テーマ:誕生日の人(1319)
カテゴリ:行きました^^*☆
11日。 実家の母の誕生日 だから ほんの4時間ばかり、逢いに行く。 プレゼント、というには、 ちょっと恥ずかしいほどの お揃いで買った、1000円でお釣りが来ちゃう ちっちゃな 紫水晶のストラップを、持って。 私同様、貴金属類には 一切興味のない母であるが、 ただひとつ、母の誕生石である アメシストは 好きだったようで。 父が 母に贈った 大粒で濃ゆいカボション・カットの アメシストの指輪を 母は それはそれは大事にし、 指にすることも 年に数度もなかったのだったが。 「 いずれ、貴女に譲ってあげる 」 美しい濃紫の石に魅せられる 幼き私に 母は、目を細めて そう言っては 私を ぎゅっと 抱きしめてくれたものだった。 大事にし過ぎた余り、失くしては大変と、 1年余に渡る父の海外出張に随行した母は、 その指輪を 置いて 海を渡る。 冬の或る日、留守宅を与る 当時 高校2年の私が 高校から帰宅して 玄関の鍵を開けた途端、 奥の部屋から 在るはずのない風が、 ひゅうう と 廊下を吹き抜け、頬を打つ。 警察によると、私が玄関の鍵を開けた時、 まだ 空き巣犯は 家の中にいたらしく 慌てて、奥の間の窓から飛び出して逃げ去ったようで、 その痕跡が 盗られた品々と共に、点々と残っていたと。 家のなかは、足の踏み場もなく、 茫然自失状態の高2の私に、 自宅内の 「 貴重品 」 とは 何と何であり、 そのどれが 無くなっているのか 判ろうハズもなく、 ただ、母のあの指輪が 何処にもないことに 涙を流した。 震えながら国際電話を申し込み、母に凶報を伝えると 「 出会い頭に貴女が刺されなくて良かった。 恐ろしかったでしょう。 ちゃんと眠れそう? 守ってあげられなくて ごめんね 」 母は 1番に 私を心配したのだった。 後年、父は頑張り、再び、母に 失われたアメシストの指輪に よく似た指輪を贈るのであるが、 「 あの 」 指輪とは やはり 違う。 新しい指輪が、逆に これまで 母が大切にしてきた指輪を 強烈に思い出させ、 これまで 眺めてるだけだった私 が とても 悲しかったのだから、 母は もっと 悲しかったに違いない。 以来 アメシストを目にする度、その色、輝きに 魅せられつつも、 母の 美しかった指輪の想い出とともに、 それらを失うに至った、高校時代の、 あの、傲岸不遜な我儘娘であった自分の姿がよみがえり、 実は、かなり 痛かったりする。 母に渡す お揃いのストラップは、 「 アメシスト 」 というには、余りにちゃっちぃけれど、 その分 気楽に、 ケータイにつけて 楽しんでくれたら とても 嬉しい。。。 空き巣に入られただけで、 何十年も 痛い想いを抱えてしまうのに。 ニュースにて、津波で 自宅とおかあさまが流されてしまった御方が映り。 何か形あるものを、と 所縁のものを探しに 自宅があった場所へ戻られ そこで、奇蹟のように、 おかあさまが お財布につけておられた紐を発見され、 涙して喜んでいらしたお姿に 胸が詰まる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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