|
カテゴリ:読書
「ミス・オイスター・ブラウンの犯罪」(ピーター・ラヴゼイ)を読みました。
基本的に短編集は苦手で避けるタチです。唯一、向田邦子の短編だけは好きで、特に毎回最初の一文で「なぬっ?」と驚かされるカンジがスバラシイと思うのですが、この作者もジャンルはまったく違うものの、出だしでギュッと引き込むところが似ていると思いました。 ゆっくりペースでもそこそこ本を読むのが好きなので、最近の新刊とかベストセラーとかランキングとかをチェックして面白そうな本を探すのが好きなのですが、どうもイマドキの本は、私のシュミに合いません。何でやろか。 現実離れしてるというか、今の現実をそのまま描いても非現実的というかビョー的というか。私にとっては「分かるわ~」と感じられません。 それに比べてこの作者の描く世界は、舞台は外国だし20年ほど前のものもあるのに、読んですごく「あるあるある」と思えるものが多いのです。 18篇ある中で私が特に好きなのは、表題作の「ミス・オイスター・ブラウンの犯罪」と、「人を食った男」。 「人を食った男」は短編にしておくのが惜しいくらいです。少年少女の感性、子供ならではの残酷さなどたんなるミステリの域を超えたものが描かれています。 ほかにも、最後の「シヴァーズ嬢の招待状」は時間がトリップする話ですが、じぃ~んと来るし、同じくSF的要素のあるハナシとしては、奇想天外な発想の「奇妙なコンピューター」は驚かされると同時に愉快な気持ちになりました。 先入観、社会的地位のある人物の実像、復讐、価値観の違い、などなど。 とても内容の濃い短編集です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.07.31 00:34:19
コメント(0) | コメントを書く |