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カテゴリ:読書
「風の影」(カルロス・ルイス・サフォン)を読みました。
読み出したらのめりこんで何にも手につかなくなりました。夜中寝る直前まで読んで朝起きてすぐ読み、朝食後掃除機かけてまた読む、てな状態。 で、読み終わって、ほぅっとため息をついて、また冒頭を読み直しました。 過去を探すうちに現在と重なり、人間関係が思わぬところで結びついて互いに影響しあう。見事な構成です。 でもこの小説の何よりの魅力は、本の魅力についてたっぷり書かれているところ。 本好き、読書好きにはたまらない小説です。 私はこの本を、例によって古本で入手しましたが、それもまた縁かなと今回は思いました。 また、美しい感情表現にもすぐにとりこになりました。 2ページ目で、幼少期に母をなくした主人公の気持ちを、「どんな言葉でも鎮めようのない沈黙の叫びだった」としているところから、メッチャわかるとハマりました。 薄暗いことや汚いこと、恐ろしいことや悲しい出来事を多く描いても、人生や時代といったものに関する価値観がしっかりしていてぶれないから、読み終えてさわやかな気持ちになれます。 若さや美しさは長くは続かず、奢れる者は久しからず。 陰影、やさしさ、力強さが感じられます。 ああ、こんな小説を読んでしまったら、もうしばらくは、どの本を読んでもつまらなく感じてしまうかも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.10.04 18:33:35
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