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2006年02月07日
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カテゴリ:海外レポート
昨日に続き、2月1日(水)から3日(金)までの間フィレンツェで開かれたヤーン展「ピッティ・フィラッティ(Pitti Filati)」のレポートです。

企業のブースでも、トレンドコーナーのテーマカラーに則ってか、自然をテーマにしたディスプレイが目立っていた。複数のブースで、竹を使っていたし(その中には、竹繊維の糸を打ち出しているところもあった)、生きた木を根っ子から抜いてわざわざディスプレイ用に会場に持ち込み、足元に土まで置いてあるブース、水中をイルカと共に泳ぐ人の姿を映写したブース、砂漠の風景を広角レンズで写した写真をパネルにし、壁面全体に大きく引き伸ばして貼っているブース、等々である。

幾つかのブースでインタビューを試みた。日本の中小企業向けに情報を提供している者であると名乗ると、大方の出展者の反応は、「日本経済の復活が需要増につながることを期待している」といった前向きなものだった。

もう一つ印象的だったのは、有力企業は香港、そして上海にもエージェントを設け、客先の利便性を図っていることである。私がピッティ・フィラッティに行き始めた一昨年から既にそういう状況だったが、今や、単純な中国脅威論は全く聞かれず、イタリアのヤーンメーカーは中国に対しては是々非々のスタンスで臨んでいる、ということだ。

グルッポ・テッシレ・インダストリアーレ(Gruppo Tessile Industriale)は、ピュア・リネンやシルク・シャンタンなどを数多く飾っていた。

商業責任者のGiovanni Rossi氏は、「当社はリネン、シルク、カシミアなど、天然繊維だけを扱っている。日本にはエージェントはなく、直接取引となるが、香港にはエージェントは置いている。香港にエージェントを置く、というのは、イタリアのヤーンメーカーにとっては普通のことだろう。とは言え、当社の場合は、主力取引先はアジアではなくヨーロッパに多い。ドルチェ&ガッバーナ、アルマーニ、ラルフ・ローレン、カルバン・クライン等々、デザイナーズブランドからの引き合いが多いのだが、日本からはないのが残念だ」と語る。

私が「日本にはニットのプロと呼べるデザイナーがいないんですよね」と言うと、「非常に残念だ。日本のデザイナーの皆さんにもっとニットを提案するよう是非しっかりPRして下さい」という答えが返ってきた。

前述の、根っ子がついたままの大きな木を置いてあったブースはニュー・ミル(New Mill)だ。名刺を切らしておられるということでお名前を伺っていないのだが、このブースのプレス担当者の方は、非常に率直に同社の戦略について話してくれた。

「今、アップトレンドにある中国に比べ、メイド・イン・イタリーは非常に強いストレスを受けている。とは言いながら、当社は売り上げの4割が輸出で、しかも中国が主力になっている。中国の企業の中には、かなり工場としてしっかりしてきたところと、非常にレベルの低いところと両方があるから、それをよく見極める必要があるのではないかというのが当社の考えだ。当社の場合、レベルの低い会社とは取り引きはしない方針だ」。

「日本の会社だと、伊藤忠、住金物産、イトキンさんなどがありますねぇ」とスラスラと述べるプレス担当者に向かって、「中国の企業が工場ではなく、アパレルとして成長すれば、その時はれっきとした売り先になってきますよね」と私が言うと、「そう、まさにそうなんだよ。そういう意味では、早くそうならないかな、と思って待っている部分もあるんだ」という見解を示した。

日本でも人気のヤーン・メーカー、ロロピアーナ(Lolo Piana)のブースには、CEOのPier Luigi Loro Piana氏もおられたが、コメントして下さったのはヤーンディビジョンマネージングディレクターのLuciano Bandi氏だ。

「当社の2007年春イチ押し商品だが、一つは、シルクに特別のアレンジを加えた糸。撚りをかけて、節を作った糸だ。ビンテージのように、少し古めかしい顔に見えるのが面白い。これは『ナチュラル・シルク』と命名している。もう一つは、リネンのグループ。こちらは、スポーティなタイプと、ストーンウォッシュをかけたタイプを仕込んである」と熱弁を奮って下さったので、早速サンプルを見せて頂いたのだが、これが本当になかなかひとひねり効いていていい味なんですよ。こういういい糸を見せて頂くと、イタリアまでわざわざ来たかいがあった、という感じで、旅の疲れもふっとぶようでしたね。

話はまだまだ続く。「ボリュームのところでは、麻は、ナチュラルカラーやブルー系が多く、カシミアについては、春夏なので明るめの色を50色ストックサービスしている。当社の場合、アメリカの売り上げシェアが最大、次が日本で、中国はまだ新しいカスタマー、といった感じだ。ご承知かもしれないが、日本に対しては本多染色工業さんと組んで非常に特別な、他にないような対応をさせて頂いている」とのことだった。

「ワールドさんですよね」と私が言うと、「そうです。日本は良いものが売れる国だから、非常に期待しているんですよ」と満面の笑顔で答えてくれた。

以上、その他、ピッティ・イマジネの事務局さんが配布したニュース・リリースに取り上げられていた話題は、複数の業界紙さんがそのまま記事になさっておられるのでここで同じことを書くのは割愛したいが、一つ一つ細かく見ていくと底力を感じさせてくれるイタリアのヤーン業界と言えども、昨日書いたように、展示会への参加者数が漸減していけば、何らかの手立てを講じる必要が出てくるだろう。フランスのエクスポ・フィルがプルミエール・ヴィジョンと一緒になったように、こちらはミラノ・ウニカとの合同もありかも、ということが頭を掠める。

しかし、それでも、トレンド提案力や感性の高さ、国際的に通用する素材としてのブランド力、集客力等において、イタリアやフランスの展示会は、日本のジャパン・クリエーションよりもはるかに優位に立つ。帰る道々考えたのは、繊維大国・中国からあまりにも近すぎる距離にあるわが日本のヤーンメーカー、機屋さん達の進むべき道についてであった。

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最終更新日  2006年02月08日 00時33分36秒
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