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テーマ:囲碁全般(743)
カテゴリ:Let's iGO!
Nくんとの記念すべき対局から1週間…。
A子には2週間前から, 「来週,再来週って,2週続けて囲碁大会に出るけん。」 と,伝えていた。幸い転勤もなかった。 今日は朝日アマ囲碁名人戦長崎地区予選。 県内5地区から32名が県大会に臨む。長崎地区からは13名が県大会に出場できる。勝ち抜け条件は「3勝」。基本的に2敗で失格。3連勝なら申し分ないが,3勝1敗ならスイス方式の点数制での判定となる。 県大会はトーナメントで,上位10名が入賞である。過去にその新聞記事は何度も読んだことがある。私はほとんど出たことがないので縁がなかったが,どうせ出るなら県大会まで進みたいものだ。でも,かなりの難関である。長崎地区出場者44名(だったと思う)。その中から13名。…う~ん。メンバーがメンバーだけに,勝ち抜くのは至難の業と覚悟した。 顔ぶれは先週の大会と大きくは違わないが,ただ地区予選だから遠方からの人はいない。Nくんは別地区だ。 エースくんやYさんは来ている。県代表クラスの中でも全国レベルのFさん,Mさん,私の先輩ではないYさんなど,本物の県代表クラスがずらりと顔を並べた。この辺に当たると,まず勝てない。でも実際に当たったら,開き直ってガンガン行くのみだ。 一番厳しい山に入っているエースくんが寄ってきた。1,2回戦を戦う4人の中に横綱クラスのFさん,Yさんが入っている…。全国大会の常連だ。 「また,大変なところに入ったね。」 「はい。」 「でも,そこでまた腕を磨くわけだ。」 「はい。」 「がんばって。」 「はい。」 エースくんは不敵に笑いながら答えた。 くじで私は端のほうになった。近くにはMさん。もし勝ち進めたら,3回戦で当たりそう。4年前にテレビ局の囲碁大会の決勝で当たった相手だ。とても勝てそうにないが,あのときよりはマシな碁を打ちたい。 1回戦。対局したことない人だった。何とか勝利。 2回戦。近所の碁会に参加したとき,「2子置いてください。」と言われ,カチンときた相手。 「あまり置いて打ったことがないものですから…。」 正直,「何者だ??」と思った。会ったことがない。名前も知らない。県内のたいていの強豪とは面識がある。Mさんだってあいさつしてくれる。誰?この人。で,絶対に勝たないと…と思うあまり,肝心の所で間違えた。負けは負け…。 「あぁ…,こんにちは。」 今回はさすがに覚えている。握って,先番。ゴリゴリゴリと攻めまくって,大石を仕留めた…。相手の投了待ち…だったのに,またやってしまった。どう打っても勝ちだったのに,手数を読み間違えた。投了。まったく…情けない。ムカムカした。 県大会に出るためには,もう負けられない。1勝1敗。次は誰かな…。2連勝だったらMさんなんだろうけど,Mさんはまだ対局中。その相手の方もかなりの強豪だけど,どちらかが1勝1敗になる。この碁の負けたほうと当たるのかな。でも,待ち時間がかかりそう。そんなことを思っていると,世話係のIさんから, 「西川さんはT先生と打ってください。」 T先生はかつて参議院議員だった。碁もかなり強い。けど,この中では大関クラスかな。チャンスはある。初対戦だ。 握って黒番。またしても大石を召し捕った。オレは殺し屋か??T先生は潔く投了。2勝1敗となった。 結構進行が早いほうだったので,周りの碁を見て回った。 エースくんが観戦していた。どうなってんのかな…。なに?? エースくんはFさん,Yさんの横綱クラス2人をやっつけて早々と勝ち抜けを決めていた。…やるじゃん。 「すごいね。やったじゃん。」 と声をかけると, 「あはは…。」 「県大会でも上位に喰い込まんばね。」 との言葉には…。 「優勝したいです。」 …失礼しました。そうだよね。横綱に勝ったんだから,当然優勝を狙うよね。 