826607 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

のんびり幸兵衛夢日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄

 

ニューストピックス

購入履歴

2011.09.14
XML
カテゴリ:読書
「配当」(ディック・フランシス)を読みました。
競馬シリーズの20作目。
これまでに読んだ「興奮」「煙幕」ほどには出来がよくないような。
といいつつ、いつものように読み出したら止まらず。

年の離れた兄弟のジョナサンとウィリアム。
第1部では兄のジョナサンを主人公とし、それから14年後の出来事を、第2部で弟ウィリアムを主人公として展開させています。面白い構成です。
ただ、この工夫が活きて話を面白くしているかというと、そうともいえないような。

中学の物理教師であるジョナサンはいつも非常に冷静で、そのためかえって冷たい印象を与える。
それに対しウィリアムは奔放で、この世の楽しみを満喫している。
常に秩序だった行動や安定性のある生活を望むジョナサンに対し、世界中を旅し永続性のある仕事を避ける、渡り鳥のようなウィリアム。

その二人に恨みを持つ、アンジェロという凶暴な天敵が絡んで…てな話なのですが、次々に危機が訪れそこからなんとかすれすれで逃げる主人公の活躍ぶりを、別に二人に分けて描く必要はないんじゃないかという気がします。
それに、弟のジョナサンの行為は災いを自分でより大きくしているようで、必然性が感じられず、ちょっと無理して作った展開のような。。

さらにもひとつ難癖をつけるなら、アンジェロのような人格的に欠陥のある人間に対する分析が、主に血筋によるものとしているところ。
それじゃ、、血統を重んじる馬と一緒じゃん。
確かにそういう面があるのは事実だけど、ちょっと配慮に欠けるのが気になりました。ま、時代なんでしょう。

時代といえば、今回はコンピュータが出てくるのですが、どシロウトの私が読んでも、えらい昔の話やなあという世界。マイコンとか言っていた時代では。でもBASICを簡単に文章で説明してあるので(実際はこんな簡単なものではないと思うけど)、プログラミングなんか何も分からない私にも、勝馬を予想するソフトの条件付けのリクツがよく分かりました。

作者は幼い頃から馬に親しんで育っているので、美しく強靭で繊細な馬というものに魅せられているということが、シリーズを通して読んでいくとよく分かります。
しかし競馬はお金を賭けるものであり、利益を出そうとする人にとっては競馬場で観戦する必要もなくデータが何より重要であり、馬は儲けるための道具に過ぎません。
そのような価値観は、なんて無味乾燥なものだろうと感じるウィリアムは、勝馬予想システムに手を出しません。

お金というもの、儲けることの目的と意義、という価値観を対照的に描いているところが、この作品の面白さだと思いました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011.09.14 15:33:57
コメント(0) | コメントを書く
[読書] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X