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のんびり幸兵衛夢日記

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2011.04.12
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カテゴリ:読書
罪人のおののき」(ルース・レンデル)を読みました。
この人の作品を読むのは、「友は永遠(とわ)に」に続き2冊目です。
今回も古本屋で偶然見つけました。

…なんて言っても正直なところ、1年前に読んだ本の印象が余りありません。
どんな感じだったかな?と、この日記を振り返ってみると、今回読んで感じたことがそのまま書いてあり、自分でも驚きました。

その一つは、事件の真相についての説明が物足りないということ。
今回は、小説が始まってすぐに、大きな屋敷に住む夫人のエリザベスが撲殺されます。
犯人は誰か?と、ウェクスフォード警部とバーデン警部が捜査し、あれこれ推理する様子を読んでいくのですが、
結局どういうことだったのかという説明は、ある人物の手紙による告白という形で、最後に畳み掛けるように語られて、あっさりオシマイ。
その内容が、それまで読んでいても推察できることではないので、そんなこともあったのか、ってそんなこと分かるか!という気にさせられるのです。

推理小説で、この事の真相を明らかにする部分っていうのは、私はとっても大事だと思っています。
ここを、いかに自然にするか、しゃれた構成にするかが、とっても重要なのに。
ま、でも少し前のお話なので。
なにしろ、血液型について、非常に珍しいAB型マイナス、で済ませてしまうという時代ですから。
こないだ松本清張を読んでた母が、「今読んだらセクハラだらけ」と言ってました。
時代によって、価値観や物事の評価は変わるものなので、この頃のミステリ小説はこんなカンジだったんだな、と思って読むべきなのでしょう。

この人の作品を読んで感じたことの二つめは、情景の描写が詩的でロマンチックであるということ。
今回は特に、ワーズワス(ワーズワース)がモチーフに使われています。
私は、彼が詩人であることぐらいしか知らないのですが、始終引用が出てきます。
ほかにも、文学作品の引用がしょっちゅう出てきて、正直付いていけないところもあったりしました。

しかし、一度読んでよく意味が分からなくても、最後まで読んでから改めて初めの部分を読んでみると、なるほどそういうことかと分かるところがあります。
たとえば、エリザベスの弟は、彼女の夫へ献辞を書いているふりをして、じつは姉へ、ワーズワスの言葉を借りて呼びかけています。
何気ないため息や、ひと時の物思いも、後で読み返すとその意味が見えてきます。
複雑な人間の心理が的確に描かれ、人物描写に優れています。
推理小説としては少し物足りなさがありますが、非常に洗練された小説です。





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最終更新日  2011.04.12 23:54:51
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