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テーマ:心の病(7246)
カテゴリ:病気のこと
先週の診察のときに主治医が
「どうも心配だから,年内にもう一回来てください。」 と言った。 今日は一日休みを取っていたが,進路事務のために出勤した。 できるだけのことをして家に帰り,A子と病院に向かった。 「どうですか?」 「2学期も終わりましたし,いまはなにがどうということはないですね。」 「うん,私にも落ち着いて見える。大丈夫なようですね。あのとき,なんでああなったと思います?」 12月の始めのことだ。 どうにもこうにも,何もかもが嫌になった。仕事にも行きたくなかった。 「なんでかよくわかりません。部活動のことで保護者からいろいろ言われたのはあれより2週間ぐらい前でしたし,直前に何があったと言うこともありません。わかりませんね。」 「でも,あのときは相当危なかったですよ。自分でもそう思ったでしょう?結局部活のこともそのままということだったですね。何にも解決してないんですが,何とか調子は持ち直した。このままでいいですか?」 「とりあえず,いいんじゃないでしょうか。」 「これから先,何か忙しくなるようなことは…進路事務ですね。いい口実じゃないですか。忙しくなるのは事実なんだから,堂々と部活動を休んでください。」 「はぁ…。」 何の気兼ねもなく休めるといいんだけどね…。 「お正月はどこかでかけるんですか?」 「いいえ。娘が受験なので,家にいる予定です。」 主治医はカルテをペラペラとめくって,家族構成を確認したらしかった。 「娘さんがセンター受験か…。」 「そうです。」 「どうですか。高校の数学は解くことありますか。」 「いえ,まったくです。もう,質問されても四苦八苦して解くような感じですね。」 ここからはなんてことはない雑談だった。 「私はね,娘が高校の数学で苦労しているときに,『あぁ,これはわかってないな。』と思ったんですよ。私も数学は苦手だったから,しょうがないと思ったんですけどね。」 何をおっしゃいますか。医学部を卒業しているくせに…。 「で,高校の数学の問題集を2冊買ったかな。そうして診療の合間に解いたんです。2冊やってしまうのに4ヶ月ぐらいかかったかな。絶対家には持って帰らなかった。仕事の合間にずーっと解いたんですよ。そして,娘が解けずにいる問題を教えてやったわけです。そしたら,『何でお父さん,そんなによう解けると?』って聞くんですよね。私は『お父さんは2浪しとるけん,苦労した分覚えとるとさ。』なんて言ってごまかしてさ。でも,ちゃんと思い出すことはできましたよ。英語はもともとまぁまぁできていたから,ここの看護婦さんたちには『先生はまた大学受験できますね。』なんて言われるんだけどね。そんなことはないけどさ。(笑)西川さんは専門家だからちょっとやればすぐに思い出しますよ。」 「いえいえ,そんなにうまくはいきませんよ。尊敬します。」 笑いながら,今年の診察を終えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011/01/01 03:13:36 PM
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