仕事
初めてのアルバイトは、高校1年生になったばかりの時だった。今はたぶんもうない、少し高級なファミレスだった。ファミレスだけど、テーマは「大人」なカンジ。普通のファミレスとは違い値段も高く、子供はほとんど来ない。フロア(ウェイトレス)の仕事初日、店長から、「ハイ、これ全部覚えてきて」と、全メニューを渡された。当時はまだ、オーダーは手書き。飲み物、食べ物、全ての名称を覚え、プラス、略式名称と、値段を、次までに全部覚えてこいと言うのだ。すごい量です。例えば、「牛肉のビール煮マッシュポテト添え」なら、それに加え「牛B」「1,280円」とかそんな。紅茶も種類がたくさんあり、高校生の私は「セイロン??」てなカンジ。お客さんに、「渋くないのどれ?」と聞かれたら、もちろん教えてあげなければならないから、覚えなくてはならない。家に帰ってから、母に付き合ってもらい、もう必死で覚えました。それが当たり前のことだと思って、今まで生きてきました。ミスをすれば、やはり「気をつけてね」と言われ、覚えてなければ「覚えて下さい」と言われる。どの仕事でも当たり前のことだと・・・でも何故か最近、「間違ってたら言ってくれるから」という言葉を、よく耳にします。でも、それを堂々と豪語する人ほど、何度お願いしても覚えてはくれません。間違えないようにしつつ、それでも抜けやミスがあるのが人間というもので、私は完璧にやれなんて、これっぽちも思っていません。完璧は完璧で嬉しいけど。要は気持ちの部分ですが・・例えば、いつも、何度も、ミスをする、仕事を覚えない店員に、「いいんだよ。間違えてたら客が言ってくれるんだから。」などと言える上司は、ロクな上司じゃない。きっとその人こそが、「仕事が出来ない人」だと思います。とは言え介護の仕事に関しては、そう言わせてしまう原因の背景に、利用者の態度も深く関わる歴史があるのでしょう。ミスをしても覚えなくても、何も言わない(言えない)利用者。ちょっとしたミスで介護者を責め立て、追い詰める利用者。随分前ですが入院した時、担当ナースが5~6人で回していましたが、2度、3度でもろもろ覚えてくれるのはせいぜい1人でした。私は毎日毎日、車椅子のフットレストの上げ方、その他、同じことを言い続けました。紙に書いても、誰も見てなんてくれない。「あれー?これどうだったけー?」と聞いてきました。ある日隣のベッドの女性に、「ねー、○○さんて、いっつも同じことナースに説明してるよね?イヤにならない? 私ならブチ切れちゃうーー!!!」と言われました。たぶん、第三者は、みんなそう思うでしょうね。私はただ、そうして欲しい、このやり方でやって欲しい。そして、覚えて欲しい。それだけです。