バリ島物乞い女の実態!
バリ島では、物乞い女というのがいる。 信号待ちしている車にやってきて、手を差し出しお金を乞う。さもなくば、スミニャックあたりでは、歩いている観光客に無心したり、店やレストランの前に立ち、スタッフにまで黙って手を差し出す。 こうした女性達は決まって幼児を連れていたり、抱えたりで、みすぼらしい服を着ている。そして、お金の無心を子供にやらせているのも居る。無視しても、かなりしつこく付きまとう。 そんな時どうするのか・・・。 僕は小銭ですら恵んだことがない。 理由は、ふたつ。 第一に、バリではその気になれば、いくらでも仕事はある。道路工事や建築現場での土砂運び、洗濯、掃除・・・とその日を食べるぐらいのお金を得ることは難しいことではない。なのに、見知らぬ人に無心するのは、怠惰を感じるからだ。 第二は、こんな幼い子の時から道端でお金を無心することを手伝わせて、この子は将来どういう価値観を持つ大人になるのかと暗い気持ちになる・・・。 こんな事があった。 スタッフと車に乗っている時である。信号で止まっていると、例によって物乞い女が乳呑み児を抱え、車の窓ぎりぎりに立ち、無表情に手のひらを差し出した。僕は、いつものように無視していた。ところがバリ人のスタッフは、窓を開け、千ルピアを渡した。勿論女は礼も言わず、次の車に向かった。 ちょっと待った! このスタッフは、ほんの五分前に、今晩の赤ちゃんのミルク代がないからと、僕から1万ルピア借りたばかりである。訝しそうに見る僕の視線に応えるようにスタッフはさらりと言った。 『僕もお金がなくて借りたばかりで今は1万ルピア持っている。だから、あの女の人にも分けてあげたんだ』 実に、バリ人に限らずジャワ人も、自分の明日のお金がなくても、お金を恵む。 それを見ていると、なんとも複雑な思いに駆られる。 僕の考え方が間違えていて、僕はなんともちっぽけな人間なのか・・・と。そして、インドネシア人が弱者や年寄りに優しいのは、一体どこから来ているのだろうか・・・と。 ところがである。僕は見たのだ! スミニャックの漁師の近くに、サテのカキリマがあり、夕方に漁師に入った折り、小腹が空いたときに時々サテアイアムとグレカンビンを食べに行くのだが、つい最近のことだが、僕がいつものように食べていると、物乞い女が三歳ほどの男の子とやってきて、やはりサテとグレカンビンとご飯を食べだした。 女の服は煮〆たような茶色で、元の色が判別しにくく、男の子は破れたTシャツに半ズボンで裸足だった。 サテアイアム10本とグレカンビン一皿にご飯で僕がいつも払うのはRp.8,000である。この値段も漁師のスタッフは外国人値段というが、少なくともRp.6,000位はするであろう。 ははあ、今日は実入りが良かったので奮発したんだ・・・と思っていたが、慌しく食べ終わった物乞い女が支払う段になり、取り出した財布を見て、思わず目が点になった! 女の財布がお札でパンパンなのである! それも1,000ルピア札より、五万とか十万ルピアの札がいっぱいなのだ・・・! 物乞い女が支払いを終え、立ち去った直後、マドゥラから来ているカキリマのおやじが、とんでもないことを教えてくれた・・・・。