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カテゴリ:読書
「封印」(黒川博行)を読みました。
92年に出された作品だそうで、これまで読んだ作品の中で最も初期のもののようです。 最初の頃の作品のタイトルなどを見ると、これまで読んできた作品のイメージとのズレを感じます。 この作品は、世の中の裏の部分を扱った作風へと、変化し始めた頃のもののようです。 この作品では、パチンコ業界と警察やそのOBとの関係が描かれています。 パチンコって、私は一度もやったことがないので、未知の世界の話でワクワクしました。 解説を書いている人は、作中の登場人物を、普通の人であり、誰でも同じような状況になり得るから、読者にとって身近な人が描かれている、というようなことを言っていますが、私にとっては自分から遠い存在で非日常的だからこそ、読む価値があるように思えます。 平日の開店前にドアの前で並んでいる人やパチプロやヤクザが、こんな小説読まないでしょ。 ウチの近くにもパチンコ屋があって、そこはいわゆるパチンコ屋独特のイメージを緩和しようとしているようで(イマドキどこでもそうか)、ショッピングモールを作り自分の店のほかにスポーツ用品店とかドラッグストアとかカルチャーセンターなどを入れて明るいイメージにして、みなさんご一緒にどーぞ♪的演出をしています。 垣根の低い人たちは、とてもパチンコ屋に入りそうに見えない人も、軽いタッチで出入りしています。 でも店の近くを通るだけで、もんのすごい匂いがして(溜まりにたまったタバコのにおい)、開店前に大声でイラッシャイマセッッ!!と張り叫んでいて、独特のムードを撒き散らしています。 あの未知の世界は、こういう仕組みで動いているのかと思うと、とても面白かったです。 主人公の酒井がのちの疫病神シリーズでの二宮、伊島が桑原になっているような気がしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.03.07 17:13:33
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