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カテゴリ:読書
「最期の声」(ピーター・ラヴゼイ)を読みました。
とうとうこの作品に行き着いてしまいました。 主人公ダイヤモンド警視の妻ステフが死んでしまうことは分かっていたけど、こんなにあっけなく? 作者ラヴゼイは、このシリーズでも他の作品においても、毎回趣向を替えさまざまな挑戦をしてきて、それが読者をひきつけるのですが、今回のは、そこまでするかと驚きました。 刑事として多くの事件を扱ってきたベテランでも、当然普段は、所詮他人事としての視点でしか事件や被害者を見ていません。 それがある日突然、その主人公にとってかけがえのない人が被害者として帰らぬ人となり、自分自身が被害者家族となり、容疑者とまで言われる立場となると、どうなるか。 誰であれ事件の当事者となれば、極限を超える感情や状況が連続して起こるのでしょうが、それらが主人公の視点から描かれることによって、これまでの殺人事件を捜査する刑事としての立場からの描写とは比べものにならないほど、読む側にリアルに伝わってきます。 なるほどなあ~と思うのと同時に、やっぱりこのシリーズに愛着を持って読んできたものにとっては、でもさでもさ、という気もします。 しかし、それこそが、理不尽な死の残酷さをバサッと描くことが、狙いだったのだろうと思います。 経験を重ねれば、クールなベテランになることは出来るのかもしれない。けれどもハートを失わないベテランこそ、得がたい真のプロなのだろうと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.04.08 16:04:28
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