「オレはまだ勝ち抜けてないからなぁ。できればキミが優勝するところをナマで見たいね。」 というわけで,横綱Fさん,Yさんも1敗で3回戦を打っている。Mさんも2回戦で負けて1敗。…ほう,これはまた波乱続きだね。次の相手がこの皆さんだったら,勝ち抜けはないかな。今回は3連敗だった世話役のIさん。 「西川さんは,こちらの方とお願いします。」 早く打っていたせいか,横綱の皆さんとは当たらずじまいだった。次の相手は名前はよく知っている強豪。この大会はとにかく県内の強豪が集まっている。初対戦。思い切り打つしかない。 握って白番。地を稼いでコミに物を言わせる作戦。相手の模様の中で小さく生きてリード…のはず。あちらもお返しとばかりに白模様の中に打ち込んできた。 殺したら間違いないけど,殺せるかな? 一応目を取ってみたが…簡単に外につながった。 あれ?こんなはずじゃなかったのに…これはマズい。 さらに黒地を荒らさないといけなくなった。 少々強引に打ち込んでいく。死んだら負け。…とても生きそうにないな。でも,必死に手を探して…もともと黒地だったところで,でーっかい石同士がセキになった。これは再逆転だな。お互いに持ち時間がなくなってきた。終局に向けて,急いで地を確定させていく。そうしていると…。 「あ,切れた。」 と,ギャラリーの声。あちらの時間が切れた。 「数えても足りんよね。」 「少しいいかと思っていました。」 「これがセキになったらねぇ…。参った。」 ギャラリーからは, 「こっちに打っておけば,黒の花見コウじゃなかったですか。」 「そうそう。」 「そうか。そうだったか…。」 「白もそう来られると嫌でしたね。」 かくして,何とか規定の3勝を確保したが…。 「3勝が予定よりも多くなりそうなので,まだ代表決定できないんです。ちょっと待っててもらっていいですか。」 「はい。わかりました。」 横綱クラス…FさんとYさんが2勝1敗同士でぶつかった。どちらかが落ちる。どっちが落ちても波乱だ。この人たちが県大会に進めないなんて。 オレなんかが残っていいの?? Mさんも2勝1敗で4局目を打っている。さすがにこれはMさんが勝ちそうな雰囲気だ。 自分の対局はとっくに終わっているのに,ずーっと観戦しているエースくん。 「なんとか3勝したよ。でも,まだ県大会いけるかわからないんだって。」 と言うと, 「点数的に大丈夫じゃないですか。」 ですと。一応,気にしててくれたのね。 まぁ,あなたはスイス方式に慣れてるんでしょうけど。オレはなかなか点数が読めないのよ~。 対戦表のほうでは幹事の皆さんがさかんに点数を計算している。3勝の人の点数を一人ずつ入念に確認している。そして…。 「西川さん,当確です。おめでとうございます。」 エースくんの言う通り,3勝メンバーの中では点数が上の方だったらしい。 「ありがとうございます。」 うれしい反面,申し訳ないような…。 「県大会の切符もらったよ。」 と,エースくんに言うと, 「おめでとうございます。」 「これでキミの優勝するところが見られる。」 大学を浪人することにしたエースくん。 「今年はいろいろ大会に出るの?」 と訊くと, 「この大会を最後にします。これが終わったら受験勉強に入ります。」 「そうか。じゃ,なおさら優勝したいね。」 「はい。」 最後の碁が終局するまで,見守った。結局,3勝した人は全員勝ち抜けることになった。 そして,横綱の一人Yさんが地区予選敗退となった。他の人の話では,たぶん初めてのことだろうとのことだった。 県大会は2週間後。 平成24年度の始業式と入学式の間か。また,新たに抽選になるのかな?? 記念にぜひ,1つだけでも勝ちたいものだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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