LIFE IS BEAUTIFUL
今日はいつもの囲碁教室。三女を連れて出陣。今日は,あまり打たない中学校2年生と打った。この子はもともと上達が早かった。小学校4年生で少年少女囲碁大会の県予選で優勝し,全国大会出場の切符をもらった…だけど,家庭の事情で行けなかった。その当時は,たまたま小学校でA子が担任しており私が囲碁教室の指導者だったので,「親に言うてみれば,オレたちが代わりに連れて行ってやれるかもしれん。」という話もしたが,それで親が了解したとしても親の立場がないよね…という結論に達し,言うのをやめた。その後,彼の上達はピタッと止まった…。どんどん周りの仲間たちに抜かれていき,去年は中学校の団体メンバーにも入れなかった。どんなに悔しい思いをしているだろう。他の子たちと同じく,2子局持ち時間白20分黒30分で打ってみた。彼は序盤から積極的に攻めてきた。白がアタフタとし時間を消費,盤面も完全に黒ペースで敗色濃厚だった。こりゃあ,ダメだな…。そのとき,彼が攻め合いがすでに手勝ちになっている石にもう一手かけ「勝ちました」と宣言した。破れかぶれで投了前にもう一勝負。彼に痛恨のミスが出て,形勢が急接近。ついでに時間も急接近。お互いに時間が少なくなってきた中で,彼はもう一度ミスを犯した。大石死す。投了。申し訳なくなるほどの大逆転だった。「キミの勝ち碁だったね。もったいなかった。並べ直してみようか。」彼自身,どの手で逆転したのかはよくわかっていた。ひととおり並べ直し,白の悪い手,黒の悪い手を確認していった。「黒が圧倒していたよね。油断大敵だね。」「はい。」「でも,力強い碁だった。この碁の前半みたいに打てば,いつでも勝てるよ。」三女は3戦全勝だったそうだ。まだ13級だけど,強くなっているのかなぁ…家に帰って,珍しく私がインスタントラーメンを,部活に行った長女以外の4人分用意して昼食。その後,A子は一人で歯医者へ。残った3人で,毎週録画している「探偵!ナイトスクープ」をのんびりと見る。終わりかけた頃,三女が急に思い出したように言った。「お父さん,アレ見たらダメと?」これまた珍しく,三女の言った「アレ」が何のことかすぐにわかった。以心伝心…。私がときどき口に出す「ボンジョルノ,お姫様。」を見たいのだ。おわかりいただけただろうか…。「アレ」とは映画「ライフ・イズ・ビューティフル」のことだ。数年前に内容を知って,私がDVDを購入した。上の子たちには見せたことがあるが,三女だけは見たことがなかったのだ。「よかよ。」居間のDVDプレーヤーの調子が悪かったので,私たちの寝室で見ることになった。ベッドに横になって,映画を見る…。贅沢だな…。こんな生活を,オレはずーっとしていたんだ…。アウシュビッツ収容所のことなどトンチンカンな三女には,私の解説が必要だった。どんな話かなんとか理解はできたようだった。いい映画は何度見てもいい。夕食の時間が近づき,夜の部へ行く時間が近づいた。あっ…昼寝しとけばよかった。でも,ライフ・イズ・ビューティフルもよかった。今日はいい日だった…ということにしておこう。