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カテゴリ:読書
ジェフリー・ディーバーの「ボーン・コレクター」を読み終えました。
上・下2巻ですが、読み出したら止まりません。枕の下に入れて寝る間際まで読み、目覚めてまたすぐ読みたくなる、なんて初めてでした。 ベストセラー小説で映画にもなったそうなので、感想だけ書くことにします。 読み出したら止まらなくなる要素はたくさんあって、ひとつには怖さ。 タイトルのことを大して気にも止めず寝る前に読み出したことを、すぐに後悔しました(そして止めるわけにいかなくなった)。 そして、よく考えられたストーリー展開。 豊富な科学的知識を駆使した鑑識捜査の世界を描きながらも、所どころにさりげなく伏線が張られているのは、新しいようでいて王道ってカンジでいいです。むむ、前にあったぞ、と思うからこれがまた、眠れなくなる。。 さらに人物設定のスバラシサも読ませる要素になっています。 近頃のヒーローやヒロインは、完全無欠ではダメなんだなと、読んでしみじみ思いました。 誰にも解決できない難事件を豊富な知識と明晰な頭脳で解き明かす能力を持つものの四肢麻痺でベッドから起き上がることが出来ない、とか、 誰もが目を奪われるほどの美貌と勇敢な心を持ちながら、過去の出来事で心に傷を負い自傷癖があるとか。 ヒーローたちの才能や美貌やパワーとともに、リンカーンやサックスの負うキズにも、ひかれるものを感じました。 特にリンカーンのような、世の中の表舞台に出て多くの人の目に触れる機会が少ない人間の能力が生かされるという設定は、読んでいてうれしかったです。 読む人によって、いろんなことを感じると思いますが、私は読みながら、生きるということについて考えました。 死を選ぶことと生き続けることでは、どちらが勇気あることなのか。 分かりきったことのようで、難しいことのようにも思えます。 私は普段、何があっても生き続けるのが勝ち、その生き様は二の次と思って何とかカントカ過ごしていますが、何もかも諦めてしまえば、生きることを選ぶ方がむしろラクな選択なのかも。身体的な困難があっても。 それに耐えられないという欲が勝つというのは、弱いことなのか。 また、リンカーンも問うているように、その困難やキズが身体的なものと内面にあるものとで、その苦しみの度合いをはかることは出来るものなのか。 こういうことには答えというものはないのかもしれません。みんなずっと悩みながらはしり続けるのかも。 ただ多くの読者と同じように、私もリンカーンが生き続けることを望み、これほどの身体的な困難を抱えているのに羨望を感じました。同情ではなく。 こんな恵まれた人は、現実にはそういないのではないかと思いますが、ま、小説だから。とにかくうらやましいです。 ミステリー小説としても、ホラーとしても、恋愛的要素もあって、これぞエンターテインメントだなぁ~。見事にハマりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.01.09 14:24:20
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