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nomination1103

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2005年11月16日
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やはり、「ファッション流通ブログde業界関心事」のtakaさんも、今日は同じテーマのエントリでした。

昨日を持って、大手アパレルメーカー、ワールドが上場廃止になった、ということに関して、的を射た解説をなさっておられます。皆様にも是非お読み頂きたいので、リンク&トラックバックさせて頂きました。

ワールドさん自体は、今期の中間決算も大幅増収増益、ということで、非常に財務内容も良いし、今後もこれまでと変わらず情報を積極的に開示して下さるそうなので、ほとんど心配のない企業さんだと思うが・・・。

そういう、日本の超優良企業さんが激しい危機感に駆り立てられている問題の方が、私は強く気になっている。

それは、国内生産を行っている繊維製造業の多くが、経営的に極めて厳しい状況におかれている、という問題である。

横編みのニットのように、既に95%が海外からの輸入になっている業種、元々加工賃商売中心で利幅が薄いところに持ってきて、昨今の原油高で大打撃を受けている染色業のような業種もある。

ワールドは、数年前から、ワールドプロダクションパートナーズ(WP2)を立ち上げ、趣旨に共鳴する国内工場を募集したり、ニットの糸染めを行う本多染色工業を傘下に収めるなど、生産面での体制構築を進めてきた。

特に、直接工場を傘下に収める、という行為には、私は多大なる衝撃を受けた。

これは、他産業の製造業、例えば自動車業界と、そこに製品や技術を納める金型の設計、制作や金属プレス、メッキ加工業などの製造業で最近起こっている、「系列の崩壊」という現象よりも一歩先を行く現象だ。

国際競争、特にコストの安い中国を筆頭とするアジア地域の製造業との競争に曝された日本の製造業は、まずは、より技術力やコスト競争力等の高い企業との取り引きを求め、従来の系列内の下請けとの取り引きに拘らなくなる。

インターネットの普及で、取引先探しが容易になったことが、この動きに拍車をかけている。年間5兆円以上の取引が成約しているらしい製造業向けのビジネスマッチングサイト、NCネットワークさんのサイトを見れば、そのことはよくおわかり頂けると思う。

しかし、繊維製造業においては、技術の高度化、拡張、転用、といったことが、産業用資材を除いて極めて難しい分野である。また、日本の企業自身が、早くから国際競争力の乏しさを自覚し積極的にアジアに進出、ライン契約に始まって合弁や独資などで工場をどんどん建設していったため、当然それと引き換えに国内製造業のシェアはシュリンクしていった。

ここにきて、日本の状況は、かなりアメリカに近いものになってきている。非常に書くのがつらいが、「ゼロにはならない。だが、限りなくゼロに近い」工場しか残れない、というミニマムのラインである。

最早、わが業界では系列を離れて自由闊達に活動する製造メーカーさんの自立心などという甘っちょろい幻想では経営が成り立つような段階はとっくに通り越してしまっているのかもしれない。自前で存立できなくなった製造業のうち優秀な技術を持つところをアパレルが抱え込み、日本国内の母工場として垂直統合するしかないのか。ワールドさんも、上場廃止後は、本多染色工業の事例に続いて、更に複数の企業さんを垂直統合していく可能性が高いのではないか、というのが私の予想だ。

ただ、日本国内の繊維製造業がそれでも一定数は元気で頑張っている理由として、特に機屋さんや優秀な染工場さんに多く、一部の紳士服や婦人服プレテの縫製工場さんもそうなのだが、高付加価値型のものづくりが行われておいるということがある。他産業の製造業における差別化のキー概念である技術力に該当するものが、わが業界の場合は、単純に数値化できるような技術力ではなく、「デザイン」や「色」「風合い」というものと分かちがたく結びついた極めて高度で難易度が高い「感性工学」の領域に達している。

ただ、難易度が高い商品になればなるほど、売れる量が知れている、というのが、わが業界のこの上ない不幸だ。自動車やケータイ、IT家電の商品のように、新商品が一定の数量、しかも長い期間に亘って売れる、という業界とは違う。

だからこそ、是が非でも、日本の繊維製造業は、アパレルやクリエーターのブランド、それも場合によっては日本国外のアパレルやクリエーター、ラグジュアリーブランドに対して製品供給する形でも量を売っていく=輸出を行う必要が出てくるのだ。国内マーケットだけで十二分に生きていける企業さんが多い他産業とは、輸出に対する切迫度が全く違うのである。

しかし、この苦しみは、以前にも書いた通り、いずれは必ず繊維以外の他産業にも及ぶのではないかと、私は中国に行く度に思って帰って来るのだが・・・。

もう1つ、蛇足だが書いておくと、アパレルビジネスの場合、特にヤングの婦人服の場合は、商品のライフタイムサイクルが現在異常に短くなってしまっているので、生産工場に対してクイック・レスポンスが強く要求されるようになってしまっている。

幸か不幸か、そのお陰で、日本国内の工場さん、特に一部の縫製工場さんがまだ生き残れている、という側面がある。

しかし、そこまでの物流を伴うスピードが要求されない業界の場合、技術力が失われたとたんに海外移転が一挙に進む、という危険性は極めて大きいと思う。

その典型が、ITのソフトウェア開発の分野らしい、ということをこの間ある先生から伺った。中国では今、内陸部の地方政府がSEの育成をやっきになって進めているらしいね。製品開発に関わるやりとりも納品もネットで行える業種だから、内陸部にぴったりなのだ。そういう企業が成長してくれば、日本の中小ITベンダーは壊滅的な危機を迎えるのではないかと、その先生は憂慮しておられた。

どんな業界であっても、強弱の差はあれ、国際競争はやはり厳しいんですよ。確かにうちの業界の厳しさは、異業界より常に先にやってきて、その風当たりの強さもハンパじゃないけれど。

だから、私は、身近にいる若い人には、「はっきりいって安易なことは言えない。頑張っても報われない可能性はかなりある。それでも、ファッションが好きで好きでたまらないのなら、一緒に頑張ろう」と言っています。産業用資材でなくても、半端じゃないファッション馬鹿なら頑張れば勝てる、そういう戦略はいろいろ持っているつもりですので(笑)、そういう皆さんは、是非うちの会社に来て下さい。

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最終更新日  2005年11月17日 00時40分15秒
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