦略が必要なのではなかろうか。

そういうビジネスモデルをデザインする、「ビジネスモデルデザイナー」の育成もまた、今後のジャパンファッション飛躍のためには不可欠なのではなかろうか。

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最終更新日  2005年11月12日 01時29分29秒
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