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カテゴリ:読書
「猟犬クラブ」(ピーター・ラヴゼイ)を読みました。
最初に読んだラヴゼイの作品は、このダイヤモンド・シリーズの第3作目にあたる「バースへの帰還」でした。 お、ピーター、好み!と、1作目に戻って読み始め、また、ラヴゼイの短編集も古本屋で見かけるたびに読むようになりました。 今回のダイヤモンド刑事は、これまでと違って、完全に現役の刑事としてシャキッと活躍しています。これまでのような葛藤がテーマではないので、話全体が重苦しくなく、ユーモアがあり軽いタッチになっています。 タイトルの「猟犬クラブ」というのは、ミステリーの愛好家たちの会の名称。 その会合で、さまざまなジャンルのミステリーについて話し合う様子が描かれています。 私はジャンルなんて考えず思いつくままに読むだけなので、ミステリーってこんなにいろいろあるものなのかと驚きました。 確かに小学生の頃はアガサ・クリスティに夢中になったけど、今さら読んでないものを見つけたとしても、読む気がしないかな。 でも別に、今の現実の世界と追いかけっこするかのようにオドロオドロシイものを次々読むのも、楽しいとは思わないけど。 それから、サラ・パレツキーのものを好んで読むからといって別に、ヴィクが社会問題に立ち向かう姿を描いていることに、ことさら意義を感じて読んでるわけでもない。単純に、強くてカッチョエエからだ。 ラヴゼイが古典的なものも新しいものも、どんな題材を選んでいても、どういう手法のものでも、そういった細かいジャンルに関係なく、どの立場も温かい目で捉えているのが伝わってきました。 この話の中では、密室のトリックが出てきます。「密室」なんてやりつくされた、いやジョン・ディクソン・カーの「三つの棺」の密室はすばらしいなどとと会合でやりあってたら、自分たちの身に降りかかってくるわけです。 そしてその答えは、こじつけなんかではなくてとてもシンプル。 この挑戦を見て、作者自身がミステリーの大ファンなんだな、という気がしました。 フーダニットの方はというと、これはワタクシ、ヤマカンでは割と早くから見当がつきました。 でもちゃんと理由が推理できるのは、終盤近く。 分かると、まじすかとばかばかしくなりますが、でも他の人が犯人でも、どんな理由でもやっぱし、ばかばかしい。現実も案外こんなもんかもしれない。 人を疑ったり、幻想や偏見を抱くこと。 それらに縛られている現実世界。 読み終わって、そんなことが頭に浮かびました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.02.01 17:03:26
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