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カテゴリ:読書
「コフィン・ダンサー(上)」(ジェフリー・ディーヴァー)を読みました。
リンカーン・ライム・シリーズ第2作。古本で見つけるまでガマンできず上巻を楽天で買ってもた。 読み始めてすぐ、リンカーン・ライムの前進とその意欲、また、それゆえのもどかしさにも冷静に対処しようとしているという描き方に好感を持ちました。 こういうのを読むとき、本を読んでよかった~と思うんです。 前作も、サラリと書いてあることのひとつひとつが並大抵でない努力がいるとともに、ほんの一握りの選ばれた人だけが得られる幸運もあってこその夢物語だなぁと思ながら読みました。 究極の主人公として作り出されたものではあるけれども、そう思ってもいやな気はしない。 それはこの作者の知識の豊富さ、人間を見る確かな目と、そこから生まれる説得力のある心理描写によるものではないかと思います。 この人が書くと、日頃全く経験することのない世界も、違和感なく「そうそう」「なるほど」「そんな気持ちになるカンジ分かる」と思えてしまいます。 今回でいえば、たとえばパーシーの飛行シーン。数字も機械も大の苦手の私が吸い込まれるように読み進み、必死で操縦桿を握りしめてました(気分だけ)。 そして今回も、伏線がいくつか出てきます。 何気ない会話が続いているだけと気に留めずサラッと読んでいたものが、後で重要な意味を持ってきて、前に戻って読み返すということが何度もありました。設定、構成がよく考えられていることに感心しました。 そのひとつがスティーブンとジョーディのちょっと異常にダラダラと続く会話。 あとで作者にだまされた~と思いましたが、こないだ読んだ本のように腹は立ちません。けども、ま、ミステリのトリックとして優れているとはいえず少し残念。 読み終わって思うのは、リンカーン・ライムは正義の人とは言い難い。それを真っ向から書いちゃってるところが面白いなと思います。 警察組織が登場しはするけれども、警察小説じゃないのだ。だからこそ残忍な殺人の被害者にも素っ気なすぎるほどの態度で、微細な証拠物質にしか興味を示さない主人公でも許される(逆に異常な殺人鬼やプロの殺人請負人を詳しく描写した話なら、ありふれたものになってしまうわけで)。 この小説で登場する人々は、みんなプロフェッショナル(犯罪者までその道を極めてしまっている)。誰もが自分の分野に関して一生懸命。 そんな人たちが寄り集まっているので、ゴツゴツぶつかり合いますが、前作より今回はチームの中で互いを認め合い一体感が生まれています。 この先どんな展開になるのか。。…次作は果たしていつ読めるやら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.09.21 18:49:04
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