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カテゴリ:読書
「煙幕」(ディック・フランシス)を読みました。
競馬シリーズの12作目です。 この競馬シリーズ、どうやら、主人公はほとんど毎回変わり、競馬が要素(テーマではないと思う)として使われている以外に、一貫性はないようです。 今回の主人公は、人気俳優リンカン。 死期が迫る伯母に持ち馬について調べてくれと頼まれ、南アフリカに飛ぶと、次々に危険な目に合い…てな話です。 競馬場に行ったり厩舎を覗いたりもしますが、中心はリンカンの冒険譚。 感電死しそうになったり、金を採掘している鉱脈の中で爆破に巻き込まれそうになったり、車に手錠で繋がれシートベルトで身動きが取れない状態にされて乾期のサバンナに放り出されたり。 頭の中を、昔見たハリウッド映画のテーマ音楽が流れました。 映画にするんだったら、リンカンは誰がいいだろ?もう100年ほど映画を観ていないのでよく分かりませんが。 主人公は、架空の、幻想の世界に生きるのではなく、現実の世界をしっかり生きている人間として描かれています。 きらびやかな世界にウツツを抜かすことなく堅実な生活をし、頭がよくて、危機にも対処して生き延びる。カッコイイなあ。 でも映画では、臭いニオイとか、目が開いていることも自分で手で触らないと分からないような漆黒の闇などは表現できないし、「客の入りが悪くなる」ようなリアルにボロボロの顔が再現されることはありません。 これまでに観た映画のシーンの断片のあれこれが、想像力を補ってはくれますが、やはり映画より読書で頭に描く世界の方が、圧倒的に豊かなのではないかと思いました。 いや、映画を観る楽しさが記憶から遠ざかりすぎているだけか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.08.19 17:44:57
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