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カテゴリ:展示会・セミナー覚え書
その人が、もうこの世に存在しない、なんて信じられない。。。
「素足が好き」、その人は、そう言った。 宙に浮かぶ、色とりどりのスニーカー達。山道を闊歩する牛を思わせるような白×黒の柄。白地に赤のピンストライプのキャンバス地の上に、サボテンが乗った靴(中側はリバティ調の可愛い小さなお花柄)。真っ赤なフェルトの上に、岡本太郎氏の太陽のような、まぶしい黄色の“ヒカリ”が置かれているもの。 50足、ひょっとしたらそれ以上はあったかもしれぬ。よくよく見ると、それらのスニーカーの形は各々に個性的だ。ぺったんこなソウル(底)、3センチヒール、5センチヒール、あるいはウエッジソールだったり・・・。 スリッポン型、ストラップ付き、手作業で先を反り返らせた革靴のように、先っちょが天に向かってすくっと立っているもの・・・。 素材だって本当に豊かで語りつくせぬ程ある。ベロア、花柄、水玉、ガンクラブチェックにタータンチェック。夏らしい赤×白のギンガム。マリンカラー。バンダナ柄。ラメが入ったような薄い光沢を放つスニーカー・・・。 そう、その人は、洋服を着替えるように、靴を履き替え、 色とりどりの洋服を楽しむように、靴を楽しみいとおしむことを教えてくれたのだ。 「コム・デ・ギャルソン」や「イッセイ・ミヤケ」や「ヨウジ・ヤマモト」の服に合う靴。デザイナーズ・ブランドと同じように、自由な心で履ける靴。大人の女性が素足で履けるカジュアルな靴。 昔々、『クロワッサン』という雑誌を読む楽しみの一つは、その人の靴に出会うことだったのだ。 会場には、スニーカーだけでなく、アール・デコ調のパンプスやエナメルのアンティーク調シューズ、チロリアンシューズ、はらこのスリッポンなど、その時代時代のトレンドに応じたデザイナーの革靴や、メンズシューズ、ぞうりなど、貴重なサンプルが並ぶ。 そして、羽の生えたスカイブルーの靴。頭の上に靴を載せた人を描いた絵、絵、絵・・・。 「これから君達は、どこへ向かって駆けていくんだい?」 それは、シュールな夢なんかじゃない。その人は、その想いを、一生かけて形にし私達に届けてくれたのだ。 今日、西麻布のギャラリー ル・ベインには、恐らく彼女を心から慕っていたであろう私よりも年上の女性達が入れ替わり立ち替わり訪れていた。 今年2月に亡くなられる2週間前に写したという写真の中の彼女の笑顔。 その眩しすぎる笑顔に、浅草の展示会場でお見かけした時の、素材サンプルをチェックされる真剣な眼差しが重なって、涙が溢れて止まりませんでした。 私が尊敬する人、高田喜佐さんのご冥福を心よりお祈り致します。 ◆高田喜佐展「素足が好き」 2006.5.16(火)~6.2(金) 11:00~19:00(最終日は17:00) ギャラリー ル・ベイン 〒106-0031港区西麻布3-16-28 http://www.le-bain.com PS.今日の「両国さくらの☆ネットでファッション☆」のエントリはコチラ↓↓↓ 「TV通販2社に死角はあるか?」 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年05月24日 00時30分20秒
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