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昨日、東京に発つ前に、岡山高島屋でちょっと気になる福袋を発見した。
それは、コレ。メルセデス・ベンツA170アバンギャルドリミテッドである。ベンツには珍しいコンパクト・カーで、平成17年発売の新車。メーカー希望小売価格299万円が、何と260万円!かなりのお買い得である。 1Fのインフォメーション・カウンターの前に設置されていたのだが、「可愛いいわねぇ~」と、福袋を買いにきた女性達の熱い視線を浴びていた。限定1台だが、何名もの抽選参加者が出るのではなかろうか。 東京に来て、現在の生活環境下では車を所有するのはほぼ絶望的だからすっかり忘れていたのだが、岡山に居た時はもちろん車は生活に必要不可欠な存在で、車に関する思い出もいろいろある。 実は、ベンツのもっと大型の車種にも一度だけ載せて頂いたことがある。業界紙の記者時代に、ある経営者の方が自ら運転して下さったのだが、車高が低く、非常に安定感がある。スピードが出ると、地の底を這う感覚と高速による浮揚感という、相矛盾する感覚を同時に味わうことが出来る。ボディもしっかりしたツクリだから事故にあっても安心だということでプロ野球選手などにも非常に愛用されている、という理由がわかるような気がした。 可愛いAクラスを見ていると、その時の感覚が全身に蘇ってくるようで、「コイツを運転してみたい」「欲し~い」というあらぬ欲望がムクムクと首をもたげてきてしまった。ヤバイヤバイ、めったに物欲というものは感じることがないのだが、こんな大きな買い物をしてしまったら破産してしまいますよ(^^;; しかし、このベンツAクラス、最初に登場したのは1997年らしいが、マーケティング的には非常にイイ線を突いているように思う。 ベンツの公式ホームページ(HP)や日本の正規ディーラーであるヤナセさんのHPにはこの車のターゲットについてははっきり謳っていない。というのは、恐らくターゲットは2タイプ存在して、1つは、ベンツを買うほどの所得はないがベンツが欲しいという、ブランド志向、もしくは車が大好きな男性(年齢は問わず)。もう1つは、富裕層の女性(恐らくメインはハナコ世代、バナナ世代と一部の団塊ジュニア)なのではないかと思う。 後者の、富裕層の女性向けマーケットというのは、実は今後大きく拡大していくのではないかと私は思うのだ。最近ヒットしている三浦展著『下流社会』に出てくる女性の類型化に当てはめると、「お嫁系」と「ミリオネーゼ系」に該当するゾーンである。 昔だと、女性の関心事は、お料理、ファッション、コスメ、グルメにせいぜい英会話、といったところに集中している、というのが定説であった。だが、若い世代になればなるほど、学生時代からIT機器を使いこなし、ライフスタイルもアクティブである。従来は男性中心の市場と思われていた領域に、彼女達は貪欲に進出している。 車に関していうと、子供を幼稚園に送り迎えするとか、ちょっとしたところへのお出かけは実家のお母さんと自分の子供達と自分だけで、というライフスタイルは今や当たり前なのだ。それなのに、若い女の子が乗っているのと同じ軽四や、大衆車からしか選べない。リッチな若奥様が自分で運転するのに相応しい車の選択肢があまりにも少ない、というのが現状だろう。 スペックは男性向けと同じ本格仕様、だが、デザインは女性向けに、というようなニーズは、自動車だけでなく、家電、IT機器などの分野に広く潜在しているように思う。 こういう「クロスジェンダー」のマーケット、ファッション業界においては「お兄系ファッション」や「メンズコスメ」など、男性の女性化、の部分のみがクローズアップされているが、その逆の市場、女性の男性化ももちろん存在するのである。 しかし、私の大学時代の同級生の女性にもBMWを自ら運転するような人がいるが、男性並みの商品知識を持った女性というのは、なかなか手ごわい消費者である。ファッション商品を買う際にも、ある部分で非常に割り切った考え方を持つので、「これは自分にとって不要」と思ったものはバッサリ切り捨てるシビアさがありますよ。お金を持っているからといって、必ずしも高額のアパレル商品は買わないのだ。 最近バッグは79,000円とか10万円以上の高いものが売れるが、衣料品の高いものが売れない、というのは、こういうシビアな消費者の価値判断の順位づけにおいて、アパレルは下位に下げられているからだという気がしてならない。日本のアパレルにも、富裕層向けのマーケティングが今後は絶対に必要になってくるように私は思う。 もう1点。高島屋岡山店さんがベンツを、ということ、今回は福袋用の企画だったのだろうが、こういう売り方には非常に将来性があるように思う。 百貨店さんが持っている上顧客。これこそが、百貨店さんの最大の資産だということである。 今の百貨店さんにはMD力が不足しているが、最悪の場合でもここさえ押さえておけばご飯は食べていけるのだ。何故かというと、お客様にはファッション商品だけを売る必要はなく、本来は「お客様が欲しいと思っておられるものを売る」ことをすれば良いからだ。 だから、車だって家だって何だって売っても全然構わないのである。これまでファッション中心で来たのはたまたまそれが儲かる時代だったからで、今後もそれにこだわる必要は全くないと私は思う。 むろん、それぞれの分野に個人向け営業のプロは配置されていて、百貨店さんが異業種に大きく舵を取る、というのはそんなに簡単ではないかもしれない。しかし、特に関西以西の百貨店には、縮小傾向にあるとはいえ、家庭外商の部隊が存在する。異業種の企業さんが持っていない顧客名簿を武器に、一定の手数料を貰って車やマンションなどの大型商品の販売の請け負いや、高額所得者専用のポスティング・サービス(DMの宅配)は可能なのではないか? 外車なんて領域も、私は本当に百貨店さんが手掛けたら面白いと思いますね。もちろん、ディーラーさんも顧客名簿は持ち、個人宅への営業もかけていると思うが、女性の顧客、という切り口は不足しているだろうから。かぶらない客層がかなりいると思うんですよ。 岡山県民は堅実な人が多いからちょっと難しいかもしれないが、大阪、神戸くらいでやってみられたらどうだろうか?1台ウン百万円の商品だから、10台売っても大きいですよ。いかがでしょう? 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月03日 22時11分36秒
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